arrows 5G レビュー。心機一転、工夫は光るが難点多し すまほん!!

 arrows 5G F-51Aを2020年7月30日の発売日当日に購入したのでレビューしていきます。

 本機は投資ファンド ポラリス・キャピタル・グループ傘下富士通コネクテッドテクノロジーズが開発、兵庫県加東市の工場で組み立て、NTT docomoが販売する5G対応ハイエンドスマートフォン。価格は税込み11万8008円となっています。

良いところ・悪いところ

👍ココが良い! 👎ココが悪い!
+指紋認証が高精度でアプリ起動も便利
+持ちやすさ良好のかろやか筐体
+ひかえめなOLED
+スピーカーはそこそこ聞き取りやすい
+5G Sub6/ミリ波対応
+国内組み立て
+独自ATOKや泡耐性、おサイフ等便利機能維持
-顔認証がない
-安っぽい、巨大パンチホール
-今どき60Hz駆動
-バイブレーションの質が悪い
-同世代機と比べて著しく性能が低い
-劣悪なPhotoshop Expressカメラ
-ブランドの特徴MIL規格や災害耐性の放棄
-ソフト面でまだ詰めの甘さを感じる部分も
-FHD/60p録画非対応

開封

 厚みがかなり薄い化粧箱。同梱物はUSB Type-Cからイヤホンジャックへの変換アダプタとSIMピン。充電器や充電ケーブルなどは付属しません。昨今のスマートフォン、特に日本のキャリア販売モデルはこういう傾向にあります。

筐体

 カラーはネイビーブラックとチタニウムシルバーの2色展開。今回チョイスしたのはチタニウムシルバーです。

薄くて軽い!

 まず第一印象は、「なかなか薄くて軽いな」ということ。

Sponsored Link

 世界最薄5Gスマホを謳っているものの、Xperia 1 IIやGalaxy S20+ 5Gと薄さは0.1mm~0.2mmの誤差レベルの違い。カメラが最厚部9.5mmと見るからに出っ張っています。

(左:Xperia 1 II 厚さ7.9mm, 最厚部9.1mm 右:arrows 5G 厚さ7.7mm, 最厚部9.5mm)

 ただ面積が大きいためか、重量が手全体に配分され、実際に持った時の印象は軽やか。エッジ形状のおかげで、筐体が数値以上に薄い印象も受けます。フィーリングは良好。5Gミリ波/Sub6対応の割には頑張って収めてきた印象。ただワイヤレス充電は欲しかったですね。

 外観としては、流れるような意匠の柄が背面に刻印。筐体は、軽さや電波特性を重視してか、金属ではなく樹脂やプラスチックを用いています。その割には安っぽさは感じさせないような努力は垣間見えます。鏡面反射で多少ガラスっぽくしている感じで、指紋は目立ちます。好みは分かれそう。

 Xperia 1 IIの側面部はあえてプラっぽく手に馴染む処理をしたアルマイトですが、arrows 5Gの側面はそれに近い印象も受けます。

 microSDカードはスロットイン、SIMカードはSIMトレイ。イヤホンジャックがないので従来モデルのファンには残念でしょうが、個人的にはあまり使わないので問題なし。

 ミッドレンジやローエンドと異なり、ハイエンドモデルは下品な音はせず、弦を弾いたような感触で高級感があるものですが、arrows 5Gはバイブレーションが振動するとプラスチックにあたっているような安っぽい音と感触があります。

(背面が鏡面、指紋が目立つ)

エッジ形状だが許容範囲

 Android 10以降の主流となったジェスチャーナビゲーション。とっつきにくいですが、慣れると超快適。画面の大型化・縦長化が進む昨今、画面最下部に指を伸ばす必要なく、画面左右端のほとんどをバックキー領域として活用できるジェスチャーナビゲーションは、一度使い方を覚えれば、もはやナビゲーションキーに戻ることはできません。

