台湾MediaTekは、Androidデバイス向けの旗艦SoCである「Dimensity 9400」を発表しました。同チップを搭載したスマートフォンは2024年第4四半期より登場予定。
Dimensity 9400は、先代Dimensity 9300で採用された「All Big Core Design」を継承。名前こそ仰々しいですがシンプルな思想で、SoC内のCPUをすべて強力なものにしてしまおう、という脳筋的な発想です。CPU構成は3.62GHz以上で動作するArm Cortex-X925コア1つと、Cortex-X4コア3つ、Cortex-A720コア4つのオクタコア構成となっています。Cortex-X925は最新世代の超高性能チップ、Cortex-X4はX925の先代にあたるチップで、Cortex-A720は高性能コアとして採用されることが多いCPUとなっています。
驚くべきはその性能向上幅で、先代Dimensity 9300と比較して、シングルコア性能で35%、マルチコア性能で28%の向上を実現したとのこと。あくまで大本営発表であることに注意は必要ですが、先代モデルと比べて最大40%もの電力効率向上を果たし、より長いバッテリー駆動時間を実現できたとしています。
GPUはImmortalis-G925 MC12を搭載。先代比較で40%高速化したレイトレーシング性能により、より没入感の高いゲーム体験を提供するとアピール。またピーク時性能を41%向上させながら、44%の省電力化を実現したとのこと。
生成AI関連機能も豊富に搭載し、高い生成AIパフォーマンスを実現するための業界初の機能を多く備えているとアピールします。デバイス上でのLoRAトレーニング、高品質なデバイス上でのビデオ生成、Agentic AIの開発者サポートを提供する初のモバイルチップセットとのことです。
また、デバイス上で動作する大規模言語モデル(LLM)のプロンプトパフォーマンスを最大80%高速化すると同時に、Dimensity 9300と比較して最大35%の電力効率向上を実現していると謳います。
MediaTekのCEOであるJoe Chen氏は、Dimensity 9400はAIを普及させるという自社の使命をさらに前進させるものであるとコメント。デバイス上でのビデオ生成やLoRAトレーニングによって、生成AI技術の進化をさらに促進させることができるとしています。
このほか、Dimensity 9400には先代より50%低い消費電力を実現する4nm Wi-Fi/BluetoothチップやWi-Fi 7のサポート、4K60fps動画撮影時に先代より14%少ない消費電力で動作するImagiq 1090を搭載。さらに三つ折りスマートフォンをサポートするようで、スマートフォンメーカーが柔軟に設計を行えるとしています。
お伝えした通り、Dimensity 9400を搭載した端末は2024年第4四半期より登場予定。すでにDimensity 9400の処理性能を垣間見ることができるAnTuTuベンチマークスコアなどがリークされており、そのスコアは300万点弱に到達。現行のSnapdragon 8 Gen 3やDimensity 9300が200万点前後だったことを鑑みると、恐ろしいほどの性能向上が実現していそうです。
一方、次期旗艦SnapdragonチップもOryon CPUを採用することによって大幅な性能向上を実現するとのことで、苛烈な性能競争が期待されます。今後に期待したいところです。
情報元MediaTek