Huaweiのフラッグシップスマートフォン「Huawei P9」を10ヶ月ほど使用したのでレビューします。
外観レビュー
第一印象は「かっこいい」
Huaweiといえば、所詮は中国メーカー、Ascendみたいなドコモの微妙な機種を作らされてる、といったネガティブなイメージの強いメーカーでしたが、今やそんなこともなくなりました。個人的な転機はHuawei Ascend Mate 7からです。
Mate 7はかなりの良機種でしたが、Huawei P9も実に完成度の高い機種です。まずは化粧箱。白地の箱に金色の文字。上質な印象を与えてくれます。
化粧箱を開封した時の第一印象は、ずばり、カッコイイ!でした。ではそのハードウェアの詳細を見ていきます。
一体成型金属筐体と適度なラウンドによる「握りやすさ」
前面最下端にHUAWEIロゴ。底部にはイヤホンジャック、USB Type C端子、スピーカーグリル。フロントパネルは2.5D曲線のGorillaガラスにより、縁がラウンド形状に。
側面は金属素材ながらも丸みを帯びており、フロントパネルと一体感があります。側面には電源ボタンや音量キー、アンテナラインがあります。
航空機材グレードを採用したアルミ合金ユニボディデザイン。側面と背面は一体成型となっています。
視覚的にも高級感がありますが、持った感触もヒンヤリ良好。5.2インチディスプレイという現在のスマートフォンでも主流のサイズで、幅は70.9mmとジャストな感じ。ラウンドデザインも相まってグリップ感は良好。重量144gですが、持ったところ、思ったよりは軽く感じます。
背面に指紋認証センサー。各社が側面・前面など、様々な位置に指紋認証センサーを配置するのを試行錯誤していますが、個人的には、Ascend Mate 7 / Mate 9 / Huawei P9の指紋認証センサーの位置が最適だと感じます。
指を変に伸ばす必要もなく、人差し指でさっと解錠。指紋認証センサーの認証速度と認証精度は相変わらず驚異的に優秀。この点はAscend Mate 7を引き続き継承、発展させています。Huawei製のスマートフォンの指紋認証は、常にその時代の機種の中で優れたものです。
総じて満足度の高いハードウェアと言えます。
性能
基本スペック
カタログスペックは以下の通り。HuaweiのHiSilicon Kirin 955 オクタコアプロセッサを採用しています。
OS | Android 6.0 Marshmallow with EMUI 4.1 |
---|---|
CPU | HiSilicon Kirin 955 オクタコア |
メモリ | 3 GB |
ストレージ | 32GB, microSD |
ディスプレイ | 5.2インチ IPS Full HD |
カメラ | 1200万画素デュアルカメラ, デュアルLED |
インカメラ | 800万画素 |
バッテリー | 3000mAh |
寸法 | 145 x 70.9 x 6.95mm, 144g |
その他 | LTE Cat. 6, Wi-Fi a/b/g/n/ac, Bluetooth 4.1, NFC USB Type C, 指紋認証 |
パフォーマンスは良好。常用する上でスペック不足を感じることはほぼありません。
美しいディスプレイ
Full HD(1920 x 1080)解像度のIPS液晶を搭載。スマートフォンでトップクラス、ひとつの基準であるiPhone 7と変わらない視野角と発色を誇っています。
タッチパネル感度は?
タッチパネル感度が若干悪い気がします。SHARP、JDI、LGの三社が供給していますが、供給メーカーの差なのか個体差なのかは不明。Huawei Mate 9やAscend Mate 7では良好なので、個体差なのかなぁ?
