時代の寵児HTC、完全復活!「VIVE XR Elite」を体験したら良すぎて笑った すまほん!!

 HTC Nipponは、報道関係者向けに発売前のHMD新機種「VIVE XR Elite」を先行公開。筆者も体験しましたのでレビューします。

 HTC Vive Flowを彷彿させる外観が特徴的です。

参考:HTC VIVE Flow

 HTC Vive Flowはその軽量な筐体と優れた装着性が飛び抜けていましたが、あくまで体験は限定的で的を絞ったもの。「こういう感じで、PCVR体験のできるリッチなヘッドセットがあればなぁ……」とかねがね感じていたところを、HTCがやってくれました。

 今回のVIVE XR Eliteは、その名の通りAR(拡張現実)/VR(仮想現実)/MR(複合現実)全てを楽しめる、最強のXRヘッドセットなのです!

 目を引くのはその小型ぶり。HTC VIVE ProやValve IndexなどのPC VR機器と比べると圧倒的に小さい。Quest 2(拡張バッテリー装着)と比べても雲泥の差です。Meta最新最上位のQuest Proの722gと比べてもおよそ100gほど軽量です。

VIVE XR Elite、Meta Quest2 バッテリーエリートストラップ装着時

 人間工学に基づいたデザイン、そして肌への接触面が大きく柔らかいクッションで、長時間利用にも向いています。重量自体も625gと軽く、圧倒的なつけ心地で、苦になりません。後頭部バッテリーがちょうどカウンターバランスとなり、つけ心地に貢献してくれます。

背後バッテリー内蔵部。ダイヤルで締めて頭部に合うよう調節

後頭部クッション。特に不快感なし。

 単独でも動作するほか、無線でPCと接続してPCVRでの動作も可能。しかもバッテリーは、ホットスワップで着脱交換が可能。つまり「あっ、VRに入りすぎたがもう電池がない。しかし、予備バッテリーを充電しておいたので、交換すれば、まだ遊べる!」となるわけです。

 ホットスワップは本体側にも小容量の電池を搭載することで実現しています。電池持続時間は約3分~5分程度とのこと。数十秒という話ではないので、焦って電池交換に失敗して電源落ち……という心配はあまり必要が無さそうです。

 なお充電時間については、30W急速充電にて30分で50%充電可能、2時間で満充電とのこと。

 本機のさらに驚くべき点は、バッテリーのないグラスモードでも動作するという点。本体とPCを有線接続して動作。この時、背面のバッテリーは非搭載で、かわりに眼鏡の弦を装着するモジュール式。バッテリーを外した場合のグラスモードの場合の重量は、なんと273g(ガスケット[フェイスクッション]含む)という圧倒的な軽さに。

着脱して、つるとバッテリーを選択可能。

バッテリー非搭載の軽量なグラスモードに。PC/モバイルバッテリーから電力供給可能

 リッチな仕様のVR HMDの割には、爆軽。それでいて視度調節も備えるのだから感嘆します。眼鏡不要で利用可能。普段コンタクトレンズなら、寝る前に動画を見る際にコンタクトを外しておいて、寝落ち直前まで本機で動画を楽しむといったことも可能。VIVE Flowの美点をしっかり継承してくれました。

焦点調整ダイアルでレンズ調整できる。最高!

54~73mmの無段階IPD(瞳孔間距離)調整を備える

 最大視野角110度、リフレッシュレート90Hz、19PPDで解像感は十分精細。Quest 2よりも視界は広く感じます。パンケーキレンズを搭載したことで、フレネルレンズを採用したQuest 2のような周囲の滲みやフレアもなく、鮮明です。

左:Meta Quest 2、右:VIVE XR Elite

 本機が優れていると感じたのがパススルー機能。バーチャル表示だけではなく、周囲を見渡して現実の部屋を見ることができるこの機能。

1600万画素RGBカメラを搭載しているのがパススルーの綺麗さの秘訣。中央部には深度センサーも備える。

上部。排熱機構や電源ボタン、音量ボタンなど

 パススルーモードはハンドトラッキングを有効化した状態では、歪んで違和感があるものの、これは適宜オフにできます。オフにした状態がまた格別で、歪みもなくなります。比較的鮮明に周囲の視界を捉えることが可能です。

