中国「界面新聞」によると、華為投資控股有限公司(華為の持株会社、以下「華為」)が2022年初の市場での資金調達に動いているとのこと。
用途は「運転資金」中期債発行規模760億円
最近、華為は銀行間市場交易商協会の批准を経て、全国銀行間債券市場にて同社2022年度第一期中期債を公開発行すると公告しました。
公告によれば、償還期限は3年、発行規模は40億元(約760億円)、利率2.7%-3.3%、払い戻し日は2025年1月10日。
華為は今回の資金募集の目的を会社本体と子会社の運転資金とし、長期投資、不動産投資、金融証券投資等に使用しない旨承諾しているとのこと。
背景に「前年比28.88%減」の通年売上高?
募集書によると、2018-2020年、華為は連結で各年、7151.92億元(前年比19.50%増)、8496.46億元(前年比18.80%増)、8828.77億元(前年比3.91%増)の営業収入を実現、研究開発費はそれぞれ1014.75億元、1314.66億元、1419.51億元を投入したとしています。
しかし華為の売上高は2021年に大幅下落した模様。2022年1月4日に華為輪番董事長郭平がSNSの華為公式アカウントで発表した文章の中で、2021年の売上高を6340億元と見込んでいると明かしました。
財務報告によると、華為の2020年通年売上高は8914億元。つまり2021年は前年比28.88%減ということに。
また、2021年度の報告によると、営業収入は2021年第1四半期1522億元(前年同期比16.5%減)、第2四半期1682億元(同38.1%減)、第3四半期1354億元(同37.7%減) 。
華為の格付けは「AAA」
3季連続で営業収入が減少しているとはいえ、今回の中期債発行にあたり、聯合資信は総合評価でAAAの高い格付けをしています。
聯合資信によると、近年の華為の中心業務の経営は安定しており、コンシューマー、企業間業務も迅速に展開していることから、非常に強力な収益化能力、現金化と再投入能力を備えており、資産規模も成長を持続、現金類資産の余裕も十分であり、債務負担は比較的軽いとのこと。
登記情報によると、華為は2003年3月14日設立、以前の商号は深圳市華為投資控股有限公司。設立時資本金は32.68億元、労働組合持ち株率98.93%、任正非が1.07%を保有。数次の増資を経て、現在の資本金は388.63億元、労働組合99.25%、任正非0.75%。
まだまだ低い負債比率
財務報告によると、2021年第3四半期末の資産総額9082.33億元、負債総額5589.16億元、負債比率61.54%。
界面新聞記者は、華為が2019年から金融市場からの資金調達を開始したのに注目しています。現有の債券は9本、合計残額230億元。そのうち、2019年には中期債2本を発行し合計調達額60億元。2020年は中期債4本、合計90億元調達。2021年には中期債2本、80億元。
証券業者によると、一般の民間企業に比べて華為の債券市場での資金調達コストは明らかな強みがある、これは市場の華為への信頼を反映もしている。華為の営業収入減少は、ある程度は世界的なコロナ禍による不確定要素の影響を受けているとのこと。
まとめ
大人の事情ならぬ「大国間の事情」でスマホが出なくなったファーウェイですが、昨年は売上高約3割減と、大幅な減収が見込まれています。
ただし、負債率は教科書的な見方をすると、「300%までは返済能力十分」、「100%未満なら極めて健全」なところ、まだ60%台ですので、経営がどうこうという状況ではないようです。