Zenfone 8 レビュー。待望の防水FeliCa、理想の小さめハイエンド! すまほん!!

 持ち心地最高!

 ASUSより「Zenfone 8」を一定期間貸与していただいたのでレビューします。

本音は「ありがたいが、おすすめしにくいメーカー」

zenfone-2

 ASUSは日本に率先してSIMフリーを意欲的に投入、現在に至るまで高性能モデルを果敢に投入してくれている市場開拓者であり、素晴らしいメーカーです。

 一方でここ数年「メイン機として自信をもっておすすめできるか?」というと、正直言って選択肢にはちょっと挙げにくかったところもありました。これは主に「ローカライズの不足」により、競争の激化に対応しきれていないと筆者は感じていたためです。

 今回、注目点は「FeliCaと防水対応」です。まさかしっかり日本仕様まで取り入れてくれるとは、驚きました。

 ちなみに筆者はハイエンドスマホはカメラ画質が必須だと考えており、ここが悪いスマホはおすすめするのは難しいです。Zenfoneは7辺りで既にそうでしたが、8も使ってみて後述する通り「カメラ、けっこう良いかも」と感じています。おすすめしにくい要因は無くなったのではないかと思います。

雨の日でも心配無用

 もちろん「駄目なところが無くなっただけでは買う気が起きない、個性が欲しい」というのが弊誌読者の感じるところだと思います。これについて筆者は「サイズ」「スマートキー」といった点に見出します。

大きすぎない、小さすぎない絶妙サイズ

 本機の最大の特徴がそのサイズ。2層基盤PCB インターポーザにより内部配置を合理化して小型化。比較的狭く持ちやすい筐体が特徴。

 前面はゴリラガラスヴィクタス。背面はマットなすりガラス。すべすべとさわり心地は最高。上質で高級感を醸し出します。防水筐体ながらも端末上部にはイヤホンジャックあり。

 側面は非光沢アルミフレーム。底部にスピーカー、マイク、USB Type-C、SIMスロットを備えます。SIMスロットは物理デュアルSIM。筐体厚みは約8.9mm。

 前面は非エッジでフラットなのに対し、背面のみエッジ形状となっているため、持ちやすいのがポイント

 やはり幅68.5mmに抑えているだけあって保持しやすいです。

 サイズ感や印象は、シャープの名機「AQUOS R2 Compact」辺りを彷彿させます。

左:Zenfone 8, 右:AQUOS R Compact

上:Zenfone 8, 下:AQUOS R Compact

 Snapdragon 888機としても小型。手のひらにすっぽりハマります。

左からXperia 1 III, Zenfone 8, AQUOS R6

 Xperia 5/10シリーズとほぼ同じ幅ですが、高さわずか148mmとなっており、Xperia 5/10シリーズよりも低くポケットへの収まりも非常に良い。Xperia 1 IIIやAQUOS R6と同級性能ながら収まりの良さは圧倒的。

 昨今の大型化ポケットの小さいズボンだと、歩いてる時に腰に当たる感じすらありますが、本機にはそういったこともなく。重量も軽めなのも好印象。

 個人的には、唯一の誤算がすりガラス調のマット背面。持ち方によっては、油断するとツルッと滑って落としそうになることも。

 良くも悪くも昨今の大型化するハイエンドは「基本は両手で操作するもの」という諦めがあるため、滑って落とすことはありません。しかしZenfone 8はサイズ感が素晴らしく、ぜんぶ片手操作したくなるがゆえに、端まで指を伸ばそうとして端末保持が不安定になってしまいます。これは筆者の使い方や慣れ、手の大きさといった要因も大きいと思います。

 サイズ的にはかなり良いですし、すりガラス調素材も高級感があって触り心地も大好きなので、もしこれでストラップホールさえ備わっていればもっと良かったなぁと感じました。3色展開のうち、マット調はHorizon Silver(今回試用)とObsidian Blackであるので、もし光沢のMoonlight Whiteだとまた違った感想だったかもしれません。

 解決策としては、物理的には、保護ケースを装着してストラップを付ける、スマホリングを付けるといったことが考えられます。

 運用的には、片手操作モードの活用でしょうか。前面下部を下方向にスワイプすることで呼び出し可能。画面全体が下にさがるので、無理な手の持ち方は避けられます。

小さくても性能怪獣

 Snapdragon 888を搭載。実行メモリはLPDDR5で転送速度6400Mbps。小ぶりながらハイスペックな仕様です。

OS Android 11
SoC Snapdragon 888
メモリ 8 / 16 GB
容量 128 / 256 GB
画面 5.9インチ OLED (2400×1080)
120Hz対応
カメラ 6400万画素 F1.8 広角カメラ
1200万画素 F2.2 超広角カメラ

インカメラ 1200万画素
電池 4000 mAh
寸法 148 × 68.5 × 8.9 mm, 169g
Obsidian Black
Horizon Silver
Moonlight White
その他 画面内指紋認証
3.5mmジャック搭載
IP68対応

簡素だが特色あるソフトウェア、スマートキーが気に入った

 ホーム画面などUIはAOSP寄り、つまり無駄なカスタマイズはあまり多くありません。普通に使えます。プリインストールアプリにはハイレゾ音源再生用の「NePLAYER for ASUS」が含まれます。

