キーボードにPCを内蔵するというアイデアは、家庭用コンピューターとしては原初の姿。Apple IIなどもこの形でしたが、シンプルに様々な面で非合理的なため、次第に見かけなくなりました。
そんな中、ARグラスの登場により、グラスを使用することを前提とし、ノートパソコンからディスプレイを省いた「Spacetop G1」といった製品も出ていますが、中国でそのさらに上を行く、折り畳みキーボードにPCを内蔵してしまったメーカーが出たようです。
中国Weiboのライブでお披露目されたのは、「玲瓏(Ling Long)」とする、PCを搭載した折り畳みキーボード。
このPCの特徴は、なんといってもはたから見ればただのキーボードである点。さすがに一般的な折り畳みキーボードよりは分厚いものの、すべてを詰め込んでいます。重量は800g。
もちろん画面を備えないため、何らかの手段でディスプレイに接続する必要があるわけですが、どのようなデバイスにも接続できるのが魅力的です。小さい本体のお陰で、どんなデバイスにもなじみます。
USB Type-Cポートを備えたディスプレイやモバイルモニターへの接続は当然ながら、USBハブによるHDMI出力を介してテレビや自動車への出力も行えます。
さらに、様々な端末をWindowsのサブディスプレイにできるSpaceDeskアプリを利用して、スマートフォンや折り畳みスマホ、そしてiPadとの接続も可能。iPadサイズの高性能Windowsタブレットが欲しいという夢が実現してしまいます。
そして、VR/ARグラスの母艦として利用することにより、非常にコンパクトにWindows環境を持ち運ぶことも。先に触れたSpacetop G1は、ノートパソコンのディスプレイ側を取っ払った見た目であり、大きなタッチパッドが備わりますが、Ling Longはキーボードにタッチパッドが内蔵されるため、サイズ自体が非常に小さい点に違いがあります。
CPUはAMD Ryzen 7 8840Uを搭載。負荷がそこまでかからないMOBAゲーはもちろん、原神やCyberpunk 2077といった重量級のゲームもプレイできるとのこと。
やはり放熱面では限界があるようですが、高負荷な作業(≒ゲーム)時に使用率の低いキーボード右側にマザーボードを搭載することで、ストレスを軽減しているとのこと。なお、本体右側でも最大40℃強に収まるとのことで、不愉快ではあるでしょうが触れないということはなさそうです。
バッテリー容量は60Wh。事務作業では10時間、ゲームでは4時間の駆動時間をアピールします。ストレージは512GBと1TB、メモリは16GBか32GBで選択できます。
価格は4699元で、日本円にして10万3000円ほど。同等の処理性能を実現するノートパソコンは8万円ほどから購入できますが、ミニPCはロマンに金を払うものであり、コスパは考えてはいけません。XRグラスが主流となれば、こういったUMPC的な新しいカタチのラップトップが流行るのかもしれませんね。