 エッジの湾曲部が急であればあるほど、ジェスチャーナビゲーションは使いにくい場合があります。OPPO Find X2 Proは画面表示領域部分がかなりエッジ部分にかかっており、ナビゲーションジェスチャー有効化時、そこで長押しのタッチ判定がイマイチで、自分は泣く泣くジェスチャーナビゲーションを切って運用しています。一方でGalaxy S20 5Gは、エッジの角度こそあるものの、画面表示領域はほとんどエッジ部分にかかっておらず、画面端からバックキー動作を呼び出すのが非常に快適。最高の操作性です。

 arrows 5Gはちょうどその中間と言ったところでしょうか。Galaxy S20 5Gよりかは画面表示領域がエッジにかかっていますが、問題なく普通に操作できます。

 ただ、バックキー動作のときにバイブレーションによるフィードバックがありますが、前述の通りバイブレーションが安っぽいので、ちょっと違和感はあります。

見た目はイマイチ

 他社ハイエンドモデルはカメラ部と周囲の黒の差をわからないよう溶け込ませている機種も多いですが、ここは安っぽい感じ。カメラ突起上にはFeliCaモジュールが配置。

 前面。公式サイトのレンダリング画像を見る限り、エッジ形状やパンチホールという要素から「今風」だなと感じていましたが、実際に使い始めると、ベゼルは太めで、パンチホールがとてつもなくデカいことが気になります。

Sponsored Link

(最近の機種と比べるとベゼルは太め、パンチホールも大きく安っぽさを感じる)

 サムスンの2018年末の「Galaxy A8s」など、「とりあえずパンチホール載せてみた」当初の機種を思い出し、懐かしくなりました。

(このパンチホールのために通知バー領域が不自然なほど巨大化し、アプリ表示領域も圧迫されている。 左:arrows 5G F-51A, 右:OPPO Find X2 Pro, 上:Galaxy S20 5G)

 というわけで、三眼、パンチホールなどの要素だけ挙げると今風に思えますが、実際手に取ってみるとそうでもありませんでした。

オーディオビジュアル

60Hz駆動は残念

 解像度はWQHD+で精細感は十分。とはいえarrowsのかつてのハイエンドはWQHDだったので、精細感という意味での感動はありません。熱問題を抱えたSnapdragon 810を搭載したarrows NX F-04Gや今で言えばミッドハイに該当するSnapdragon 808を搭載したarrows NX F-02Hは、発熱やモッサリ感がありました。非力なSoCながらも、WQHDという高解像度液晶を備えたことでバランスを欠いていたと言えます。この年を最後に、富士通はハイエンドスマホから撤退します。

 しかし現在では有り余るSoCの性能により、WQHDよりも縦長の解像度であろうとも、普段の操作程度では動作や熱に問題は生じなくなったという点が、ユーザーにとって喜ばしい点と言えるでしょう。

Sponsored Link

 その点で言えば、現在のスマートフォンは高駆動化がトレンドとなり、ハイエンドモデルのリフレッシュレートは90Hzが最低ライン、120Hzが主流となる中、本機はいまだに60Hz。

 筆者はPixel 4、Huawei P40 Pro、AQUOS R5G、OPPO Find X2 Proといった高駆動機を気に入って愛用しており、PCゲームでも高駆動を重視しています。この滑らかさに一度ハマってしまうと、なかなか戻ることはできません。ハイエンド領域では、まさに有り余る性能を、操作の快適さ、画面表示の滑らかさに注ぐべきであると考えているだけに、60Hz止まりは率直に言って残念。

 なお、リフレッシュレートは低いとは言え、60Hzの廉価機に生じることのある強烈な残像感は感じません。(最近でいうとiPhone SE2の液晶は残像が酷く、Twitterなどのスクロールがキツくて常用したくないと感じましたが、そういったものはないということ。Xperia 1 IIも残像低減をオフにするとちょっとキツイ)

控えめの発色

 単に動画コンテンツを観るというだけなら、60Hzでも問題なし。動画の主流フレームレートは24p/30p、高くても60pだからです。

 画面の色調補正はナチュラル、ブースト、アダプティブがあります。アダプティブにしても、それほど過剰にビビッドな色彩にはなりません。ナチュラルだと眠たすぎる。派手すぎる色合いが苦手という人にはちょうどいいディスプレイかもしれません。それでいて画面方式は有機ELのため、黒の締まりは良好。今は派手さ一辺倒より、自然な色合いがトレンドですし、写真閲覧や動画視聴には十分。

