最新旗艦「Mi4」から読み解く、中国シャオミィの凄さ

 大変ご無沙汰しておりますSteveです。

 Lenovoが自尊心の欠片もないiPhone 6パクリケータイを発表しまして全米が震撼しておりますが、前回の記事に続きXiaomi(小米、シャオミィ)を取り上げたいと思います。

 まだ中国を中心に一部の限られた国でしか販売されていないので情報も少ないのですが、最新機種Mi4(ミーフォーと読む)の海外でのレビューを参考に、なぜそんなに人気なのか、他のAndroidとどこが違うのかを探ってみたいと思います。

デザイン

mi4_HW (画像はmi.comより)

 まず誰もが思うのが、「iPhone 4にそっくり」ということ。これは全てのレビュワーが感じているところ。背面もパクリで、Galaxyを彷彿とさせます。しかし、それで酷評されているかと思うとそうでは無く「クオリティが高すぎて似てるとかどうでも良くなる」というのが共通した評価のようです。良くあるパクリケータイはパクったという事実以上にそのクオリティの低さに失望するわけですが、Mi4の場合は細部まで非常に高い品質を保っており、似てるのは事実であれ、高い満足感を得られるようです。

 もちろんAppleやSamsungは面白くないでしょうが、その辺のパクリケータイとは違う事が分かります。1999元(中国国内での価格。約$320、約3万5千円)のデバイスとは思えない品質だそうです。

 背面はプラスチックで、少し滑りやすいのが難点とのこと。ただこの背面カバーはリムーバブルで、好きなデザインのものに交換することが可能です。ベゼルは十分に細く、画面サイズは5インチですが片手で難なく操作できます。 

スペック

 大手メーカーのハイエンド端末と比べても全く遜色ないスペック。主な仕様は以下の通り。

  • 5-inch 1080p IPS LCD
  • Qualcomm Snapdragon 801 processor clocked at 2.5GHz
  • Adreno 330 GPU
  • 3 GB of RAM
  • 16 or 64GB internal storage, no microSD card support
  • 3000 mAh Li-Po battery
  • Android 4.4.2 MIUI 5
  • 13MP Sony Exmor IMX214 rear-facing camera, LED flash
  • 8MP Sony Exmor IMX219 front-facing camera

 なおディスプレイはJDI(ジャパンディスプレイ)またはシャープ製だそうです。カメラはメインカメラ/サブカメラ共にソニー製。安かろう悪かろうでないことが分かります。

 RAMが3GBは素晴らしいですね。なお、当初Mi4はLTEに非対応でしたが、現在はチャイナモバイル向けにTD-LTE対応版が発売されています。世界的にLTEのマジョリティを占めるFDD-LTE版は今年末までに出ると言われており、もしかすると国内のFDD-LTEネットワークでも使用可能になる_かも_知れません。

 Flashストレージサイズでバリエーションがあり、16GBモデルが1999元、64GBモデルは2499元(約4万3千円)です。

 特徴的なのはSDカード非対応という点で。外部ストレージ対応は便利な反面ファイル管理の概念をユーザーに求めるので、ユーザビリティを重視して省いたものと推測されます。後述するホーム画面しかり、iOSのユーザビリティを模していると思われる点は多々あります。

 画面下にあるホームボタンは静電容量式で、左からメニュー、ホーム、戻る、となっています。少し前までのSamsung端末と同じですが、今では少数派のレイアウトと言えるのでこれは直して欲しいところ。

ソフトウェア

 XiaomiのデバイスはMIUI(ミーユーアイと読む)という独自のファームウェアを搭載しています。ホーム画面の見た目はほぼiOS。

MIUI

 標準Androidの様なアプリドロワーは無く、iOSの様に全てのアプリがホーム画面に並ぶ形です。フォルダのデザインとかiOS6以前とそっくり。

 なお、上記スクリーンショットはMi4リリース時のものでMIUI v5のものです。今は新バージョンのMIUI 6がダウンロードできるようになっています。その画面はこちら。

MIUI6

 はい、見事にiOS7以降のフラットデザインになってます(笑)こんなに頑張って模倣するくらいならもう独自のデザイン作れば良いのにと思うレベル。どれくらい似ているかはこちらのサイトで確認できます。

 ホーム画面のデザイン意外にも、標準Androidと異なる点は多々あります。特筆すべきはそのスピード。NexusやGoogle Editionに搭載されている素のAndroidよりも軽く感じるんだそうです。またデザインのカスタマイズ性に優れており、見た目を大きく変えることが出来ます。MIUIのフォーラムには以下のようなユーザー作成のテーマが数多くアップロードされています。

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 なおMIUIは毎週(!)アップデートがかかるそうです。適用前にはバックアップが走るそうですが、慣れるまでビクビクしそうです。ただこのアグレッシブさはある意味中国らしいのかも知れません。 

