Counterpointが発表したデータによると、今年4月の「全世界」でのスマホ出荷台数で華為(Huawei)が初の首位になったと、中国「環球網」が伝えました。
同社報道によると、スマホメーカーの市場シェアの数字は2種類発表されており、一つは4月の市場占有率が華為21.4%、サムスン19.1%。もう一つは華為19%、サムスン17%となっており、いずれにせよ華為の出荷台数が初めてサムスンを追い越し、世界一位となったとの結論は変わらないとしています。
華為が世界一位に踊り出た理由には、中国スマホ市場がいち早くコロナ禍から回復を始めたことがあります。中国信息通信技術研究院によると4月に中国スマホ出荷台数は前年同期比17.2%増と、今年始めての成長を記録し、消費者による電子製品需要が反発上げ段階にあり、華為の総販売額への中国市場の寄与は76%になったといいます。「全世界」と言っても、ほぼ中国国内で売っていますね。
一方、サムスンが次点に甘んじてしまったのは最大の市場であるインドが、防疫措置のため販売台数・生産台数ともに縮小したのが響いたと見られるようです。世界がコロナ禍の中、いち早く収束させた中国国内で大きな市場シェアを握る華為が、自動的に世界シェアでも有利になったというわけですね。
中国「雷峰網」も「華為ついに世界一!」を伝え、「米中貿易戦争と新型コロナ肺炎禍という二重の不確定要素の中で、華為が2020年4月に出荷台数世界一位の成績を収めたことは、非常に得難いものである」としていますが、不安要素もあると指摘しています。
まず、GMS(グーグルモバイルサービス)を欠いた状況で、華為の海外スマホ事業を大きな打撃を受けることとなり、HMS(ファーウェイモバイルサービス)によって基本的には代替が可能なものの、GMSに対抗するには、長い時間を必要とするとしています。
また、米国政府の「制裁」が華為の半導体業務とサプライチェーンに及びはじめたことで、華為傘下海思(HiSilicon)の麒麟(Kirin)チップの供給問題も発生しており、スマホ事業に大きな影を落としていると指摘しており、華為のスマホ事業の道のりはやはりまだ遠く険しいものかもしれないと言います。
以上、たとえ1カ月の「最大瞬間風速」としても、長年の絶対的王者サムスンを破って華為が世界一に躍り出たことは、驚嘆に値するとは思いますが、「中国市場頼み」「GMSから外されている」「チップ供給」と、課題は山積。2年後、3年後にどうなっているのかは、ちょっと見通せないという状況ですね。