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総務省、MNP手数料無料化へ。しかし携帯キャリアの抵抗に負けて最重要「MNP二度手間」制度の是正は見送りか

 総務省ワーキンググループはモバイル市場に関してMNP制度に関する事項の課題を挙げました。

 それによると、オンラインでのMNP手続きは転出手数料を無料に。そして店頭での手続きは1100円を上限にする方針。

 MNP手数料ぐらいは利用者負担で良さそうな気もしますが、MNP開始から15年が経過しシステム開発・設備費用の改修は済んでいるのではないか、新規加入手数料や基本料で回収されていると整理できるのではないか、といった考えが示されました。そもそもMNP事務手数料については、2000円から3000円へと値上げし改悪された経緯があり、市場原理に任せられないと指摘。

(出典:総務省

 特にWeb手続きについては、コロナ禍時代の新生活様式において24時間化などオンライン移行を進めるべきという観点や、主要国のMNPでは乗り換えの際の負担が少ないといった点が挙げられ、より多くのユーザーがMNPできるよう無料化すべきとの考え方が示されました。

 MNPを利用しやすいよう、強い政策的サポートは素晴らしいと感じます。

 しかし日本のユーザーの多くは、現金キャッシュバックがいくらあろうとも、それほど乗り換えを利用しませんでした。やはり金銭よりも、手間の要因が大きいのではと筆者は感じます。なので、今回MNPが無償化されても、それでもMNPを踏みとどまってしまうユーザーは多いのではと思います。

 これまで検討されていたのに、今回抜け落ちてしまった重要な論点があります。それがMNPのワンストップ化です。

 これまでMNPをする際には、転出元キャリアで予約受付番号を発行し、その後で、転出先キャリアでMNP転入作業が必要です。ユーザーにとっては二度手間です。

 これを転出先のキャリアでの手続きで完結させて、手間を無くそうという案が、総務省で検討され、楽天モバイルや一部MVNOが前向きな姿勢を見せていました。諸外国でも広く導入されており、サクッと会社を乗り換えられて、素晴らしい仕組みです。

 しかし携帯大手三社がこれに反発。

(出典:総務省

 ユーザーがMNP作業を転出先のみで完結できれば、引き止めようがないので引き止め規制なんていらないのですが、今回MNPワンストップ化については触れられず、引き止め規制のみが言及されている状況。結局、見送られてしまったようにも見えます。

 かつて金銭では動かなかったユーザーの心理を考えれば、ここの改革こそが最も重要な本丸であったはず。残念ながら既存キャリアの抵抗によって、ユーザーにとって最も重要な部分が欠落、骨抜き化されてしまった形となってしまったとすれば、中途半端な印象を拭えず、本当に失望です。

 一連のワーキンググループでは、携帯キャリアの「頭金」も取り沙汰されました。そもそも頭金とは社会通念上、ローンを組む際の先払いであり、支払った分だけローンが減るのですが、携帯キャリアの言う「頭金」は店舗の利益、接客手数料とでも言うべきものであり、実態と乖離しています。ここをついに指摘したのは素晴らしい。あまりにも遅すぎますが。

 「頭金」やMNP二度手間制度など、携帯キャリアの悪癖を徹底的に破壊することを総務省に期待します。

情報元総務省
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