「韓国勢の独壇場」のような趣のあるOLEDですが、来年2021年より中国のパネルメーカー「京東方(BOE)」がAppleへ、4500万枚のスマホOLEDディスプレイを供給することになったと、中国「太平洋電脳網」が伝えました。
今回の発注により、京東方はiPhone第2のサプライヤーとなり、Samsungが依然として大部分をAppleに供給するものの、2.3億枚から1.5億枚へ大幅に減少。
「京東方」は華為などのスマホブランドにもOLEDディスプレイを供給している、スマホやテレビ市場について詳しい方なら聞いたことがあるはずなメーカーだといいます。
実は中国最大のディスプレイパネルメーカーである京東方は昨2019年にSamsungを追い抜き、テレビ液晶パネル出荷量世界一になっているそうです。ジャパンディスプレイの処理に困っている間に、そんなことがあったんですね。
もともとAppleはSamsungのOLEDパネルを採用しましたが、後に生産能力と供給リスクを下げるために2018年からLG Displayもサプライヤーに加え、一社への過度な依頼を避けることとしたそうです。
OLEDパネルの他にも、LCDパネルは経営危機に陥ったジャパンディスプレイが供給、最近いちごトラストから9億ドルの「命綱」を掴み、AppleへのLCDパネル供給が継続可能になった、と紹介されています。無視してくれてよかったんですが。
液晶からOLEDへの置き換わりについても触れられており、従来型のLCDパネルは生産過剰、利益率の低下に直面、OLED技術に取って代わられつつある、といいます。ちなみに私が上海に住んでいた頃、日本料理店で手にとった日本の週刊誌に堺液晶パネル工場建設現場の写真が掲載されており、「この写真は中国ではなく日本だ、日本にもまだこんな力強い光景があるのだ」との説明が付されていたのを思い出し、感傷的な気分になりました。
世界の大手ディスプレイパネルメーカーは、「軽薄」、視野角が広く、省エネのOLEDに切り替えており、LG Displayも年内に韓国坡州のラインを閉鎖、韓国国内の液晶パネル生産を停止すると発表しているとか。
以上、既に「数」で天下をとっている中国OLEDメーカーが、「質」でも認められつつある、とのニュースでした。一昔前と比べるとまさに隔世の感がありますが、最近こういった話は珍しくなくなってきているので、「ものづくり大国日本」を感じられる話も掘っていきたいなと感じました。