オーストラリア政府が準備する新法案に対して、Googleが激しく反発し、Google検索サービスの撤退も示唆した上で牽制しました。これについてロイター通信や9to5Googleが伝えています。
法案の概要
現在、オーストラリア政府が準備しているのは、「ニュースメディア交渉規則」法です。
この法律を要約すると、GoogleとFacebookに「検索結果に表示するニュースにお金を払え」といった内容の要求をしています。
具体的には、GoogleとFacebookが保有・提供するサービス上で検索結果にニュース記事が含まれる場合、その提供元の報道メディアに対して広告収入を共有しなければならない、ということです。
近年、オーストラリアのネット広告市場は、年間約57.2億ドル(約6000億円)規模にまで拡大していますが、これらのうちほぼ3分の1がGoogleとFacebookに支払われており、大手2社が市場を牽引する形になっています。豪州政府はこの独占状態を問題視し、GoogleとFacebookによる企業間競争の妨害を防ぐ事を目的として、法案の整備を進めてきました。
Google・Facebookの反応
Google Australiaのメルシルバ氏は、豪州上院立法委員会の公聴会に出席し、意見陳述をしています。
同氏は、Webサイト間での無制限なリンク共有の原則は、検索の基本であるとした上で、「これらの規則が法制化された場合、オーストラリア国内でのGoogle検索の利用を停止せざるを得ない」とし、内容の具体的な変更を求めて政府を牽制しました。
また、Facebookのウィル・イーストン氏は、「これまでにオーストラリアの出版社をサポートするために数百万ドルを投資してきた」とし、政府の発表に失望するとの声明を発表しています。
Webトラフィックの分析を行うstatcounterの統計では、オーストラリア国内での検索エンジンシェアは、93%以上をGoogleが占めています。そのため、仮にGoogle検索がオーストラリアから撤退した場合、Googleだけでなくオーストラリア国内のユーザーにも大きな影響があるのは間違い無いでしょう。今後この法案は、立法委員会を通過したのち可決されると見られており、法案が成立すればGoogleとFacebookによる反発は更に強まると見られています。