ストレージがちょっと足りないが問題なし
ディスプレイも綺麗なので、動画やゲームを詰め込んで、写真もたくさん撮ります。そうなると不安なのが内蔵ストレージ。個人的には16GBは「かなりキツイ」、32GBは「ちょっと不安」という感覚。機種の特性と用途にもよりますが。
この機種のデュアルSIMは、トレイがmicroSDカードスロットと兼任。SIMを2枚刺すわけではないのなら、microSDカードにて容量を拡張できるので、ストレージは心配なし。
128GBでもしっかり認識しますよ。
Transcend microSDXCカード 128GB Class10 UHS-I対応 無期限保証 Nintendo Switch 動作確認済 TS128GUSDU1
優れた電池持ち
6.95mmと薄型の筐体の割には、バッテリー容量はしっかりと3000mAhを確保。
さらに「パフォーマンスモード(動画とゲーム用)」「スマート」「ウルトラ省電力」という3つの電源プランを選択可能。加えて、消費電力の高いアプリを上から順に選出して遮断できる機能や、画面解像度をHD(720p)相当に下げて電力を抑えるオプションなど、独自の省電力モードも充実。ハードウェアとソフトウェアの両面によって、極めて優れたバッテリー持続時間を実現します。
6.8mmという薄型筐体を実現したはいいものの、電池容量はわずかに2000mAhで、対応バンドやストレージも足りていなかったHuawei Stream Sを思い出せば、6.95mmにフラッグシップの性能を詰め込んできたのは技術の進歩を感じますね。
ソフトウェア
独特のUI
OSは出荷時Android 6.0 Marshmallow。スキンはHuawei独自のEMUI。ちょっとクセがあります。
通知バーが微妙
通知バーも癖があって微妙に使いづらいのですが、基本は良くも悪くも昔ながらの2ライン。具体的には、通知を横フリックで消す動作を行っていたら、ショートカットバーを開いてしまったり、逆にショートカットバーに横フリックで行こうと思ったら通知が消えてしまう、といった不満があります。今では慣れてしまいましたが。
個性的な工夫
前述したバッテリーやパフォーマンスに関する設定項目や、フローティングボタンのカスタマイズなど、ちょっと変わった工夫が多数。指紋認証センサーに操作を割り当てられますが、特に使ってません。画面自体を小さくして片手操作するモードはMateシリーズでは重宝しますが、5.2インチの本機種ではほぼ不要。
細かい点ですが、EMUI内の、設定画面内など、画面外スクロール時のバウンズ処理はAscend Mate 7では最下端でしか働かなかったのですが、P9では最上端でも働くようになっていますね。
Ascend Mate 7にもアップデート適用で実現できるようになっていたスクロールショットも、P9では標準で実装済みです。
しっかりOSアップデート、安心して長く使える
Huawei P9は出荷時にはAndroid 6.0 Marshmallowでしたが、Android 7.0 Nougatアップデートが配信されています。国内のSIMフリー機は意外とアップデートが放置されている機種もありますが、Huaweiはしっかりとアップデートを行っているのが好印象です。
カメラ
ライカと共同開発したデュアルカメラ
LEICAと共同開発したデュアルカメラを搭載。レンズは「SUMMARIT H 1:2.2/27 ASPH」、F値は2.2、画角は27mm。
同じくデュアルカメラ搭載といえばiPhoneなどがありますが、それらと異なり、Huawei P9のカメラセンサーは、片方はRGB、もう片方はモノクロ。カラーとモノクロの2つの画を合成して最適な画を出力するというのは面白い点です。
モノクロ写真は最高
モノクロセンサーを活かした表現力で、風景写真や物撮りもバッチリとキマります。
夜景もイケる
海外レビューでかなり言われていたように、たしかに暗い部屋などでの低照度撮影はちょっとノイジーな気はしましたが、あまり使わないので気にならなかったり。夜景など屋外で概ね問題なく撮れているからいいのかな。Galaxy S7 edgeともあまり遜色ないので、そこそこ優秀な部類かと。プロモードでマニュアルで弄ってあげれば上を目指せるポテンシャルもあります。
飯テロにも使える
もちろん、ご飯も美味しそうに撮れますよ。
自由度が高い分、真価を引き出すのは手間
スマートフォンのカメラと言えば、やはり極力オートでどこまで自然に撮れるかといったことを競いがちですが、Huaweiのカメラは設定項目も多く、真価を引き出すには、そこそこのカメラ知識を持って使ってあげたいところで、使い手を多少選ぶ気がします。
無目的に散歩して、何気なく見つけた景色や被写体を、ちょっと手間をかけていい感じに撮ってあげるという、カメラらしい用途で使うのなら向いていると思います。
ワイドアーパチャーは…
仮想的にF値0.95を再現するワイドアパーチャーは購入当初に試したけれど、ディテールが不自然であまりいい画が撮れませんでした。あと、モノクロやマニュアルモードでは使用できないのが残念。
総評:Huaweiの底力。
高いスペック、個性的なカメラ、優れた電池持続など、「たかがファーウェイ」とはもう言わせない出来。5.2インチという標準的なサイズで、スタンダードなまとまり具合。かなりド安定な一台。
実は価格もスタンダードで、定価6万4584円という安さ。後継機が海外で発表され、現時点ではさらに価格もこなれて、Amazon.co.jpにて4万5241円に落ち着いています。ソフトウェアアップデートにより、Android 7.0 Nougatも適用可能なのも嬉しいところ。
Huawei P9 SIMフリースマートフォン (グレー) 【日本正規代理店品】EVA-L09-GREY
Huaweiは、日本向けのMate Sで強気すぎる高額な価格(海外では6万円の機種を8万円)で販売してしまい、あまり話題にならなかった……という反省からか、最近のP9やMate 9などではかなり価格を抑える作戦を取っているように見えます。結果として、自分の中でのHuawei製品に対しては「極めてコストパフォーマンスが高い」という良いイメージを持てており、Huaweiの作戦は成功しているのではないかと思います。今後のHuawei製品に期待の持てる一台です。