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AQUOS R8 proレビュー。1型撮像素子で「映える」強力夜景

 SHARPより、7月20日発売の最新ハイエンドスマートフォン「AQUOS R8 pro」を一定期間お貸しいただいたのでレビューします。発売前のファームの貸与機のため、発売後実製品と異なる部分がある可能性に留意してお読み下さい。

 動画版はこちら

 昨今のハイエンドらしく大画面で、幅は77mm。重量は実測値204.1g。

 5G Sub6/ミリ波、三社プラチナバンド、おサイフケータイに対応。背面中央部にキャリアロゴとFeliCaロゴ。(ソフトバンク版はFeliCaロゴのみ)

 背面のすりガラス調、側面の金属感まで含めて、高い高級感があります。音量ボタンと電源ボタンは側面。

 筐体上部には3.5mmイヤホンジャックあり。

 底部はスピーカー、USB Type-C端子、マイク穴。

 画面サイズは6.6型、解像度はWUXGA+ (2730×1260)。パネルは最大疑似240Hz対応の120Hz Pro IGZO OLED。HDRにも対応し、高品位に動画を楽しめます。

 ブルーライト低減を行っているものの表示への違和感はほぼなし。強いて言うなら、ごくわずかに赤色に寄る程度でしょうか。

 液晶時代から継承する「アウトドアビュー」も対応、最大輝度も高めで屋外での視認性に問題なし。

 出荷時出荷設定「おススメ」での画質調整傾向は、主に「ナチュラル」ではなく「ダイナミック」準拠のようで、色の輝度を低めにした深みのある、こってりした色付き。

 テレビのAQUOSは彩度を過度に上げた印象で、かつてのスマートフォンAQUOSもそれと同様の傾向で、個人的には安っぽいと感じていたのですが、昨今の有機EL搭載のハイエンドAQUOSスマートフォンでは明らかに画質傾向が変わりました。SNSで閲覧する普通の写真でも、深みのある落ち着いた印象へと変化。パネルやディスプレイを自ら作るSHARPだけあって、流石だと思います。輝度を低くすると、シャドウ部分が見えにくくなる傾向も感じました。

 標準の「おススメ」は、アプリによって最適な画質調整を行います。Google Photoでは「ナチュラル」準拠、ブラウジングは「標準」準拠、Twitterなどでは「ダイナミック」準拠といった具合に、メーカーが指定したアプリケーションごとに画質調整が施されており、それぞれの利用シチュエーションに合った最適な画面表示で楽しめるのが美点です。

 多くの一般ユーザーの消費スタイルに最適化した巧みな自動画質調節ではある一方、何かを創るとなると注意が必要です。たとえば撮った写真や編集した動画をSNSに投稿した際に、投稿画面や投稿後画面では問題なかったのに、実際に他のデバイスで閲覧した時に、やや明るく制作者の意図と異なる表示になってしまう、などといった場合があります。これはアプリごとに画質調整が異なるためです。この点はユーザーが自動調節時の設定をアプリごとに指定可能であれば起きない問題です。写真や動画をよく投稿する人は、画質調整を「おススメ」ではなく、「標準」または「ナチュラル」に手動指定した上で、一貫性をもたせることで、こうした問題を大きく緩和できます。

 OSは出荷時Android 13。最大3回のOSアップデートと最大5年のセキュリティ更新を公約します。UIは基本的には素のAndroidを踏襲しているので多くのユーザーにとっては使いやすく感じるでしょう。とはいえ、昨今は「AOSPだから使いやすい」とは言えない部分もあります。たとえばクイック設定パネルのWi-Fiとモバイルネットワークのトグルスイッチが統合された件は代表的な例です。AQUOSではこのスイッチを別個にメーカーがカスタマイズしています。また、アプリ履歴画面のマルチウィンドウもイマイチですが、これもカスタマイズしてショートカットボタンを配置するなど、細かい部分で気が効いています。

 エモパーやオートスクロールは出荷時にはオフ。初回起動時に有効化推奨の画面が強制的に出てくることもありませんでした。なおオートスクロールはAQUOSの美点で、画面を触らずともSNSのスクロールを無限に行ってくれるという優れもの。こちらはぜひ有効活用してあげて欲しいところです。

 独自機能はAQUOSトリックから一覧を見ることができます。良さそうな機能は有効化しましょう。

 オートスクロールも呼び出し方が現在の2タップ方式になる以前、1タップ方式であった時には、スクロール中に「緑の変なアイコンがたまに出るんだけど、何?」とAQUOSの独自機能に慣れていない利用者からすると不審に思うことがあったでしょう。強制しないことで、新規顧客の混乱を防いでいます。既存顧客は「あの機能どこ?」と思った時には、AQUOSの機能一覧を参照して有効化するだけですし、他社機種から乗り換えてきた新規顧客にとっても、独自機能に戸惑ってメーカーの作り込みを嫌いになることもないわけです。既存/新規顧客両者にとって優れた見せ方であると思います。ドコモのプリインストールアプリ群にもこのような慎ましさがあれば良いのですけどね。

