これマジで249ドルなの?
Xiaomiの最新機種「Redmi Note 11S」を国際PR代理店Zbanxより先行提供していただいたのでレビューします。動画版はこちら。
ディスプレイは6.43型FHD+の有機EL。画面上部中央にパンチホール。
下部ベゼルが厚め。底部にはマイク穴、USB Type-C端子、スピーカーを備えます。
上部に3.5mmイヤホンジャックあり。隣に複数の穴が開いています。ということはリッチなステレオスピーカー?
実際に音楽を聴いてみたところ、249ドルと考えると音質はまあまあ良い。そこらへんの安モデルよりはマシ。高音が少しだけ刺さる感じは気になります。動画視聴でもけっこう良い。最高音量ではものによっては高音が少し割れることも。
よく注意深く聞いてみると、確かにステレオではあるのですが、片方からの音がスッカスカで悪いです。上部スピーカーはあくまで受話スピーカーですね。通話で人の声を聞く分には問題ないですが、歌声などはいまいち。バックで鳴るピアノの繊細な旋律は失われがち。ステレオの時に多少気になる人はいるかもしれません。とはいえ廉価帯はステレオ以前にモノラルの機種もありますからね。
上部より底部スピーカーの方が良い傾向はハイエンド機にもありますが、本機はその差をより感じます。ハイエンド機で映画を観るのに慣れた人には気になるでしょうが、普通にYouTubeの動画を見たり、TikTok等で縦画面のまま動画を観る分には音の左右バランスや差で気になってしまうことは少ないのではないかと思います。
筆者はハイエンド機ばかり愛用していますが、最近は廉価機も買っています。今使っている機種としてOPPO A55sは音はやや劣り上部スピーカーはRedmi Note 11Sよりもさらに音量が小さくバランスが悪い。そしてarrows Weは音質が悪くこもったような音となっている上にモノラルスピーカーと完全に論外。2万円台の機種としては、まだRedmi Note 11Sは健闘している方かなと感じています。
性能はAnTuTu 約30万点。軽いゲームが動き、そこそこのタイトルも画質設定や快適さを諦めれば視野に入ってき得る性能。90Hz/FHD+を動かす馬力としては十分。Twitterスクロールもまあまあです。個人的には120Hz以上の端末に慣れており、もはや60Hzの端末は廉価モデルだろうがハイエンドモデルだろうがカクカクに見えて気持ち悪いです。ここはアニメーションとスクロールの多いモバイルOS端末の高駆動機に慣れたユーザーでないとわからない部分だと思います。そういうハイエンド至上主義の筆者でも妥協できる印象です。
少し驚いたのはスクロール慣性。MIUI13の設定メニュー部分など、スクロールした時の挙動がiOSやAQUOSっぽくなっています。
また、MIUI 13はステータスバー左側を下にフリックすると通知領域、ステータスバー右側を下にフリックすると各種トグルスイッチへと変更となっています。この方が合理的なのはわかるのですが、慣れるまでは時間を要しそうだと感じました。
カメラは上位のNote 11 Proシリーズ同様、1/1.52型センサーで1億800万画素のサムスンIsocell HM2を搭載しています。
廉価機に1億画素カメラ!?というのが本機の最大のトピックでしょう。1億画素モードを活かした切り出しが便利。
「何でもかんでも積んでしまえ」ではなく、「切り出せばいいだろ?」と1億画素搭載と引き換えに望遠を排除し、価格を引き下げてきたのは評価できるポイント。こういう足し算引き算は評価されていいでしょう。いっそマクロや深度も非搭載にして安く軽くしてもらった方が良いと思いますが、消費者の中から「多眼であればあるほど良いのだ」という認識が減らない限り、安い無駄レンズも搭載され続けるのかもしれません。
さて、1億800万画素カメラで通常モードと108MPモードで撮り比べてみました。
やはり比べてみると細部が全然違います。精細ですね。ただモアレは出ちゃっています。
それほど手ブレを気にせずに撮影できているのも凄いなと思います。
正直、普通にスマホで撮ってスマホで見るのに1億画素なんて必要ありません。ただ、すべての可能性を否定する必要もないでしょう。コンテンツを作る側の目線だと、とりあえず高解像度で撮っておいて必要部分をクロップするというオプションがあるのは助かります。また、画像処理の観点で言えば、情報が無いよりか、多少汚くてもそれだけ高い解像度で情報量が得られるならその方がいいです。