オーディオ

 スピーカーの音質はさほど良くありませんが、特徴として音量は少し大きめで、喋っている人の声が少し強調されると言う印象。シャワーを浴びている最中に動画を見ていると、XperiaやAQUOSだと若干音量が足りないので、これは気に入っている点です。

Sponsored Link

 BlackBerry Key2も音量は同程度に大きくできますが、防水ではない上にarrows 5Gより音質は微妙。OPPO Find X2 Proは防水の上に、音量も音質もarrows 5Gを上回っており上位互換なので、これでいいのですが、筆者が使っているFind X2 Proのヴィーガンレザーは革のため、できるだけ風呂場に持ち込みたくないので、風呂端末にはarrows 5Gはいいかもしれないなと思っています。ただ音量と音質は、Galaxy S20の方が秀でています。あくまで国内防水端末の枠内では大きいといったところ。

日本仕様・独自機能

災害時の安心と頑丈さは失った

 富士通ならではの独自機能の代名詞といえば、ガラケー時代「浮気携帯」と評されたFの血を継ぐ「プライバシーモード」や、アンテナロッド付きワンセグ/フルセグアンテナ。

 しかしながら、arrows 5Gではこれらの機能には対応しません。ワンセグ/フルセグに至っては、チューナーごと搭載されておらず、地上波放送を受信することはできません。2020年秋以降には民放が同時放送を開始する見通しであることから、単なるテレビ視聴という意味では、ネット配信で不満点を解消することは出来ます。しかしarrows Be4には搭載されているFMラジオすら非搭載であるため、携帯基地局の損壊も想定される災害・有事への備えとしての安心感は無くなりました。

(arrows NX F-02Hは、ワンセグ/フルセグアンテナロッドを備えMIL規格にも対応)

 arrows 5GはMIL規格非対応となっており、ここ5年ほどの特徴だった「頑丈さ」も備えていません。さらにストラップホールもありません。このため、arrows 5Gならではの軽やかさは損ないますが、不安のある人は保護ケースの装着がおすすめ。

 「泡で洗える」という特徴はあるため、昨今のCOVID-19感染拡大で衛生に気を遣いたいユーザーにとっては喜ばしい点です。

虹彩認証がないのも残念

 かつて富士通やサムスンが採用していた虹彩認証。NXシリーズにおいても大きな特徴でしたが、これも採用しません。

Sponsored Link

 各社のスマホの顔認識は、マスク装着時には動作しません。機種によっては、マスクを口元だけつけて、鼻を見せた状態であれば顔認識します。鼻を出してマスクをしている場合には他者から飛沫が来た時に吸ってしまうリスクもあるので、昨今の感染症の防疫上の観点からは鼻まで装着していることが望ましいです。虹彩認証であれば単に眼だけ見えていればいいので、今の時代だからこそ虹彩認証だろうと思います。

 古きを捨て、新しいことをやろうとしている意気込みは伝わる野心作。しかし捨て去ったものが多いため、はたして正しい取捨選択だったのかと疑問に思える部分も中にはあります。

 ソフトウェア面では、従来の独自機能や、それを発展継承した部分があり、後述します。

性能

スペック表

 本機はSnapdragon 865を搭載し、カタログスペック上はハイエンドです。

OS Android 10
CPU Snapdragon 865 オクタコア
メモリ 8GB DDR5
容量 128GB, microSD
画面 6.7型 QHD+ 有機EL
カメラ 4800万画素
1630万画素超広角
800万画素望遠
インカメラ 3200万画素
電池 4070 mAh
寸法 164×76×7.7mm, 171g
その他 5G Sub6/ミリ波, IPX5/8, IP6X, FeliCa,
802.11 a/b/g/n/ac/ax 2.4GHz/5GHz
Bluetooth 5.1, Dolby Atmos

同SoC搭載機よりかなり低いパフォーマンス

 AnTuTuベンチマークでSnapdragon 865搭載機を計測すると、50万点台後半が普通です。

 しかしarrows 5Gでベンチマークを計測すると、それらに大きく劣り、前世代水準のパフォーマンスであることがわかります。同じくSnapdragon 865を搭載するOPPO Find X2 Proと比較すると一目瞭然。