プライバシー設定

 標準Androidと大きく異なるのが、プライバシーコントロールで、非常に良くなっています。中華端末なのにプライバシー管理がイケてるというのも俄に信じがたい所がありますが、少なくともデバイスの挙動を見る限り素晴らしいです。

permissions

 (画像はArsTechnicaより)

 一言で言うと、「iOSのプライバシーコントロールとほぼ同じ」です。通常Androidのアプリはインストール時にユーザーに許可を求め、ユーザーは一括で許可するか拒否する(インストールしない)かしかありません。ところがMIUIではiOSと同様、アプリが特定の動作を行ったときに、許可するかどうか尋ねてくるのです。

 上記スクリーンショットの左はFacebookアプリに位置情報の取得を許可するかどうか判断を求めている画面。真ん中の画面はアプリ設定画面の中にあるプライバシーコントロールで、SMSの読み取りや電話機能の利用許可など、個別に設定することが出来ます。「許可」「拒否」「確認」の3パターンから設定可能。

 個人的にはAndroidのプライバシーコントロールは雑過ぎると思っているので(まだ使ってもいないアプリが連絡先にアクセスする妥当性があるかどうかなんて分かりようがない)、この機能はGoogleに採用して欲しいくらいです。ちなみにLollipopで同様の機能(Universal Data Control)が導入されるという話でしたが、現在のビルドには含まれていない模様……。

 中国だから可能な独自エコシステム

 Google Play Store始めGoogleのサービスは中国では運用されていません。その為、中国国内ではAndroidデバイス向けに複数のアプリストアがサードパーティにより運営されています。Xiaomiも自社デバイスユーザー向けにMi Marketという独自ストアを運営しています。 中国語で読めませんがPCからもアクセス可能

 Googleのサービスを搭載しないと言う事は、その分いろいろと自前で用意する必要があります。XiaomiではiCloudならぬMiCloudを持っていて、写真や音楽、連絡先に加え、Googleではバックアップされない発着信履歴やSMSメッセージまでもがバックアップされるそうです。Androidデバイスマネージャーの様な紛失した場合のトラッキングも提供しています。

 一般的なブラウザやメールなどのアプリも、自社製のものを搭載しています。キャリアから購入するAndroid端末だと、似たようなアプリがGoogle製、キャリア製、デバイスメーカー製と複数搭載されていて無駄な混乱を引き起こしていますが、XiaomiデバイスはiPhoneやAmazonのKindleと同様、デバイスメーカーの意向のみが反映されているのでシンプルで明解。

 かつてSamsungは独自UIを推進しようとして、Googleに止められたことがありました。Googleの手の及ばない中国市場はAndroidにとって真のガラパゴスと言えます。

 もしGoogleのサービスやアプリを使用したい場合は、”Google Installer”というアプリをMi Marketからダウンロードすると、そこからGmailやマップ、YouTubeなど好きにインストール出来るそうです。ちゃんとアップデートもかかるそうですが、その合法性はかなりナゾ。 

困難が予測される他国での展開

 Xiaomiは現在の所中国、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドでビジネスを展開中。今後はインドネシア、タイ、ロシア、トルコ、ブラジル、メキシコへの進出が予定されています。

 興味深いのは、中国以外で販売しているデバイスにはGoogleのアプリがちゃんとプリインストールされている点。ちゃんとMADAを遵守している模様。中国以外ではそこまで自由に出来ないという事は理解しているようです。

 欧米や日本への進出ですが、今のままでは難しいだろうというのが大方の見方。なにしろ模倣しまくりなので、AppleとSamsungがあれだけバトルしている事を考えると、中国国外で影響力を持ち出した日にはAppleにこてんぱんにされると見られています。

 また、現在成功している中国でのビジネスモデルは、「Google不在だから成り立つモデル」という見方もあります。AppleがSafariのデフォルト検索エンジンにGoogleを選ぶ際にGoogleからお金を貰っているように、Xiaomiのデバイスでも各種サービスのデフォルトプロバイダから支払いを受けていると考えられています。ですが、ほとんどのサービスがGoogleに独占されている他の地域では、この部分の収入が見込めません(MADAで縛られるので)。元々Xiaomi CEOの雷軍(Lei Jun)氏は「XiaomiはApple似というよりもAmazon似だ」と発言していますが、これはハードで儲けるのではなくサービス、エコシステムで稼ぐと言うことを意味しています。もしXiaomiが欧米での成功を目指すのであれば、現在のAmazon並のサービスを提供する必要があると言うことです。

 コスパの高い端末に独自のUI、独自のファームウェア、独自のサービスで注目を集めるXiaomiですが、「中国の特殊性の賜物」という理解は必要ですね。

 個人的には、Fire Phoneで大コケしかAmazonがXiaomiと組んだら面白いかな?と感じます。中国のSteve Jobsとも言われる雷軍氏の動向に今後も要注目です。

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