 こうしたパススルーは、既存のVRヘッドセットにも既に存在します。しかしMeta Quest2の場合は、それなりに立体感はあるものの、そもそも色が白黒。PICO 4はフルカラーでまあまあ鮮明ではあるものの、明らかに立体感がおかしく歪みます。

 こうした既存競合ヘッドセットと比べると優れているのがVIVE XR Eliteのパススルー。鮮やかで解像度高めの視界です。

 紙の資料に印刷された文字やキーボードの印字も読めます。なんとスマートフォンの画面も。つけたまま、簡単なスマホの操作を少ししたい、といった時にも役立ちそうです。

 ただ昨今の大型化したスマホでなら概ね問題ないものの、たとえば筆者の使っているZenfone 9でフォントサイズを少し小さめにしていると難があります。

 その場合はスマホの画面をヘッドセットに近づければOK。ここがミソで、たとえばPICO 4で同じことをやると、ヘッドセットのカメラの死角に近いところにスマホの画面が来るせいで、歪みが激しくなりがち。VIVE XR Eliteではそういった問題が起きないため、小さめのスマホでも利用できてしまうというわけ。優秀ですね。

 MRモードでの生産的用途も利用可能。現実ではノートPCを置いて、VRヘッドセット内の視界には、バーチャル空間を背景に現実のノートPCを表示、そして空中にWindowsの画面をマルチモニター表示といったことも可能に。カラーパススルーを活かして、ばっちり普段の作業も仕事もできるというわけです。なお現時点でMacには非対応。グラスモードでの持ち運びも容易なので、出先で使ってみたくなりますね。

折りたたんでコンパクトに持ち運びもしやすい

 なお本機でしっかり抑えておきたいポイントが、そのコントローラー。HTCのVRヘッドセットと言えば、初代VIVEを使っていた筆者としては「VIVEコン、マジで使いにくいよね……」と思っていたのですが、今回しっかりQuestライクな、現代の標準的なコントローラーを備えているのが素晴らしい。重量もかなり軽量で使い勝手は従来比で雲泥の差。

 さらにカメラで手を認識してハンドトラッキングにも対応します。

 なおフェイシャルトラッカーやアイトラッカーも今後登場予定で、拡張が可能です。

拡張性のための端子も備える

 VIVEPORTで単体で遊べるタイトルやMRタイトル等を揃えるほか、Steam VRで豊富なPCVRのコンテンツを楽しめる本機。今回、複数のゲームやアプリを試すことができました。

 まずは音ゲー「MAESTRO VR」。グラスモードにてプレイ。画面の表示に合わせてリズム良く左手を動かし、右手でタイミング良く指揮棒を振り、演奏を成功に導きます。

 続いてシューティングゲーム「Yuki」。自室内、360度から襲いかかってくる敵機に対して、動き回って射撃を回避しながら、敵機を撃墜、長期間の生存を目指します。現実の自室が戦場となり、そこをバーチャル上の自機敵機が撃ち合う光景は新鮮で、周囲の部屋の様子が綺麗に見えるのはカラーパススルーの優れたHTC VIVE XR Eliteならでは。

 無線でVRChatもプレイしてみました。

 輻輳や混信しにくい最新規格Wi-Fi6Eにも対応で、日本でも正式に利用可能。HTCの純正ソフトを用いて、無線でのSteamVRも利用可能。

 本機のリフレッシュレート90Hzというのはコンテンツによって物足りない場面はあるかもしれませんが、それがVRChatで足かせになるということは全くありません。そもそもVRChatの場合は90Hzが上限で、重たいアバターやワールドを動かす仕様上、実行フレームレートはさらに低下するためです。

 Quest2比では前述の通りレンズの関係もあって高精細に見えます。もちろんホラーワールドでは有機ELの方が優れていますし、ぶっ飛んだ超高解像度の変態ヘッドセットPimaxもありますが、そういった選択肢と比較さえしなければ、VRChatは十分に楽しめると感じました。

 スピーカーは立体感があり素晴らしい音質です。明らかにQuest2やPICO4より良いだろうと感じました。

スピーカー内蔵。被るだけでイヤホン不要。イヤホンジャック端子は備えない。

 マイク音質は正確に検証はできていませんが、HTC社員の方が本機を使った際の録音を確認したところ音質は良さそう。HTC VIVE/Proシリーズよりは格段に向上しています。

