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中国TECNO、コウイカの目を模した「W型可変絞り」と「液体レンズ望遠マクロ」カメラを開発

 アフリカなどで大きなシェアを持つスマートフォンメーカーのTECNOは、自社カメラ技術を発表するFuture Lens 2023イベントを開催。W型可変絞り、液体レンズを用いた望遠マクロカメラ、正確な肌のトーンを再現する「ユニバーサルトーンテクノロジー」の3つの最先端カメラ技術を発表しました。

 これらの技術は今後発売されるTECNOスマートフォンに実装される可能性があります。

W型物理可変絞り

 近年スマホカメラのイメージセンサーの大型化、レンズ口径の拡大に伴い、広角カメラの被写界深度が浅くなり、多人数撮影や食事撮影などの場面でボケ過ぎてしまうという弊害が生じていました。

 そうした弊害を克服するために、直近のXiaomiやHuaweiの一部機種には物理可変絞りが搭載され、絞りを自動または手動で変化させることでボケを調節することを可能にしています。

 TECNOも今回そのトレンドに乗じる形で物理可変絞りを開発していますが、なんとW型という他社とは大きくことなる形状になっています。

 TECNOによると、このW型はW型の瞳孔で光の量を調節するコウイカの目をヒントに開発し、その独特な形状から、逆光場面といった状況においても効果的に光を制御できるとのこと。

コウイカの目(画像出典:Wikipedia)

 W型物理可変絞りの紹介動画では物理可変絞りがなめらかに動いていることから、2段階ではなく多段階の調整ができる可能性があります。なお、筆者が調べた限りではW型の物理可変絞りはスマートフォンだけでなく、カメラでも採用されたことがないようです。

 W型物理可変絞りによってどのような撮影体験ができるようになるのか、注目です。

液体レンズを用いた望遠マクロレンズ

 Tecnoはレンズ技術に大きく力を入れており、Tecno Phantom X2 Proでは沈胴式望遠カメラを搭載し、プリズムを2つ用いることで追尾能力を高めた望遠レンズの開発などを過去に行っています。

 10cmマクロ撮影を可能にする望遠マクロレンズを搭載したXiaomi 13 Proをはじめ、スマホカメラのトレンドとなっている望遠マクロ撮影ですが、Tecnoは液体レンズを用いた望遠マクロレンズを開発。

 被写体との撮影距離に応じて液体レンズの曲率半径を変えることで、短い距離でもピントを合わせることができるように。最短5cmの望遠マクロ撮影が可能になったとのこと。

 TECNOは、このレンズは柔軟なジェル状の素材からできており、高価で壊れやすい電動的にレンズを移動させ制御する壊れやすい部品を必要とせずにレンズを動かすことができるとしています。

 過去にも2021年に発表されたXiaomi MIX Foldにおいて液体レンズが採用されており、35mm判換算焦点距離80mmで最短撮影距離3cmの望遠マクロ撮影を可能にしていました。

 ただし、MIX Foldは800万画素 1/4型の小型センサーであったため、画質はそこまで高いものではありませんでした。TECNOは、液体レンズ設計により大型センサーの搭載が可能になったとしており、より大型なセンサーでの実現への期待が高まります。

ユニバーサルトーン

 また、TECNOは多様な人の肌の色を自然に表現するためのカメラアルゴリズムとして、「ユニバーサルトーン」を開発。業界最先端であると強調し、以下の3つのアルゴリズムから構成されているようです。

  • スキントーンスペクトルマトリクス
  • AIを用いたコンピューテーショナルポートレートエンジン
  • ローカルチューンエンジン

 スキントーンマトリクスでは、肌のトーンの色彩学研究から肌のトーンのマトリクスを形成し、様々な肌の色を調整を行います。

 TECNOのポートレートエンジンでは様々な地域から収集した人の顔の違いと文化の美学の違いを元に、AIを用いて一人一人に合わせて、活気のあるポートレートを生成。

 そしてローカルチューニングエンジンを用いて、どのような環境下でのポートレート写真なのかを識別し、トーンマッピングをその環境に合わせて適応的3D-LUTアルゴリズムを用いて再構築。国や地域を問わず、環境と人の関係を完璧に映し出すことが可能であるとのこと。

 今回発表されたカメラ技術は来年以降のTECNO Phantom Xシリーズなどのスマートフォンへ搭載される可能性があります。

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