Sponsored Link

 ベンチマーク実行直後、端末背面の最も熱くなる箇所の温度は、OPPO Find X2 Proと比較してもほぼ同じ37度前後でした。

 また、3DMarkを実行したところ、arrows 5Gはパフォーマンスが低いながらも、発熱はOPPO Find X2 Pro以上でした。

(AQUOS R5G / OPPO Find X2 Pro / arrows 5G)

  • AnTuTuベンチマークスコア:46万6714点
  • Geekbench 5 シングルスコア:918点
  • Geekbench 5 マルチスコア:2578点
  • 3DMark Sling Shot Extreme OpenGL ES 3.1:5562点
  • 3DMark Sling Shot Extreme Vulkan:5058点

 スコアに多少の違いがあるのは普通ですが、ここまで低いのは異常。このため、発熱抑制のためにわざわざダウンクロックか何かを意図的に働かせているものと推測しました。

 ゲーミングモード「快適ゲーミング」にて「CPUブースト」なる項目が利用できます。このモードの設定内から、ゲーム以外のアプリなども指定が可能。CPUブースト有効化時には、最大駆動が可能と仮定して、再度ベンチマークを実行しました。

 CPUブーストを有効化してもなお、スコアは大きくは変わらず。やはりAnTuTuは46万~48万点。Geekbenchはマルチスコアのみ伸びました。

Sponsored Link
  • AnTuTuベンチマークスコア(2回目):48万3120点
  • AnTuTuベンチマークスコア(3回目):46万1360点

 発熱抑制処理のおかげで長時間、同一パフォーマンスを維持できる可能性も考慮し、本項冒頭の3DMarkに続いて、すぐに二回目を計測。arrows 5Gのみ、「ゲーミング設定 CPUブースト」を有効化。むしろarrows 5Gはパフォーマンスが低下する結果に。

(OPPO Find X2 Proは安定感を見せた)

 また、3DMarkテスト内のグラフィックテストでは、他機種が60Hz上限に近い数値を出せているのに、arrows 5Gのみfpsが大きく低下している場面も散見されました。

 ちなみに、ほとんど現実的な環境に即していませんが、arrows 5Gを冷蔵庫で数分冷却した後に、AnTuTuを計測すると50万点出ました。(あまり当てにならない数値になるだけでなく、結露による故障のリスクもあるため、読者の皆さんは真似しないように)46万~50万点と結構なバラつきがあります。いずれもSnapdragon 865搭載機としてはかなり低いです。

 ちなみにOPPO Find X2 Proは、同じく冷蔵庫で冷やしても当初計測した点と5千点ほどしか違わないAnTuTu 61万2813点で、こちらは熱に左右されないようです。

 デフォルトで性能が制限されている上に除外設定をしてもパフォーマンスが発揮できない、発熱抑制をしても熱による影響は大きい、これらは率直に言って残念。クリエイティブ系アプリの書き出しや動画編集、ゲームといった高いパフォーマンスを要求される用途には、arrows 5G以外の同世代ハイエンド機をおすすめします。また、日常的な画面の滑らかさや、今後対応ゲームがさらに増えるであろうリッチな高フレームレート対応ゲームにおいて、120Hz対応のAQUOS R5GやOPPO Find X2 Proは優位性があります。

 ちなみに5年前のarrows NX F-04GやF-02HはAnTuTuベンチマーク10万点未満であり、ミッドレンジのarrows NX F-01Kも10万点台前半であることを考えると、既存機種からの乗り換えであれば、普段の操作性について性能由来の不満は感じないはずです。

電池

 ハイエンドとしての性能を制限しつつ4070mAh電池を搭載しているのであれば、それだけ電池持ちが良いことを期待してしまいますが、電池持ちはあまり良くありません。さすがに性能を制限しているだけあって画面オンで使用中は電池消費が少ないものの、待機中は悪いと感じます。Always-On Displayをオフにすると多少はマシになりますので、困った人はオフを。

 最大30WのUSB-PD対応急速充電器を用いても、本機の充電は80%到達までに1時間半かかります。AQUOS R5Gだと8割到達は1時間10分弱。USB-PD対応、電池容量もarrows 5Gと同程度のiPhone 11 Pro MaxやXperia 1 IIでも80%到達には1時間ほど。arrows 5Gの充電は遅いと言えそうです。

