SoftBankは、データ定額パックに新たに容量1GBのプラン「データ定額パック・小容量(1)」を新設すると発表しました。価格は2900円。4月以降契約可能であるとしています。
これは総務省の低容量プラン新設を求める報告書を受けた措置。総務省は大手携帯3社に対し、2016年1月に進捗の報告を求めており、それに対処すべく早速、新設したものとみられます。
携帯キャリアは、高額との声を受けていた完全音声通話定額制で2700円の基本料金プランとは別に、部分通話定額制で1700円の基本料金プランを相次いで導入していましたが、最低容量のプラン(2GB)と組み合わせができないという問題がありました。
ソフトバンクの1700円の基本料金プラン「スマ放題ライト」もこの例に漏れず、容量2GBのデータ定額プランと組み合わせることができず、ランニングコストの最低額は月額6500円に高止まりしていました。
しかし今回の「データ定額パック・小容量(1)」は、スマ放題ライトとの組み合わせも可能。今後は基本料金1700円+接続料300円+データ2900円=4900円で運用できることになります。
4900円というのは正直、誰もが予想していたものでしょう。下げ過ぎると、自社の格安スマホ対抗ブランドと化しているY!mobileの、「スマホプランS(2年契約時、月額2900円)」と競合します。一方、総務省は5000円以下にしろと言っていました。となれば、4900円という額は当然の線でしょう。
逆に言えば、部分通話定額制+データ容量1GBでいいなら、Y!mobileを選んだほうが安いとも言えます。しかも、スマ放題ライトの部分通話定額は、あくまで1回あたりの通話の無料時間は5分までですが、スマホプランSなら10分まで無料となります。そう考えると、新設されたプランは立ち位置がいまひとつ不明で、恩恵を受けられるユーザーはごく一部と言えます。
端末の処理能力・表示能力向上・通信速度の高速化により、コンテンツもリッチ化、当然ながらユーザーの必要な通信容量はどんどん増加しています。1GBなんてすぐに消費してしまって、全く足りないという人も多いでしょう。
そもそも政府が価格を指示するという発想が社会主義的です。やるにしても、発端となる首相指示の主旨は景気対策なのだから、すべてのプランにおけるデータ容量の価格を下げさせる方がまだ意味があります。下がったデータ通信料の分だけ、家族と美味しい外食に行くもよし、上位のデータ容量に変えて有料サービス・有料アプリやVODサービスに課金するもよし、みんなで経済を回せるのですから。総務省の指示は、安くなるユーザーはごく一部に限られるどころか、端末代の値上がりも予想され、適正負担化にしても中途半端で、しかも肝心の景気対策にもなっていないので、日本の通信史上まれに見る愚策であると言えます。