スマート家電などを手掛ける企業、VanTop Japan株式会社より、ロボット掃除機Kyvol E31を提供していただいたのでレビューします。Kyvol E31の定価は2万7999円。ロボット掃除機の中では、比較的安価な部類に入る製品ですが、音声コントロールや水拭き掃除もできるのが特徴の製品です。
聞きなれないブランドのロボット掃除機ですが、今回はその実力を確かめていきます。
Kyvol E31
デザイン
Kyvol E31は、ロボット掃除機としては一般的な円形のデザイン。シンプルなデザインなので置き場所には困らないですね。
掃除機の前面には下部には衝撃吸収用のラバーが取り付けられています。
サイドブラシは底部左上の1つあります。
スマホとの連携
専用アプリ「Kyvol」を利用することで、スマホから音声操作ができるようになります。アプリ利用には、新規アカウント作成後、2.4Ghz帯のWi-Fiを利用してセットアップを進める必要があります。
セットアップは少し面倒な作業ですが、アプリからは清掃の予約や、バッテリー残量・ブラシやフィルターの消耗具合の確認もできるので利用することをおすすめします。
崩壊する部屋、正常か否かを確認する
また、マッピング機能も搭載しており、掃除した個所が表示されますが、この精度は微妙。ガタガタな地図が出来上がりました。
同梱されていた説明書には、使用上の注意点やトラブル・エラー発生時の対処法、サポートの連絡先などが日本語で詳細に記されています。説明書が英語のみ、サポートの連絡先がわからないということは無名メーカーにありがちですが、Kyvolなら大丈夫。ただし、電話でのサポートは行っていないようでした。
マッピング機能の精度について、サポートにメールで確認したところ、「他の場所で掃除すればうまくマッピング機能が動作することもある」という旨の返信がサポートより返ってきました。少し、聞きたかったこととは違う返答でしたが、メール送信から24時間以内に返信があり、素早いサポートを受けられることはわかりました。
つまり部屋によっては正常にマッピングできることもあるらしいが、私の部屋では奇抜な形状のオリジナル地図が作れます。シヴィライゼーションみたいで楽しいですね。自室から生成できる点はバーコードバトラー的。自分だけの島の地図を作ろう!
確かな吸引力
Kyvol E31はパワーブースト機能を備えており、フローリングからカーペットに移ると、自動的に吸引力を上げてくれます。カーペット上に絡まっていたゴミも綺麗に吸い上げてくれました。
吸引力はアプリから調節可能で、最大3000Pa。Paはゴミを吸い込む圧力の単位で、同価格帯のロボット掃除機と比べ3000Paは高い数値です。
カーペットは低価格帯のロボット掃除機では、あまり綺麗に掃除できないイメージですが、本製品ではかなり綺麗に掃除できていました。カーペットの毛足が極端に長くない限り綺麗に清掃してくれるでしょう。実際にカーペット清掃後はかなりゴミがタンクに溜まっていました。
また、センサーをうまく利用し、ぴったり壁沿いに沿って清掃をするため、部屋の端にゴミが残るということもあまりなく、この点も気に入っています。
いまいちなところ
わずか高さ1、2cmの椅子の足をうまく乗り越えられず、エラー音を発し、停止してしまうことがありました。
とはいえ、ルンバも乗り越えは2cm程度なので、コイツが特段ダメ、というほどでもないと思います。
障害物の検知能力は価格相応といったところ。うまく障害物を検知し、避けて清掃してくれることもありますが、障害物が小さな物だと、そのまま直進してぶつかってしまうこともありました。これはどのロボット掃除機にも言えることではありますが、使用前に小さな置物などは事前によけておくといいでしょう。
水拭きに関しては出てくる水量が多く、いまいちでした。筆者の家の床と相性が悪いのかもしれませんが、水拭きされたすぐ後ろを歩くと靴下が濡れてしまう程です。水量は三段階調節できるので、最も弱いレベル1にしましたが、それでも水量は多く感じます。写真ではわかりにくいのですが、参考までに掲載します。
アプリだけでなくGoogle Assistantでも制御可能
また、予約した時間に清掃を開始できたりと、IoTデバイスとして一定の機能を備えているのも確かです。仕事などで外出している間に部屋の掃除をしてもらいたい、という方には良い製品ですね。
音声操作はGoogle アシスタントを利用して操作できることを確認しました。「掃除機を動かして」と話すだけで掃除を始めてくれます。近未来的な感じがするので音声操作は気に入っています。
そもそもスマートデバイスとIoTが最終的に目指すべき世界観は、デバイスを意識しない、それこそ身体に機械を埋め込むような「存在すら感じさせない空気のようなもの」であるはず。その道程として必然的に「リモコンの消滅」は真っ先に考えていなければならない。つまり「Google Home等と連携して、どのデバイスを用いるかを極力意識せずに、あらゆるデバイスから自然に音声操作できる」のはIoTデバイスとして最低条件であり、これができない、リモコンアプリ限定の製品を作るメーカーは根本的にセンスがなく、特に「リモコンアプリはスマホ1台まで」という縛りがあると救いようがない。少なくとも本機は、低価格帯製品ながらも現代的なIoTデバイスとして踏まえているべき最低ラインはクリアしていると言えるでしょう。
総評
安価なロボット掃除機を探しているなら、本製品の購入を検討しても良いでしょう。フローリング・カーペット上での清掃能力は十分実用的です。ただし、水拭きでの性能を重視するならあまりおすすめはできません。
筆者が以前使用していたロボット掃除機は、10年程前に発売されたルンバ537というモデルです。価格は8万円前後であったと記憶していますが、清掃能力に関しては2万円台のKyvol E31もそん色のないものでした。発売時期に10年も差がありますが、この10年でロボット掃除機もずいぶんコモディティ化していると感じました。
(編集・校閲: あいばら)