カメラ

静止画

 カメラアプリで撮影直後の写真をすぐ加工してくれるPhotoshop Expressモードがカメラに搭載。写真をその場で自動補正、強調処理を施してくれます。いまのところ、Photoshop ExpressモードはSony IMX586 広角(メイン)カメラにのみ限定されます。また、ロック画面下端からのショートカットや電源ボタン二回押しでは、残念ながらこれを選択することができません。

 昨今のスマホカメラは、AI処理や合成処理、自社カメラ事業部の技術投入など、競争が激化。中小メーカーが太刀打ちするのは容易ではない領域ですが、そこでAdobeと提携することで対抗するという奇策は面白く、最も筆者が注目していた点です。

Sponsored Link

 ただ、「正直、これ良くなったか?」みたいな微妙な画が多く撮れます。使うとややノイジーな画になり、ホワイトバランスが変などの傾向にあります。また、たとえばPixelであれば撮影した写真の加工処理をバックグラウンドで行うなどの工夫がありますが、Photoshop Expressモードは撮影から加工に5~8秒ほどの時間が発生、いちいち待たされるため、連続撮影には向きません。

 カメラがバックグラウンドで終了した場合、カメラモードはリセットされ、通常モードに戻るようです。さらにカメラ初回起動時の説明では、このモードを細部の強調したい夜景や逆光などで利用することをおすすめしています。

 このため、適切なシチュエーションにおいてPhotoshop Expressモードを有効化すべきと判断。夜景・低照度において撮影してみました。暗いと、とにかくノイズだらけになるのが気になります。

 写真を撮影すると、DCIM/Cameraフォルダ内にPSXから始まるファイル名でPhotoshop Expressモード撮影写真が保存されます。以下、目で見た雰囲気にはXperia 1 IIあたりが近いかと思います。このように寒色と暖色が逆転する致命的な事象は複数枚確認できました。

 他機種と比べてもかなりノイズが乗ります。変に持ち上げてノイズだらけにならない分、5年前の機種のほうが良いかもしれません。

(FCNT arrows 5G F-51Aで撮影)

(Fujitsu arrows NX F-02Hで撮影)

(Sony Xperia 1IIで撮影)

(OPPO Find X2 Proで撮影)

 発売直後の機種であるため、不具合である可能性もあります。今後のアップデートでの修正に期待したいところ。ただしPlayストアにある既存のPhotoshop Expressアプリでの自動調節も、寒色暖色の逆転や色がおかしくなるなど、同様の傾向が見られるため、残念ながらこれが「仕様」である可能性も否定はできません。

 逆光では、建物の部分など暗い部分がノイジーに。右がarrows 5G Photoshop Expressモード。

 試しに飯などの作例。机上では色が狂う傾向にあるのか、他と比べたら実際に見た色よりかなりズレています。麺の色に違和感。全体としてやはり成功打率が低いのは否めず。空を撮ると雲が良い感じに撮れることもありました。

Sponsored Link

 やはり全画面の大型スマートフォンというのは、リアルタイムで巨大なモニターでしっかり確認しながら撮れるのが強みです。気に入らない画ならAI/HDR等をオンオフすればいいだけ。しかしarrows 5GのAdobe Expressモードはそれがわからず、処理に5~8秒ほど待たされます。正直言って打率の低いもののために取られる時間が多すぎるので、これならいらないです。いっそarrows RXのように単にプリインストールしておき、後から編集を訴求で十分だと思います。

(Photoshop Expressに渡して加工し始めてもなかなかどうにもし難い。ダイナミックレンジが狭いか、RAW撮影やマルチショットなど基本的なカメラ処理をやっていないことが推測できる)

 どうしてもやるのであれば、それこそSuper ATOK ULTIASをジャストシステムと共同で作ったように、Adobeと提携してPhotoshop Expressをベースとした専用のソフトウェアを組み込み、ロック画面や電源二度押しからでも起動できるようにし、画像加工工程を見直し、加工処理をバックグラウンドで実行すべきだと思います。

動画

 動画画質は良くなく、4K/60p録画はおろかFHD/60p録画にまで非対応。発熱抑制のボトルネックになる部分は、SDM865最大パフォーマンスにせよワイヤレス充電にせよ、削ってしまう方針かもしれません。

 4Kは、スマホのカメラでは得られる画質に対して容量圧迫や発熱のデメリットが大きいから制限を加えることはまだ理解できますが、FHDですら60pが撮れないというのは許容できないものがあります。昨今のPCモニターは、4Kはまだ普及しきっていないにしても、モニターにせよスマホの画面にせよ最低限60Hz以上のリフレッシュレートに対応していることから、60pは有意であり、さらに2.5倍スロモ動画を作るのにだって使えます。FHD/60pすら撮れないハイエンドモデルというのは、本当に理解不能。

ソフトウェア

AOSPに近いホーム画面が選択可能!