 標準IME/ソフトウェアキーボードはジャストシステムのATOK。

かなり些細ですが今作よりZen”F”oneからZen”f”oneに正式表記が変更されましたが、ATOKはまだ未修正

 Zenfone 8の「電源ボタン」として振る舞っているボタンは、カスタム可能な「スマートキー」となっています。

 長押しと2度押しに特定のアプリ、動作を割り当て可能。これがかなり便利。

 割当可能な動作は自動回転、マナーモード、電話帳やTwitter DMの特定の連絡先、ストップウォッチ、Googleアシスタント、カメラ起動、新しいタスク/予定追加、音声レコーダーの録音開始停止まで。

 特に物理キーで録音開始停止はものすごく便利。ボイスレコーダーとしてガンガン使えます。昔のクリエTH55みたいで良いですね。

通信

 本機はMNO四社に対応。VoLTEも4Gプラチナバンドもばっちり。5G Sub6 n79には非対応なので、5G重視且つドコモ回線で使う場合には留意したいところ。

 筆者はLINEMOの物理SIMカードを用いましたが、プリセットAPN一覧にはしっかりとLINEMOあり。APNの各項目を入力する手間もなく、チェックを入れれば利用できます。

オーディオビジュアル

 しばらく映画視聴を中心に試しましたが、ステレオスピーカーを搭載、音響面は小型筐体にしてはしっかり迫力のある印象。音質も音量もAQUOS R6以上に出ています。おそらく最高峰に近いと思われるのがXperia 1 IIIですが、流石にそれには及びません。

 ディスプレイは輝度高め、視野角も広く普段利用するのに十分。5.9型ながらも120Hz駆動により滑らかな動作感は抑えているのが素晴らしい。

生体認証

 基本的にはかなり高速で、しっかりと指紋認証領域に指を当ててさえいれば、端末を持ち上げたときにすぐに認証できる印象です。なかなか優秀。

 ただし認証できる領域は狭いので慣れは必要です。また雨の日に反応が著しく悪い時もありました。

 AQUOS R6の最新画面内指紋認証センサーは読み取り領域が広く認証精度も高く快適ですが、画面消灯時から指を置いて画面が点いた時には、やや精度が下がる印象。この点、指を画面消灯時から置いて解錠させるやり方ではZenfone 8は高速高精度。位置さえしっかり慣れることができれば快適……といったところ。

電池

 急速充電は30W。ハイエンドとして最低限は満たしており、十分です。

 電池持ちは1日使うぶんには筆者には十分ですが、電池容量4000mAhの割にはそれほど良くはない印象。1台持ちでヘビーに使う人には余裕がない、イマイチな電池持ちかもしれません。念の為、手持ちのSnapdragon 888機と2時間のバッテリーテストを実施しました。

PCMark 3.0 Work 3.0 Battery life 2時間経過時
Zenfone 8 Xperia 1 III AQUOS R6
68% 71% 82%

 個人的には、厚みがそこそこある本機、ぜひ無線充電Qiに対応していて欲しかったと思います。

念願のおサイフ対応!

 本機が素晴らしいのは、Zenfoneとして初めてFeliCaを搭載した点。ついにおサイフケータイを使えます。

 東京や地方都市は鉄道交通網がほとんど前提であり、特に東京は鉄道網発達に支えられた人口約3800万人という世界最大の巨大都市圏を構成します。地方都市と東京を転々としている筆者としてはFeliCaは必要。最近でこそwena 3によって腕で決済しているので、以前ほどスマホ側に必須ではなくなりましたが、FeliCa搭載ウェアラブル端末を毎日腕につけるという人は少数派でしょうし、人にスマホを勧めるなら、特にハイエンド機ならやはりFeliCa搭載機です。

カメラ

 カメラは二眼。構成は、メインに光学手ブレ補正対応の広角6400万画素 1/1.73型 Sony IMX686。そして超広角1200万画素 Sony IMX363。

 デジタル望遠は最大6倍。2倍程度は使えます。

3倍デジタル望遠

 カメラはオートでもそこそこ綺麗に撮れます。競合他社ハイエンドとの差を大きく縮めてきたなと感じます。十分に使えます。

 傾向としてはあまり派手にしすぎない落ち着いた印象。飯撮りもそれほど問題なくできます。

 他の最新ハイエンドGalaxy端末と比べるとカメラ画質は若干劣るGalaxy Z Fold2と比較。暗めの店内で撮影。左がGalaxy Z Fold2、右がZenfone 8。両者撮影時に機体側で約1.5倍デジタルズーム。

 Zenfone 8のカメラオートは料理判定でしたがGalaxyの方が僅差で暖色寄りで好み。まあ誤差に近いレベル。

 複数枚を合成処理するHDR。自分の用途だと、通常撮影ではダイナミックレンジに収まらない看板や光源などハイキーを暗くしたいシチュエーションでHDRを動作させることが多いのですが、オートHDRでも手動HDRでも、正直あまりキマらないことも。左がHDR、右がオート。オートのほうがいい。

