2016年にNokiaスマホのために作られたHMDに岐路?
2022年、ノキア製携帯電話で知られるHMD Globalの業績が大赤字となりました。2021年には史上初となる1290万ユーロの営業黒字を達成していたにも関わらずです。
HMD Globalの2022年の純売上高は前年の143億3300万ユーロから12.2%減の125億700万ユーロに落ち込みました。同時に営業利益も7690万ユーロの損失を記録しました。
HMD Globalはフィンランドの企業として、2016年に携帯電話やタブレットで使用する独占的ブランドライセンスに関してNokiaと10年契約を結びました。同社は2022年の財務諸表を法定提出期限の8月末を過ぎて、9月に遅れて提出しています。
HMD Globalはコロナ禍やロシアのウクライナ侵略の影響を受け、2022年は困難な状況に直面していました。それにも関わらず、同社は2022年上半期の売上高が増加し、下半期には戦略的な事業変更や組織再編を実施しました。その一環として、在庫削減を行っています。
2021年には5600万台の端末を販売したのに対し、2022年は4000万台と約29%の減少。
同社は研究開発への投資は前年の6000万ユーロから8000万ユーロに増加させています。2022年は米国市場が好調で、スマートフォンの売上が2倍に成長しました。
HMD Globalは、低価格帯の携帯電話やスマートフォンの販売を強化してきたものの、高価なスマートフォンは赤字に。
HMD Globalは2016年にNokiaブランド製品のために誕生、Nokiaブランドでの携帯電話やタブレットの販売に関して、Nokiaと10年間の独占契約を結んでいました。
しかし財務諸表からは、Nokiaへの未払いもあるなどHMD Globalの厳しい財務状況が伺えます。過去数年間、目標を達成することができていなかったとのこと。
ライセンス契約には支払スケジュールが含まれているため、Nokiaはライセンス協力を終了する一方的な権利があるとしています。
2023年9月には、同社の創設者であり取締役会長兼最高経営責任者のジャン・フランソワ・バリル氏が、将来的にNokiaデバイスのみならず、HMDブランドの製品や新しいパートナーとの共同商品を市場に投入する意向であると発表しています。
2023年8月、HMD GlobalはNokiaとのライセンス契約を改訂。この改訂により、HMDは自社ブランドや他のブランドでのデバイス製造を即時に開始することが許可されました。2024年からは、HMDはNokiaブランドだけでなく、他のブランドとのビジネスにも徐々にシフトしていく予定とのこと。
さらにHMD Globalは「エントリー帯におけるNokiaブランドライセンスは、当初2027年3月の終了予定であったものが、2026年3月までとなる」と明かしており、1年短縮されたこともわかっています。ということは延長もしにくそうです。
「HMD」の文字をつなげたブランドロゴが欧州連合知的財産庁(EUIPO)提出されており、自社ブランドでのスマートフォン展開へと切り替えも既に伝えられています。
今後は自社ブランドでの展開へと軸足を移すことになりそうです。