 デフォルトではドコモ謹製のdocomo LIVE UXです。

Sponsored Link

 これは読者の皆さんは使ってないでしょうから、重要なのはメーカーのホーム画面。AOSPに近いarrowsホーム(従来のNXホームではなく)へと変更が可能。

 左端にスクロールするとGoogle Discover(おすすめ記事)も出てきます。個人的にはこっちのほうがピュアに近く、クセが少なくて扱いやすいですね。

これは便利、FASTフィンガーランチャーを使いこなそう!

 指紋認証をする時に、フリック方向ごとにアプリ起動を割り当てられるFASTフィンガーランチャー。これはアイデア勝ちで、けっこう便利。スライドインランチャーが指紋認証部分でも進化した感じですね。

 筆者はBlackBerry Key2などの物理QWERTYデバイスを愛用しており、各キーにアプリ即時起動を割り当てており、便利です。TでTwitter、LでLINE、PでPayPayといった具合ですね。スマートフォンがタッチパネル操作主流となり、物理キーが減ることで、アプリの優先的な即時起動というのはしにくくなってきました。そういう中でこの発想は面白いと感じるところ。

 頻繁に使う指には決済やカメラ、コミュニケーションアプリを割り当て、あまり使わない指にはゲームなどを割り当てると便利。経営陣刷新後に生まれ変わったXperiaの独自機能に、海外大手メーカーからフォロワーが複数現れたように、FASTフィンガーランチャー的な任意のアプリ即時起動の試みは、今後各社に広がっていってもいいのではないか、と感じました。

追記:指紋認証長押しで複数の任意アプリを即時起動するランチャー自体は、既に1年前からOnePlusが「Quick Launch」の名称で導入していました。(御指摘いただいた読者さん、ありがとうございます)

 ただしロックを解錠してフリックをしてすぐに離すと認識されず、うまくアプリが起動しません。コツを掴んで慣れていくのがよさそうですね。

 ゆっくり着実に押し込んで操作するよう心がけましょう。そして、起動したいアプリ方向で指を離す直前には、アイコンの上に指が乗っている状態でないといけません。この判定について、「別に方向さえ合っていれば指がアイコンの上に乗っている必要はないのでは……」と思います。動作キャンセルなら指紋認証部分で指を離すか、斜めあたりに指を置いて離せばいいだけです。

Sponsored Link

 非常に面白い機能であると感じているだけに、こうした初見殺しのイマイチな仕様があるため、うまく動作せず、さっさと「よくあるいらない独自機能」と判断されてしまいそうなのが惜しい。この辺りのチューニングは早期にアップデートで追い込んだほうがいいのではと感じます。

残念ながら顔認証はなし、ただ指紋認証は精度良好

 顔認識やSmartLockの顔認証の存在は確認できませんでした。FASTフィンガーランチャー前提の端末と考えて納得すれば、ロック画面を省略できないことはわかるものの、そこは「顔を認識したら解錠はするも、ロック画面は表示したまま。フリック動作で割当アプリを起動する」といった手順にすればいいだけなので、顔認識を用意すらしていないのはやや疑問。インカメラでの認証はセキュアではないのはわかっているものの、そこはユーザーの選択肢があってもよかったのでは、と思います。

(左: arrows 5G, 右:OPPO Find X2 Pro)

 画面内指紋認証の位置はやや上の方ですし、そもそも画面内なので、慣れが必要です。ただ、取り回しがよく持ちやすい機種ではあるので、多少上の方に認証部位があるからといって、特に苦はないので、本当に慣れれば全く問題ない点だろうと思います。

