デジほん 2冊目「Koboでいま、何が起きているのか」

 鳴り物入りで発売が開始されたKoboの行く先は暗い。

 筆者もKoboを所有し、通学時の読書に利用している。しかし、その売り方と宣伝に問題があり、電子書籍とKoboという環境が台無しになっている。

コンテンツ数を水増し表記、消費者庁から指導

 これは、利用者を馬鹿にしている。楽天が利用者に行った最悪の裏切りだろう。電子書籍はいくら電子書籍リーダ(つまりKobo)が優れていたとしても、コンテンツがなければ意味はない。本屋に行っても、そこに本がなければ意味がないのと一緒だ。

 楽天はサービス開始時の時点で日本語コンテンツが「約3万冊」と謳っていたが、実際は「19,164冊」と、どう見積もっても3万という数字には至らないものとなっていた。

 これに対して、消費者庁が「景品表示法上に不適切な表記がある」と楽天に対して、行政指導を行った。

 現在のコンテンツ数は65,000冊 。また、そのうち、Wikipediaを「パッケージング」したものは500典となっている。(Wikipediaの問題は後述)

楽天カードプレミアム会員にKoboを無料で送付

 Koboが楽天カードのプレミアム会員に突然送付されるという事象が発生した。

 楽天としては、プレミアム会員に対しての「プレゼント」という体をとっているようだが「突然商品を送られても困る」という声も上がった。

 また、筆者の予測として「在庫処分」あるいは「ユーザ数の数字をあげる」という目的があるのだと考えられる。Amazonが率いるKindleの発表がされた以上、日本では2つの大きな電子書籍のマーケットが立ち上がる。それはもちろん、楽天Amazonだ。

 楽天としては、Amazonという襲い来る巨人にたいして、市場での主導権を握りたいという思惑が見え隠れする。ユーザ数が多ければ、出版社に対しての交渉力は高まる。交渉力の向上により、新たなレーベルが楽天に参入することも考えられるし、数字にものを言わせて価格面で強気に出ることができるからだ。

 電子書籍は、実際の本とは違い「在庫」という概念が存在しない。あるのは「データ」と「担保するサーバ」だ。そこには流通が介入しない分だけの人件費を削ることはできるし「売れない在庫を抱える」というリスクは存在しない。

 しかし「データ」を人間が読める「本」の形で表示するためにはKoboといった書籍端末が必要になる。Koboがいったいどれだけの数、裁けているのか。この数字を「無料プレゼント」という方法を使ってでも上げたかったのかもしれない。

Wikipediaライセンス違反、1冊1ページの本 その他諸々

 上で少し触れたように、KoboはWikipediaのライセンスに違反するDRM(デジタル著作権保護)をつけて、Wikipediaのコンテンツを配布した。

 これはWikipediaのライセンスであるCC-BY-SA(クリエイティブ・コモンズの中の分類)に違反するという見込みが強まった。今ではDRMが廃止され、ライセンスに抵触する行為ではなくなったが、それでも「なぜWikipediaの内容をわざわざ配布する必要があるのか」という疑問はぬぐえない。

 なお、なぜ配布するかについて、社長である三木谷氏は

 

 という考えを示している。だが筆者にはその考えがよくわからない。

 また、画像1枚を1冊のコンテンツとして配布していたことも記憶に新しい。

 筆者が補足するのであれば、あれはパブーと呼ばれる、誰でも電子書籍を作成・販売ができるサイトからコンテンツの供給を受けたため、通常では考えづらい販売形態の本がKobo販売されてしまったのである。

 なお、パブーの登録・販売に関しては誰でも行えるので、自分の書き上げたコンテンツをKoboで販売して欲しいという人にとっては、とても協力なツールである。だが、今回ばかりはマイナス方向に働いてしまった。

このままKoboは終わってしまうのか?

 個人的には終わって欲しくない。また、楽天という会社の方針・販売形態に問題はあるが、純粋に「本を読む」という事柄にたいしては、コンテンツもハードウェアの性能も申し分ない(少し配慮にかけている部分はあるが)

 楽天は現在Koboについてしまっているネガティブイメージを消し去り、一刻も早く電子書籍のすばらしさを売りにするべきだ。もちろん、コンテンツの量と質を両方から上げる必要もある。

 決して、Koboがこのまま終息してしまうことはないと思いたい。 そうでなければ、Amazonという巨人に日本の電子書籍の市場は食われてしまう。

 電子書籍を買うことができる「本屋さん」は、Amazonだけ・・・・・・そんなものは面白くない。本屋巡りもまた、本を楽しむ醍醐味なのだから。