 PICO4を使っていると、音量を大きくしているとVRChat内の人の声やワールド音声をマイクが拾ってしまうことがありますが、こうした事象がどの程度の音量で起きるのかは確認できていません。マイクにはノイズキャンセリングも備えており、この辺りは閾値が高いことを期待したいところ。実機で実際に使ってみたいですね。

 先行体験できた機体が商用版と異なる点として、深度センサーがファームウェアで有効化がなされていませんでした。一般販売される時にはこれも有効化されているでしょうから、さらに改善されている可能性があります。奥行きを認識できるため壁を壁と認識できることから、より現実と親和性の高い体験も実現しやすくなりますし、暗い時にも周囲を認識しやすくなる恩恵も期待できます。

 あえて試してみたのが「VR睡眠」。グラスモードでは側面部までの固定となり、後頭部が空くため寝心地はバッチリ。寝返りを打ったときにはバンド部耐久性が気になるので、フカフカの枕を用意すれば良さそうです。もちろんメーカーが公式に想定する用途ではないため自己責任で。

 顔や頭の形状は人それぞれであるため、参考程度に捉えて欲しいですが、個人的には、グラスモードでの装着感にやや違和感を感じました。ちょうど焦点の合う目とレンズの最適な位置に固定するのが難儀だったからです。グラスモードでは非常に軽量となるだけに、ここは個人的には惜しいと感じた点でした。前述のVRモード用の頭部のストラップを、グラスモードでも装着すれば、この点は少しは緩和できそうだと感じました。

鼻でグラスを支えるような形となるので、装着感や、鼻への圧に跳ね返るかもしれない。この点、MeganeXが当初備えていなかった頭部バンドを、重量増加に伴い後から追加していたが、図らずしもその理由をHTC VIVE XR Eliteで実感させられたような気はする。

Quest2の標準ストラップなら寝返りを売った時でもまだ安心。しかしQuest2は重量503gであるのに対して、VIVE XR Eliteグラスモードは273gというのが圧倒的な優位性か

 スマートフォンの黎明期を支えた時代の寵児ながらも、最近はあまり元気のなかった印象も受けるHTC。しかしここにきて大本命とも言えるXRヘッドセットを出してきてくれました。優れたパススルーを始めとして、これだけの品質をよくここまで小さく軽く収めたなと笑ってしまうほど。マニアックでもニッチでもない王道にして、現時点で国内購入できる個人向けのヘッドセットとして非常に有力な選択肢だと思います。

 本体価格は税込み17万9000円ですが、相応の力は備えているのではないでしょうか。おそらく直接の競合機種となるQuest Proと比較した上で検討するのが良いでしょう。資本力に差のあるMetaの上位機種と比較対象となり得るというだけでも、凄いことだと感じますね。かつての栄光を取り戻して欲しいところです。

 CES2023で展示した時も好評で、日本でも予想外の予約数とのこと。できるだけ早く手に入れるために公式サイトで予約をしておきたいところ。2月15日まで予約特典もあり。ぜひチェックしてみてください。

SoC Qualcomm Snapdragon XR2
メモリ 12GB
容量 128GB
画面 片目1920 x 1920ピクセル(両目3840 x 1920ピクセル)
視野角 110度
垂直走査
周波数
90Hz
追跡 6DoFインサイドアウトトラッキング
検知器 4xトラッキングカメラ
16 MP RGB カメラ
深度センサー
加速度センサー
ジャイロスコープ
近接センサー
音響 デュアルマイク(エコーキャンセレーション)
内蔵スピーカー
端子 USB 3.2 Gen-1 Type-C 側面ポート ×1
USB 3.2 Gen-1 Type-C パワーポート ×1
無線 Bluetooth 5.2 + BLE
Wi-Fi 6 + 6E*
*Wi-Fi 6E対応状況は国により異なります。
音響 デュアルマイク(エコーキャンセレーション)
内蔵スピーカー
重量 625g
その他 トラックエリア条件
-立位 / 座位両方可能
-ルームスケール
・立位時の最小プレイエリアは 1.5m x 1.5m
・最大 10 x 10m のプレイエリア推奨