 通常、画面内指紋認証を有する他メーカーの機種では、スマホを持った状態で手をひねったりすれば、すぐに指を合わせる位置が点灯するなど、わかりやすいようになっています。arrows 5Gも、カバンから取り出したりするときは、指紋マークが点灯はするものの、手に持った状態だと点灯しにくい印象。

 画面を消灯時、画面をダブルタップで強制的に指紋部分が光るようになっています。機種に慣熟するまでは「画面を二度タップ」と覚えておきましょう。

 なお、解錠精度に関しては抜群です。誤認識がほとんどありません。他機種だとかなり厳しいシチュエーション、水に濡れた状態でもそこそこ認識します。

 良好な精度の指紋認証というのは明確に他機種に対する強みだと思います。そして指紋認証をフックとした即時アプリ起動も相まって、顔認識非対応という弱点は、かなり相殺できてくるので、もし購入にあたって顔認識非対応をネックに感じている人がいれば、そこは指紋認証を信じていいのではと言いたいです。

このarrows独自機能は健在

 従来のarrowsにあったキャプメモとなぞってコピーは、スライドインランチャーの中に発見できました。スライドインランチャーは、画面上部左右からスワイプ動作で呼び出し可能。ただし従来機種と異なりスライドで引っ張り出せる位置に制約はあるほか、現状、ジェスチャーナビゲーションとの干渉がたまにあり、ちょっとチューニングが甘いかなという印象。

 個人的にはキャプメモはGalaxy Noteシリーズぐらいのスタイラスが無いと使わないですし、今はGoogle Photo等でスクリーンショット編集ができるのが普通なので、もはやほとんど過去の機能だと思います。

Sponsored Link

 これに対してなぞってコピーは結構重宝すると思います。読者のみなさんにわかるように言うと「YouTubeアプリの説明欄など、通常はコピペできない部分を、Galaxy NoteならS-Penスタイラスで選択してコピペできる。あれができる」という機能。画像内からも読み取りできます。ちょうど昔NECカシオが搭載してたような機能ですね。

 なお、スライドディスプレイは廃止。縦長化・大型化した今のハイエンドにこそ、あの片手操作しやすい機能を欲しいと思う人はいるのではないでしょうか。あと手袋タッチも見当たりませんでしたので、冬は注意ですね。

総評

 色んなものを切り捨てた野心作。でも全然まだまだ。

 心機一転、放ったはいいものの「逸れ矢」。バッサリ生まれ変わったのは良かったけれど、切るべきではないものもあったかも。せっかく捨てた代わりに手に入れたものも、まだまだ煮詰めきれておらず、新しいファンを獲得できるかは未知数。本気で獲得しに行くのであれば、高駆動や小型パンチホールなど、もうひと押しは欲しかった。

 いまのところ、最新機種を満遍なく利用し、比較レビューしている立場として、率直に言ってミリ波対応の5Gスマホの中で人におすすめできるのは、Galaxyだろうと思います。

 ミリ波を重視せず、国内メーカーを選びたい一般ユーザーには、薄さがほぼ変わらないながらもワイヤレス充電に対応したXperia 1 IIや、120Hz駆動のAQUOS R5Gをおすすめします。どちらも地上波放送受信機能や防水防塵に対応し、画面がフラットなのでAndroid 10以降のジェスチャーナビゲーションで操作しやすいです。

Sponsored Link

 ハイエンド機ならではの性能やカメラは期待外れでしたが、そもそもSnapdragon 865を制限して載せる発想であれば、特にハイエンドである必要は無いと思ったのは正直なところ。最初からSnapdragon 700番台後半のSoCなら5G対応であり、60Hz駆動だろうがまだ問題視されにくく、各社本気のフラッグシップと比較して低評価を下されることも避けられ、価格も抑えられます。

 ただ今回のレビューで述べたように、指紋認証関連やFASTフィンガーランチャーなど、刺さる人には刺さる強烈な個性もあり、これらに惹かれるのであれば購入を検討をしてもいいかもしれません。

 今後の可能性を感じる部分はあります。願わくば第二の矢が放たれるのを期待したいところです。

NTT docomoの最新端末をチェック。
ドコモオンラインショップ

8月11日更新:動画と充電について追記。消灯時ダブルタップでの画面点灯は設定でオフにできるため、該当部分を削除。記事全体をブラッシュアップしました。