総務省は、株式会社グッド・ラック(親会社ALL CONNECT)の電気通信事業法違反を認定。法律遵守徹底や利用者利益の保護をするよう行政指導しました。
問題となったのは株式会社グッド・ラックが展開する「どんなときもWiFi」です。
総務省によると、株式会社グッド・ラックはウェブサイト・約款・重要事項説明書で、極めて例外的な場合のみ帯域制御を行うとし、データ容量「無制限」を謳って、顧客を誘引、Wi-Fiルーターを契約させていました。
ところが2020年3月下旬、相当数の利用者の通信速度を厳しく制限。このように実際の品質より著しく高い品質を謳って不当に誘引していたグッド・ラックの行為は、電気通信事業法第1条の「利用者利益の保護」の趣旨に反するといいます。
また、通信容量逼迫の解消を目的に、一定以上データ利用実績のある利用者に対し、月間25GBを通信容量の上限とする通信制限を実施。グッド・ラックはこの基準を具体的にユーザーに示さず、問い合わせにも一律に回答しないという対応をしていたとのこと。
こうした行為は、利用者がサービス継続か解約か判断できる情報を適切に提供しなかったものとなり、電気通信事業法第27条2第1号(『利用者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項』についての事実の不告知)に該当し、違反が認められるとのこと。
さらに寄せられた苦情に対しても適切に対応していないことから、同法第27条(苦情等の処理義務)への違反も認められるといいます。
グッド・ラックは本件サービスについての必要な情報を認識せず、しかも必要な体制の構築も行わず、非常に多くの利用者の利益を損ない、社会にも極めて大きな影響を及ぼしており、同法第1条「利用者利益の保護」の趣旨に反するとしました。
総務省は、グッド・ラックが今回の行政指導を受けた再発防止措置を速やかに講じ、その内容について2020年7月16日までに総務省に報告するよう要請しています。
また、本件を受けて他の事業者にも注意を喚起。帯域制御については「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」と事業者団体が定める「帯域制御の運用基準に関するガイドライン」があり、これらの内容を踏まえ、ユーザーに周知することが適切であるとし、「無制限」を謳う場合には誤解がないようにする必要があるとしました。
グッド・ラックは本件の原因について、通信設備の仕組みや潜在的な事業リスクを卸元電気通信事業者(キャリアや兼松コミュニケーションズ株式会社等)との契約の関係で正しく認識できる状態になく、不具合発生時の体制を構築できていなかったことが原因と弁解しています。
株式会社グッド・ラックは、株式会社 ALL CONNECT(オールコネクト)の子会社。両社の本社所在地は同一となっています。
グッド・ラックの行政指導の件とは別に、同じく株式会社ALL CONNECTの子会社である株式会社ALL CONNECT CCは、不適切な端末値引きに関して2020年3月に電気通信事業法違反で行政指導を受けています。
現在、「どんなときもWiFi」は新規受付を停止中。代わりに「モバレコAir(株式会社グッド・ラック)」、「Broad WiMAX(ALL CONNECT子会社の株式会社リンクライフ)」、「WiFiストア supported モバレコ」に誘導しています。いずれもALL CONNECT関連の通信サービスまたはWebサイトとなります。