ただし現実の製品にどこまで整合しているか、普段の使い勝手としてどうなのか、という問題も避けては通れません。スマホのサイズに落とし込むにはセンサーサイズは大きく出来ず、1画素あたりの光の取り込める量は減ります。今回は上の方に雲が出ているとはいえ太陽が位置しており順光ではなく、少しだけ条件が悪いです。この1億800万画素カメラの108MPモードだと高解像度を優先したばかりに暗部が酷いことに。木の葉が潰れてしまっています。
色や背景のマンションはともかく、葉の部分はここまで潰れてしまっていると後から画質処理で精細に起こすことも難しいでしょう。一応108MPでもHDRは動作するはずではありますが、この小さなセンサーサイズに1億画素を詰め込んでいながらも手ブレせずにしっかり撮るために、合成前の時点で非常にシビアにシャッタースピードを短くしてISO感度を上げざるを得ずこんなことになってしまっているのかもしれません。もし1億画素に相応しいセンサーサイズ、カメラシステム、ハイエンドらしい上位の画質処理があれば、もっと良い結果が得られる可能性はあると思います。これが「廉価帯で1億画素」の限界でしょう。
また、ファイルサイズは1枚あたり20MB前後になります。撮れば撮るほどストレージはけっこう圧縮されるのも注意点です。廉価機で1億画素の夢が見れるのはいいですが、常用するというのは厳しいかもしれません。
とはいえ、1億画素を載せた6万円ほどの初号機Mi Note 10はカメラ動作がモッサリで1億画素保存の時間に4秒かかる有様。正直あまり使い物になりませんでした。これに対して、Redmi Note 11Sは1~2秒。これなら動体撮影などには向かなくても、まだ適切な場面で使う余地は出てきます。2万円台のモデルにしては相当頑張ってますね。
「1億画素は現時点では多くの人にとって過剰である」というのは間違いありません。しかしハイエンドスマホの画素ピッチ狙いのバランスのいいカメラと比べれば精細さは一目瞭然で、フルサイズセンサーの専用機に精細さのみでは一見迫るような部分も。
「画素数が高ければ高い方が良いのだ」と、1億画素を肯定するのは間違いですが、やはり全否定できるほど侮れず、大きな可能性は感じます。
高画素で画素ピッチが小さければ小さいほど取り込める光量が減少するので、たしかに暗所部分の怪しさ、ダイナミックレンジの狭さを感じるといった場面もあります。一方で、高画素機であるほど理屈上は起きやすくなる手ブレには対策がされています。高画素動作モードではやはりダイナミックレンジの必要な場面で前述のような暗所の高感度ノイズを感じてしまいますが、手ブレ補正とトレードオフなのでやむを得ない点といったところでしょうか。
夜景や室内など明るくない場面では画素混合(ピクセルビニング)で9画素を1画素として扱い、光量不足を補います。夜景はそこそこしっかり撮れる印象です。光量のある夜景なら手ブレもせずにしっかり撮れるので、ビニングとXiaomiのカメラ処理の巧みさを感じます。
さらに上位のモデルでは撮れる光量の少ない夜景、低照度ではクォリティーが低下する場面もありましたが、この価格帯のモデルにしては上々です。arrows Weはそこそこ光量がある夜景でも安定しない場面も見られました。
動画撮影で手ブレ補正はそれなりに効いてます。録画性能はあくまで廉価モデル。ズームイン、ズームアウトも急激に動かず、緩急スムーズな動作感。詳しくは動画をご覧下さい。
ご飯も美味しそうに撮れます。
33W急速充電対応、電池容量は5000mAhながらも、よくこの薄さ軽さに収めたなと思いいます。ちょっと前のXiaomiならこうはいかなかったでしょう。
2万円台ながらもうまくまとめてきた印象。防水非対応(防滴防塵IP53対応)や5G非対応といったところが弱点ですが、必要ないならば結構いい機種に思います。
ドコモとauのプラチナバンドには非対応。本機には技適が確認できないため、海外渡航予定のある人や訪日外国人向け。日本にもRedmi Note 11シリーズは投入される可能性が高いとみており、何かの参考になれば幸いです。