いよいよ夏らしい気候になってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?夏に向けてキャンプなどの野外レジャーを計画している方も少なくないと思いますが、長時間の野外レジャーで困るのがスマホの充電です。替えのスマホやモバイルバッテリーを用意するのも悪くないですが、リチウムイオン電池を高温環境に置くのは不安が残ります。
そんな悩みを解決してくれるソーラーチャージャーの試供品を頂いたので、レビューします。
実用性重視の構造
本体は手帳のような構造になっており、1つ目の見開きに給電用のUSBポートx2が、2つ目の見開きに2面のソーラーパネルが備わっています。ソーラーパネルを含めて本体は防滴仕様ですが、USBポートのキャップは気休め程度。USBポート側を下にして使った方が、USBポートに雨が掛からなくて良いかもしれません。USBポートの周りはメッシュポケットになっており、充電ケーブルやスマホ本体を収納しておけます。
本体の周囲7ヶ所には紐が付いており、リュックサックやテントに固定する際に役立ちます。本体を折りたためば13インチMacBook Proくらいのサイズになり、重さは500mlペットボトル1本分。リュックサックに放り込めば持ち運びも苦になりません。
気になる性能は…?
肝心の給電性能について評価試験を行いました。夏の日の正午過ぎ、天気は晴れ。最高のパフォーマンスを期待できるコンディションです。
充電対象の機器には、Galaxy S8、BlackBerry PRIV、AQUOS K(ガラホ)、TransBook T90Chi(ミニノートPC)を選定しました。いずれも、5V1.5A以上の充電能力があることを事前に確認済みです。
理想的な設置状況の時
ソーラーパネルを日光に対して直角(90度)に設置した場合の出力をまとめました。
機種名 | 充電専用ケーブルでの出力 | 通信ケーブルでの出力 | ||
Galaxy S8 | 4.91V | 1.04A | 5.04V | 0.51A |
BlackBerry PRIV | 4.91V | 1.04A | 5.04V | 0.44A |
AQUOS K | 4.93V | 0.97A | 5.04V | 0.46A |
TransBook T90Chi | 4.90V | 1.10A | 5.05V | 0.44A |
充電専用ケーブルでは、概ね5V/1Aの出力が得られています。不思議なのは、通信ケーブルを接続すると出力が0.5A前後まで落ちること。5本のケーブルを試しましたが、5V/1Aの出力を得られたのは充電専用ケーブルの時だけでした。
設置状況が理想的でない時
ここでは、最大の出力を得られるTransBook T90Chiと充電専用ケーブルの組み合わせで、設置状況が理想的でない場合の性能を見ていきます。
設置状況 | 出力 | |
斜め45度に設置した場合 | 4.96V | 0.81A |
垂直に吊るした場合 | 5.00V | 0.25A |
パネル1面が完全に日陰の場合 | 5.02V | 0.64A |
パネル2面が半分ずつ日陰の場合 | 5.12V | 0.05A |
パネル全体が日陰の場合 | 5.13V | 0.05A |
太陽電池の特性上、日光を受けられないセル(青い短冊状の受光素子。本製品では1パネル12セル構成)があると、出力を確保できなくなります。設置場所の都合でどうしても日陰ができる場合は、パネルの長さ方向に光を当てると良いでしょう。
2台の機器を同時に充電する時
ソーラーパネルを理想的な配置に戻して、AQUOS Kを追加で接続してみました。厳密に測定した訳ではないですが、どうやら2つのUSBポートで出力を山分けする形になっているようで、AQUOS Kを接続するとTransBook T90Chiへの供給電流が減ってしまいました。
熱対策をしてみる
評価試験をしていて気になったのは、ソーラーパネルが結構熱くなること。真夏の直射日光下なので当然といえば当然ですが、固定先のリュックサックやテントが加熱される可能性があるので注意が必要です。
また、本製品の動作範囲はー20℃〜80℃ですが、一般にシリコン結晶タイプの太陽電池は温度が上昇により発電効率が低下します。実際に、氷水を含ませたティッシュでソーラーパネルを拭いて冷却したところ、一時的にですが4.88V / 1.31Aの出力を出すことに成功しました。
総評
今回の評価試験では、なかなか実用的な性能を発揮することが分かりました。夏のレジャーシーズンに向けて、また、自然災害による停電への備えとして、1枚いかがでしょうか。