 カメラはデフォルトではオートHDRがオフになっています。さらに暗い夜間の場合は「HDRでは夜間撮影を検出できません」と表示されます。

 カメラのオートモードで夜間判定になれば自動的に夜景モードが有効化します。むしろオートHDRだと、夜間に自動夜景判定が効きません。オートHDRと排他。暗い時は夜景モードを使ってくれというのはわかりますし、明示的にHDRオンの場合は夜景判定が発生しなくていいと思いますが、オートHDR時には夜景判定が発生しても良いのではないかと思いますね。

 左上の看板が白飛びしているのを夜景モードの合成処理ならしっかり抑えられます。左がHDR、右が夜景。光源を抑えつつ黒を引き締まらせることができました。

 夜景モード自体はしっかりキマって良い感じ。

 他社との比較。わかりやすい東京駅で。

 Zenfone 8の画作りは、ぱっと見で非常にトレンド的で、かなり明るく写っています。ただ色味が黄色っぽく薄まっていている印象もあります。

 一方で夜景モード時の手ブレによる失敗は少ないため使いやすく感じます。ここは優秀。

 超広角でも夜景判定はしっかり効くので、パッと見は良い感じ。ただし少し拡大するとかなりノイジー。

 マニュアル撮影モードは必要十分な設定項目がかなり揃っている印象。カスタム設定保持も可能なのが良いですね。

 ちなみにDxOMarkカメラスコアは120点。これはGalaxy Note20、Pixel 5、iPhone 12に近い点数であるため、現代最新ハイエンド端末として恥ずかしくない水準と言えます。ただし昨今、信用や権威の揺らいでいるDxOMarkといういち指標に過ぎません。あくまで「いくつかある物差しのひとつ」として参考にすることを推奨します。

ハイエンドコンパクトとして。本機をどう捉えるか

 AQUOS R2 CompactはSoCを800番台にした上で、SIMフリー市場にも投入するなど果敢に攻めた素晴らしいモデルでした。

 ところがデザインは上下ダブルノッチで賛否両論。その指紋認証センサーの位置はデザイン的には無いんじゃないかと思います。(認証しやすくはあったので一概には言えませんが。)そしてカメラは全く駄目。こうした点から、小型ハイエンドは好きでもなかなかメイン機として導入できなかった人も多かったのではないかと思います。

 今回登場したZenfoneは、ベゼルレスで画面内指紋認証。カメラもなかなか良好。待望の持ちやすいハイエンドSIMフリーではないでしょうか。

 名機Xperia XZ1 Compactを考えるとどうか?あれは幅狭でHD解像度にすることで電池容量を抑えつつ電池持続時間を確保した尖りぶりが素晴らしいスマホでした。

 Zenfone 8はSnapdragon 888搭載の最新スマホとしては小ぶりに収めたのは間違いありませんが、それでもハイエンドSoCを載せた意義を発揮できる程度の現実的な大画面は維持しています。XZ1 CompactやXZ2 Compactの後釜を探している人には候補になってくると思いますが、上下ベゼルよりも縦長に画面が広がっているぐらいなので、指を伸ばす範囲は上下にかなり広がっているはずです。片手保持のしやすさは得られますが、「片手完結操作」は容易ではない可能性を想定して購入すべきでしょう。前述の通りケースやストラップ、リングにて片手操作性を向上するのもいいかもしれません。

 もうすこし小さな最新機種としては、Android以外ではiPhone 12 miniという選択肢もあります。片手完結操作を最重視する正真正銘の小型ハイエンドならiPhone 12 miniが有力となってくるはずです。

 ただ指紋認証の欠如によりコロナ禍では使いにくいため、Apple Watchと合わせて使うことによる認証精度緩和までやる気がないのであれば、今Face ID採用のiPhoneを使うことはないなというのが正直なところ。自分ならきっと画面内指紋認証でサクッと解錠できるZenfone 8を選ぶと思います。

 なお、意外と見落としているのがGalaxy Sシリーズの存在でしょうか。Galaxy S20/21も非常に薄型軽量で片手保持もしやすく魅力的で、実は隠れたライバルなのではないかと考えています。

 S20/21と寸法や重量がそれほど離れていません。Zenfone 8のほうが幅も高さも小さくて重量も軽いですが、厚みはGalaxyの方が薄いです。幅はS20が69.1mm、S21が71mm。Zenfone 8のほうが優位なのは間違いありませんが、持った印象の軽やかさはいい勝負。トップメーカーならではの成熟したソフトウェア完成度もGalaxyは魅力的ですから、こちらも可能であれば実機を軽く確認した上で検討するのもいいのではないかと思います。

 ただハイエンドGalaxyの問題点はMNO販路に限られます。Zenfone 8ならSIMフリーでサクッと購入可能。しかもハイエンドとしては特に下限「8/128GBモデル」は非常に安く、税込みで8万円を切る低価格は強みです。

総評

 公開市場(SIMフリー)においては比較的小さめのハイエンドとして特色があり、弱点を克服してきたモデルとして非常におすすめです。適度な価格でしっかりツボも抑えている、理想の一台ではないかと思います。

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