多種多様、千差万別のヘッドホン市場に新顔です。その名も、AUSDOM M04S 。原稿執筆時の価格が5,461円と廉価ながら、驚くほどのコスパの高さが特徴です。今回、AUSDOM様よりレビュー用のサンプル機材を頂戴しましたので、レビューを掲載していきます。
筐体: 一風変わったデザイン、脱着式のケーブル
筐体はダイヤモンドのカットというか、甲殻生物のようなデザインは好みが分かれそうです。ヘッドホンの左側には、電源ボタン、ボリュームキー、動作状況を伝えるLEDランプ、それから 3.5mm ステレオミニプラグポートがあります。右側には、再生・一時停止、スキップ、バックボタンが付いています。ケーブルが脱着可能なので、自分の好きな長さのケーブルを用意できるのは魅力でしょうか。若干、microUSBポートのキャップが開けづらく苦戦したので注意が必要です。
装着感は快適そのもの。筆者は若干頭が大きいので、適当なヘッドホンを買うと側圧の強さに悩まされるのですが、M04Sの装着感は快適そのものです。試しに3時間ほどつけたまま生活をしてみましたが、耳が痛くなることはありませんでした。
音漏れに関しては、常識的な音量で使えば気になるようなことはありませんでした。ただし、新幹線のグリーン車や静かな場所では、音量を下げる必要があるかもしれません。
音質: 高音が強めだが、価格以上
音質は「侮っていた」というのが率直な感想です。大手の音響機器メーカーではなく、ましてや中国のメーカーということもあって、音質は二の次かと思っていましたが、価格以上の音質でした。何万円とするヘッドホンと比較するのは酷ではありますが、この価格帯のヘッドホンでは、頭ひとつ抜けている印象を受けます。
最初は女性ボーカルのサ行の音が、耳に突き刺さるような印象を受けますが、エージング用のピンクノイズを再生してしばらく放置していたら、ずいぶんと高音域は丁寧な音に落ち着きました。
全体的な傾向としてはドンシャリでJ-POPやアニソンが存分に楽しめると思います。特に、エージングをする前は「ただ出ているだけ」の印象を受けた高音域も、ポテンシャルを生かして、女性ボーカルの繊細な音声・のびのびとしたビブラートにつながっています。
筆者としては、ここまで高音をはっきりと表現するのであれば、いっそのこと低音もガンガンと出るようにチューニングをしてもらった方が、頭を振りながら楽しめるヘッドホンになっていたと思います。プレイヤーのイコライザを使えば、低音もガンガン出るので、惜しいですね。
ワイヤレス: NFCでかざすだけでペアリング。快適に利用可能。
AUSDOM M04Sは Bluetooth 接続にも対応しているため、ワイヤレスで音楽を楽しめます。本体には400mAhのバッテリーを内蔵、microUSBケーブルで充電が可能です。
対応プロファイルは”HSP/ HFP/ A2DP/ AVRCP”で ”HSP/ HFP” にも対応しているため、パソコンやスマートフォンのヘッドセットとしても利用できますが、プロファイルの制限上、音質が良くありません。スマホのヘッドセットとして使うのは良いですが、SkypeやLINEの通話機能などで利用すると、音質の悪さが際立つので、注意が必要です。
本体にNFCチップを内蔵しているため、対応スマホを利用すれば、一発でペアリングが完了するは快適ですね。
ワイヤレスで音楽を楽しむのは良いのですが、BluetoothのA2DP(SBCコーデック)ではヘッドホン自体の能力を生かせていないように感じられます。バッテリーの持ちの問題もあるのでしょうが、次期モデルでは、高音質コーデックである aptX に対応して欲しいです。もちろん、Bluetooth接続でも音質にもそこまでの不満を感じませんが、有線接続より音質がグッと下がってしまっていることを実感します。
国内で利用するBluetooth機器には技適マークが必要なのですが、驚くべきことに本製品は技適を通過しており、しっかりとシールが貼り付けてあります。頭の近くで使う製品ですし、海外製品によくあるな異常な電波出力ということもないため、安心して使えますね。
以上、AUSDOM M04Sのレビューでした。廉価な製品でありながら万人にお勧めできる一品でした。ブランドにこだわらないのであれば、是非手にとっていただきたい製品です。