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モバイル老舗HTC、メタバース・Web3に全力投球。

 台湾のVR、携帯端末機器メーカーHTCの日本法人に当たるHTC Nipponは、新製品Desire 22 proの正式発表、および同機とVIVE Flowのメディア向け体験会を実施しました。

 今回の発表会でまず仮想空間のアバター(分身)で登場し挨拶したのは、HTC Nipponの児島全克社長。

 まずはメタバースの未来の一端を垣間見せつつ「リアルアバター(現実の身体)」で登壇。HTC社の沿革を説明しました。

HTC Nippon代表取締役社長の児島全克氏

 創業25年、PDA等の携帯端末を作る、いわば「手のひらのPCのパイオニア」であるHTC。モバイル端末ではMicrosoftやGoogleといったパートナーと協力してきた歴史を持つ老舗であり、現在HTCが構築に取り組んでいるメタバース「VIVERSE」もまたパートナーと共に、可能な限り業界標準を目指して作り上げているといいます。

台湾で1997年設立のHTC。PDAのODMで名を馳せ、2005年にはMicrosoftのWindows Mobile OS搭載のスマートフォンの名機HTC Universalを海外で発売、その後日本でもWM機を投入。Googleと提携して初期のAndroid機を製造開発、HTC Magicが日本でNTTドコモにHT-03Aとして採用。2016年には新たなブランドで初のHTC製VR機器となる「HTC VIVE」を投入。

 通信とVRはキーとなる製品であり、両者をかけ合わせた新しい未来に繋がる新分野の製品「Desire 22 pro」。日常的に使えるのはもちろん、その上で利用可能なメタバースや5G、NFTによって生活様式に新しい体験を加えることで社会が変化すると期待を寄せます。

HTC Nippon ヴァイスプレジデント 川木富美子氏

 VIVE Flowとの組み合わせによって「自分時間のためのスマホ」を謳うDesire 22 pro。3.2Kの高解像度、わずか189gの軽量なVRグラス VIVE FlowにDesire 22 proは最適化されているといいます。

 たとえばSub6国内全社カバーの5G通信、ミラキャストと著作権保護HDCPへの対応による画面ミラーリングでのNetflixやAmazon Prime VideoなどSVOD視聴も。

 使い方として、新幹線で映画を見る、大自然の仮想空間を視界に表示した状態でヨガを愉しむなどの例を挙げました。

プレゼンスライド内でVRChatが登場したが、VIVE Flowは現在VRChatの対応デバイスではなくなってしまっている。質疑応答にて児島社長は、現時点では非対応であるとしつつ今後の協議には意欲を見せました。

 メタバース「VIVERSE World」や、NFTの購入ストア「VIVE Market」とウォレット「VIVE Wallet」のアプリをプリインストールしており、初心者でもすぐに楽しめるといいます。

 日本国内ではHTC U12+から約4年ぶりの新型スマートフォン投入。Snapdragon 695 5Gを搭載。日本向け機能を最初に対応した海外メーカーであるHTCとして、防水防塵やおサイフケータイに対応。さらに日本顧客のためにデザインしたイチオシの色として、日本市場限定色「サルサ・レッド」も用意。

 これまでHTCが日本で重視してきた色であるがゆえに、赤色は外せないと考えたのだと語ります。

 国内では10月1日発売、サルサレッドのみ10月末。価格は6万4900円。HTC公式で本日より予約受付開始。VIVE FlowとDesire 22 proのセット価格で11万4900円。

 価格は当初、為替レート110円程度で見積もっていたものの、現在は約1.3倍になっており厳しい状況だが、ギリギリの線で価格を設定したといいます。

 HTCの国内スマホ投入は2018年のSIMフリー端末が最後で実に4年ぶり。2019年には政府の分離プラン導入もあって好機があったと思われるが、なぜこのタイミングになったのか?

 グローバルでスマホは出していたが日本で出していたのはハイエンド。VIVE Flowで利用できるVIVERSEをリリースしたこのタイミングで、グローバルのモデルに日本機能を搭載し、新しい世界を見てもらいたかったと児島社長は説明します。

 またHTCとしてはVR市場にはPC VR、独立型、VIVE Flowの3種類を展開しており、これらを統合するつもりはなく今後も展開していく見通しを示しました。

 HTCの久しぶりの新機種発表と、組み合わせて使えるVIVE Flow。メタバースやNFTといったいわゆる「Web3」などと呼ばれている新分野に軸足を置いた製品であることがわかります。

 スマートフォン単体としてみるとSnapdragon 695という処理性能の高くないミッドレンジSoCに物足りなさはありますが、VIVE Flowを使う場合、グラス側が多くの処理を担いDesire 22 proはほぼコントローラーとして機能しますし、ミラーリングして使う場合にも最新ハイエンドSoCほどの性能は要求されないため、組み合わせて使う分には、現時点では十分な処理性能は持っていると言えます。

 しかしVIVE FlowがDesire 22 proでなければ機能しないということはなく、他のAndroidスマホとの組み合わせでも利用可能です。となると、Desire 22 proの存在意義はあるのか?

 それはあるでしょう。たとえば昨今、PCやXR、ウェアラブル端末などに力を入れる中国メーカーHuaweiですが、米国からの制裁の影響で、西側ではキーデバイスであるスマートフォンがほぼ不在であるため、製品ポートフォリオを眺めた時、どうしても真ん中にぽっかりと穴の空いてしまったような違和感を受けてしまいます。

 他にも、かつてスマートフォンを出していたメーカーが、家電製品のIoT機能を披露する際、他社のスマホを展示していると何とも言えない感情がわきます。戦略の核、鍵となる端末はやはり自社製品として提示できる方が理想的です。HTCの場合、ベースモデルが海外に存在もするわけですから。

 今回の発表の目玉はスマホが中心ではあるものの、モバイル系の専門誌やVR専門ではないメディアも多く参加していました。それらにスマホをきっかけに、HTCのVR機器とVRサービスの露出する機会を増やすことができたとも言えるでしょう。

 手のひらに先端技術を詰め込めるスマホ。今後もHTCには手のひらPCのパイオニアとして、VR機器もスマホも、面白い製品を出していってもらい、ゆくゆくはVIVERSEの成功にも繋げてもらいたい、メタバースのパイオニアとして名を馳せてもらいたいところです。

 次記事ではVIVERSE、VIVE Flowの体験についてお届けします。

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