近年Oculus RiftやHTC ViveなどによるVR(Virtual Reality)のに注目が集まっています。それに伴い、映像でも360度撮れる全天球カメラの人気が上昇傾向にあります。
Oculusを傘下に収めるFacebookも先日、360度撮れるSurround 360を発表し、さらにGoProも360度撮れるOmniを発表しました。そして一般の方々でも簡単に使える全天球カメラ、RICOHのTHETA、LGの360 Cam、SamsungのGear 360なども発表されています。
各メーカーが次々と参入するこの全天球カメラ、今回はRICOHのTHETA Sを購入したので紹介したいと思います。
360度撮れる!?全天球カメラとは
360度撮れるんだよ!と全天球カメラを知らない方々に言うと「ん?どういうこと?」と反応されることもしばしば……。しかし動画を見せたらそれはわかります。
※360度映像を楽しむにはPCの場合はChrome,Opera,Firefox,Internet Explorerのブラウザ、モバイルの場合はiOSまたはAndroidのYouTubeアプリから閲覧する必要があります。
簡単に言うと空間を撮影する、この場を写真に全て収めることができるのです。写真が前方の一瞬を切り取るものだとすれば、全天球カメラは周囲の空間全ての一瞬を収めるものと言えるでしょう。
THETAは二種類のモデル
前置きが長くなりましたが、THETAの話に入りたいと思います。THETAは主に二種類のモデルが存在します。旧モデルであるTHETA m15と、画質、機能が更に進化したTHETA Sです。
THETA S | THETA m15 | |
---|---|---|
撮影モード | 静止画:オート,シャッター優先,ISO優先,マニュアル 動画:オート | 静止画:オート,シャッター優先,ISO優先 動画:オート |
シャッタースピード | 静止画:オートの場合(1/6400~1/8秒) マニュアルの場合(1/6400~60秒) | 静止画:1/8000~1/7.5秒 |
ISO感度 | 静止画:ISO100~1600 動画:ISO100~1600、ライブストリーミング:ISO100~1600 | 静止画:ISO100~1600 、動画:ISO100~400 |
容量 | 8GB | 4GB |
最大解像度 | 静止画:5376×2688 動画:1920×1080 30fps | 静止画:2048×1024 動画:1920×1080 15fps |
端子 | microUSB,microHDMI | microUSB |
質量 | 約125g | 約95g |
撮るのは難しい?起動遅いんじゃ?どうやってみれるの?
360度撮ってみたい!と興味が湧いた方もいらっしゃるかと思います。しかし気になるのが撮影の容易さ、速さ、プレビューなど。この三点に関して説明させていただきます。
容易さ
撮り方は簡単です。
- 側面の電源ボタンで電源を入れる
- 本体正面にあるボタンを押す
たったツーステップです。そこらのデジカメなどと大差なく使えます。
速さ
起動は早いです。電源つけたら即撮れます。そして電源もすぐ消せます。そしてまたすぐ電源を付け、即撮影することができます。
360度撮ることから負荷がかかって時間がかかるのかと思いきや、意外にもキビキビ動きます。撮るまでに時間がかからないことは良いところですね。
プレビュー
撮った写真は専用のアプリを介してスマートフォンに取り込むことができます。取り込んだ写真はそのアプリを使って見たり、theta360.comにアップして共有することも可能です。
また、『THETA+』というアプリを使うことにより、360度ならではの写真編集が可能です。ちまだで話題のリトルプラネットや魚眼レンズ風、大きなパノラマ写真も作れちゃいます。もちろん作ったら画像そのままTwitterやFacebook、LINEなどに共有することができます。撮ってすぐ編集できてすぐ共有できる、これも大きなポイントだと思います。
写真だけではありません。『THETA Video』アプリを使用して動画もスマホで編集できます。写真と同様リトルプラネット、魚眼レンズ風なども可能ですし、BGMやトリム、フィルターをかけることも可能です。スマホでここまでお手軽にできると「編集が面倒くさいし、わからないから」と諦めてしまうことなくできますね。
どこまでいじれるマニュアルモード
THETA Sはm15と違い、マニュアルモードでの撮影が可能です。専用のアプリをスマートフォンにインストールして、THETAと繋げます。すると上部にライブビューが表示され、その下部にISO、シャッタースピード、露出補正などを弄るボタンがあります。また他にもDR補正やノイズ低減など気になる最低限の機能がスマホでできちゃいます。
ただ、動画モードの場合はオートのみとなってしまいます。次期モデルに期待といったところですね。
(マニュアルはTHETA M15ではできません。THETA Sのみで可能です)
肝心の画質
秋葉原 #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA
センサーサイズは1/2.3型とデジカメや近年のスマートフォンに搭載されている物と同じ大きさです。そのため圧倒的に綺麗に撮れる!というわけではありませんが、見て楽しむレベルとしては十分なものです。そのため暗所ではノイズは目立ちますので、使用する場所はやや限られてくることでしょう。
動画は1080pまでしか対応しておらず、YouTubeにアップロードしてVRモードで楽しもう!と思うと思いの外粗いものになっています。VRとして綺麗に感じるのは4K~8Kの360度の映像なのではないでしょうか。しかし、この価格帯ということを考慮すると動画が撮影できるだけ有り難いといったところですね。
次期モデルに期待する問題点
まず内蔵ストレージがわずか8GBしかない点です。せめて16GB、欲を言えば32GBは欲しい。それか外部ストレージの対応ですね。8GBではタイムラプスなどを大量に撮影したり、ゴリゴリ使うときにやや心配だなあと思う容量です。沢山撮った日にはiPhoneやパソコンに取り込む必要がありますね。
防水防塵は非対応。別売りのケースを用いても防滴レベルであること。この価格帯を考えれば防水防塵が省かれているのは納得ですが、別売りのハードケースを購入しても防滴レベルでしか保証されていません。かつ、レビューなどを見るとケースを装着すると上部が歪む、下部が黒くなってしまう、単体での使用が不可能になる、熱が篭ってしまい撮影不能になるなど、正直製品としてどうなのかと疑いたくなるレベルです。次期モデルではやや割高でも良いので通常時で防滴は対応して欲しいですね。
総評
空間を撮る!残す!シェアする!VRモードでその場にいるかのように感じる!まさにカメラの新時代です。
5人や6人などやや多めな人数で自撮りするときには画角を気にしたり、一緒に行った食べ物などが別撮り、フレームアウトなど写したかったなあ、景色と一緒に撮りたいけど、周りの人に頼みにくい……THETAなら空間すべてを撮るのでノープロブレム。お店の雰囲気も撮れちゃいます。ましてや大人数で撮る写真はリトルプラネットで面白い集合写真にできたり!余計な部分はTHETA +でササッと編集。こんな新しいセルフィー、いかがですか?
「いや、自分は1人の機会が多いから全天球カメラなんて必要ない……」なんて人、そうでもありませんよ。編集次第で新しい写真が生まれたり、予想外なものができたりと貴方次第ですべては決まります。ふと、ここで撮ったらどうなるんだろう、あんなところで撮りたい……と、いつもの日常が更に楽しくなること間違いなしです。
ワンシーンを切り取り、自由に画角を決めることのできた写真や映像作品。しかしこれからは舞台作品のようにユーザーが自由に見たいと思った方向をみることができる360度の作品が続々と登場しそうです。今までにないような新しい作品や様々な場所での応用、そして映画業界での活用など、似ているようで異なる新ジャンル、360度カメラが今後どのように発展していくか、今年最も話題になること間違い無しだと思います。