電子書籍端末などで本を利用するには、これまで二種類の方法がありました。電子書籍を配信しているオンラインストアで書籍データを購入する方法と、実際の紙の本を裁断、スキャンし、データ化する方法です。後者はいわゆる「自炊」と呼ばれてきました。
後者の方法は、私的利用の範囲内で認められてきました。しかし近年では、その本を裁断、スキャン、データ化する一連の「自炊」の手順を、全て代行し、利益を得る業者があらわれてきました。これが私的利用の範囲を逸脱しているとして、著作権団体は「自炊」代行業者に対する訴訟を起こしてきました。これにより、多くの業者が廃業に追い込まれてきました。
しかし読売によれば、こうした「自炊」代行業者について、著作権団体が、代行業者のスキャン行為を「許諾」し、その代わり業者から著作権使用料を徴収することで、「自炊」代行を認めようという機運になっているそうです。
日本文芸家協会や日本漫画家協会などの著作権団体は、本日から「蔵書電子化事業連絡協議会」を設立、「自炊」代行業を認めるための枠組み作りをおこなっていく模様です。事実上の中間マージンの徴収のようなものですが、それで消費者の利便性が上がるのであれば、歓迎したいところでもあります。
事実、部屋の本棚にあふれる書籍を「自炊」しようと考えると、裁断機やスキャナーを購入する費用が必要です。設備投資だけでなく、相当な時間も手間も必要となります。それを代行するビジネスというのは、面白いと思いますし、著作権法に違反しないというのであれば、個人的にはぜひ利用したいと感じます。
消費者、業者、そして何より作者のために、よりよい環境作りを著作権団体にはお願いしたいところです。
情報元:YOMIURI ONLINE
写真引用元: moriza via photopincc