 ベンチマークスコアは以下の通り。放熱機構を兼ねたカメラリングとグラファイトシートで冷却。高負荷動作を継続時の発熱による動作低下は完全に払拭されたわけではありませんが、国内市場で直接の競合である最新機種、筆者の公開市場版Xperia 1 VとAnTuTuベンチマークで比べたところ同程度のスコアなので及第点だろうと思います。

  • AnTuTu v10.:128万54点
  • Geekbench 6 Single-Core:2029
  • Geekbench 6 Multi-Core:5408
  • Sling Shot Extreme OpenGL ES 3.1:Maxed Out! (上限値)
  • Sling Shot Extreme Vulkun:Maxed Out! (上限値)
  • Sling Shot Extreme Unlimited OpenGL ES 3.1:11370
  • Wild Life Extreme Unlimited:3601, 21.60fps
  • Wild Life Extreme Stress Test:Best loop 3605, Lowest loop 1876, Stability 52%

参考:Xperia 1 V XQ-DQ44

 ハイエンドSoCの意義はその高い性能だけではありません。現代スマートフォンの中核部品であるSoCは、CPUだけではなく、GPUや通信モジュール、ISP/DSP、AIプロセッサを内包。最新ハイエンドSoCであればあるほど、それらの部品も高性能であり、カメラ画質処理にも効いてきます。AQUOS R8 proの新機能でいえば、「HDR連写」はわかりやすいですね。

 背面カメラは、撮像素子(イメージセンサー)は1型Sony IMX989のみ。レンズはLeitz Summicron 19mm超広角。

撮像素子はSony IMX989の一眼。深度計測用カメラと前面カメラはオムニビジョン製

 メインの広角カメラに力を入れて、おまけに超広角や望遠を付ける機種が多い中、大型撮像素子の超広角カメラ一本勝負という特異なコンセプトです。

 超広角であることを活かした迫力のある画を撮影することができます。

 夜景でも光量が比較的ある環境であれば、わざわざ手動で切り替えずとも、起動時標準モードのAI判定の夜景でも十分な画を撮影することができます。

 個性的なフレアは健在です。他社機種だと緑色だったりしますが、本機はこんな感じ。味としてうまく作品に落とし込みたいところ。

参考:SIGMA fp L+Super Takumar F1.4 50mmで撮影

 特に夜景はTwitterでも大きな反響が得られました。

 防水防塵対応、お風呂防水対応の本機。水たまりは屁でもありません。

 より低照度。

 さらに暗いロケーション。肉眼でもほぼ真っ暗に近い木のディテールもしっかり写し出してくれました。

Zenfone 9 マニュアルで肉眼に近い明るさを再現

AQUOS R8 pro 夜景モード (確か花火モードに切り替えた時のはず)

 大型撮像素子ならではのボケ感は健在。昨今のスマホは被写体の奥に擬似的なボケ風加工を施すことも可能ですが、やはり光学的なボケの方が綺麗です。奥だけではなく、被写界深度手前もボケさせられるのは良いですね。

 

 雨のしずくと金属感をしっかり描写できた1枚。玉ボケにも注目です。

 さて、AQUOS R8 proで撮影したこの写真。水の質感からボケまで含めて、けっこう良い感じに撮れていると思うのですが、実は「ある秘密」が。何だと思いますか?

 この写真、なんと5倍ズームでの撮影なのです。望遠レンズ非搭載ですが健闘。

 AQUOS R7では、画素数4720万画素の撮像素子を搭載。普段の2倍までを画素混合(ピクセルビニング)で担い、それ以降の倍率では画素混合解除(リモザイク)によるクロップズームを活用することで、キレイに撮れる……という理屈までは良いのですが、筆者が試した時点でのファームウェアでは全くそんなこともなく、昼間の撮影であってもノイズが乗って大して精細でもなく、手ブレもしやすく、理屈倒れでした。

 しかし今回試したAQUOS R8 proは特に手ブレも起きず、改善していました。撮像素子が1型と大きいので、2倍以下は画素ピッチ3.2μm、さらにズームすると中央部1180万画素相当、それでも画素ピッチ1.6μmと余裕があります。特に抽象的な被写体であれば、多少倍率を上げても全然使えます。

夜景且つ多少のズームでも撮れて優秀だと思うが、この作例のように高感度由来のノイズがやや目立つ場合もあった

0.7倍 超広角 焦点距離19mm相当

1倍 焦点距離24mm相当

5倍

最大ズーム6倍

 課題だと感じたのは、最大ズームに近い域にて、たとえば質感あるレンガの壁や、文字が書き込まれたような看板といった、緻密なディテールのある被写体・景色を撮影した際。望遠レンズ非搭載の他社機種メインカメラでのデジタルズームと比べると、描写は自然なのですが、細部が劣ります。左がAQUOS R8 pro、右がZenfone 9。ただ、この例では一長一短かもしれません。無理やりシャープネスとノイズリダクションをかけすぎて不自然になる傾向が、Zenfone 9では顕著です。

 検証用に念のためマニュアルモードでRAWも保存しておいたのですが、この時点で細部は荒いです。こうした厳しい倍率ではより速いシャッタースピードにして高感度で対応せざるを得ず、本機は光学式手ブレ補正を備えないため尚更そうだと思います。他社機種で優秀な例はマルチショットも活用してしっかり描写していると推定しているのですが、本機は単枚で処理を行っているのでしょうか。せっかく超強力な光学性能なのだから自然な描写を活かしたいというのは原則としてはわかるものの、こうした「どうせ作品作りではなく、望遠鏡的用途」にならざるを得ない限界付近においては、ソフトウェアアップデートで処理を煮詰めても良いと思いますし、思い切って次機種以降「望遠カメラを加えた究極の二眼」でも個人的には歓迎です。

 とはいえこれは限界付近の拡大時の話で、前述した通り基本的には高い光学性能を活かした自然な写りで良好。超広角、最短撮影距離がやや長いという本機の特性から料理は撮りにくいのですが、こういった時は少し離してズーム。さすが大型撮像素子だけあって多少離しても高画質。美味しそうに撮れます。

 14chスペクトルセンサーによって暗めの店内でもしっかり撮れると謳う本機。比較的適切な露出とホワイトバランスに調整、引き続き皿の白色に近付けていることが伺えます。

Zenfone 9 マニュアル撮影で肉眼に近くした

AQUOS R8 pro AI判定なし

AQUOS R8 pro AI判定料理モード

 以下は牛タン、それなりに光量がある店。AQUOS R6からあった「近距離だと周囲が流れるボケ」も、依然としてまだあるので、もう少し離した方が良かったと反省のある一枚ではあります。スマホカメラがシャープネスを強めているのは一般的ですが、Zenfone 9はその傾向がやや強めで、特に料理判定による色付けも無いため、漬物などがあまり美味しくは無さそうです。AQUOS R8 pro(左)料理判定では、肉の質感、漬物、南蛮みそ漬けが良い塩梅で美味しそうです。

 動画撮影は4K/60fpsにおいても手ブレには比較的強く、十分なポテンシャルを秘めています。夜景ではFHD/30pでもディテールが水彩画のように滲み粗も出ますが、筆者のメイン機のZenfone 9と比べると色調は明るくしすぎずブレは自然で努力を感じられる部分もありました。(YouTube動画該当箇所

 カメラUIは、AQUOS R7よりも前と比べると劇的に良くなっています。画角変更もやりやすいですし、マニュアルモードも使いやすいです。

 カメラリング部分に磁力で専用機のカメラフィルターを付けられるという目玉機能に関しては今回試せませんでした。マニュアル撮影にこだわろうとした時、「流れるような幻想的写真を撮るために、シャッタースピードを遅くすると、絞りがないので明るくなりすぎてしまう」という、フィルターでも解決可能な場面は何度かありました。発売後に製品版を手に取る機会があれば、真っ先に試してみたい機能です。

 スピーカーはステレオ。ボリュームはしっかり大音量で出ています。筆者のメイン機であるZenfone 9と比較すると、音量では同等ないしやや上回ります。本機はお風呂対応を謳う防水防塵IPX5・IPX8/IP6Xですが、それに相応しい音量で、シャワー中等でもしっかりと音声・動画コンテンツを楽しめます。

 AbemaTVでダラダラとニュースやバラエティ番組、YouTubeで一般ユーザーの上げた動画を視聴する分には十分聞き取りやすいです。

 ただ音楽再生時、解像感は低く緩めの音に。筐体背面が箱鳴りし、やや籠もったような残響感があり、特に情報量の多い音楽では音の粒立ちが荒くボヤけて感じます。Dolby Atmos初期設定は「ダイナミック」で、他に切り替えた場合にも同傾向。解像感を要さない古い楽曲にはむしろ合いますし、R7よりも前のAQUOSスマートフォンからの乗り換えであれば満足できると思いますが、全般的には、競合ハイエンド機種のような音響を期待すると拍子抜けするはずです。基本的には有線や無線音響機器での音楽鑑賞を推奨します。

 バイブレーションの振動が独特。ナビゲーションキーやIMEなどのフィードバックを担う振動は、標準設定では弱々しい印象を受けますが、Gboardで時間を長めに設定すると強く振動するので、反応の立ち上がりの遅さといったほうがいいでしょうか。あえて端的に言えば気持ちの良い感触ではありません。この辺り海外一流ハイエンドでは立ち上がりよく重厚で心地のよい振動が得られるものが多いので、AQUOSもせめて最上位ハイエンドでは振動に至るまで高級感を目指して欲しいです。

 Qualcomm 3D Sonic Maxによる指紋認証は範囲も広く快適。多くの場合は顔認証の解錠が先に入りますし、ロック解除で困ることはありません。この指紋認証、解錠だけではなく登録までも爆速です。何度も指を置く忌まわしい設定作業も、本機なら一瞬で終わってくれます。

 カメラがダメなAQUOS、そんな時代はもう終わり。AQUOS R6で勝負に出て、しっかりと磨き上げてきた成果が出てきています。

 まだ課題もありますが、突出したカメラや優れた生体認証、気の利いた独自機能とその見せ方、5000mAh大容量電池、長期更新の公約まで含めて安心して使えて楽しい一台と言えます。

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