Project Loonが、米連邦通信委員会FCCから、プエルトリコにおける2017年10月6日~2018年4月4日までのライセンス認証を取得したことがわかりました。
Project Loonとは、Googleの親会社であるAlphabetの子会社「X」が開発中の、移動体通信基地局を担う気球。気球や太陽電池、無線アンテナ、LTE通信モジュール、制御装置などによって構成されます。
発展途上国など、世界にはまだまだ通信網が未発達な地域は多数存在します。Project Loonの気球を、成層圏に浮遊させることで、そうした地域にインターネット接続網を提供するというプロジェクトです。
プエルトリコは、アメリカの準州です。プエルトリコ住民はアメリカ国籍を有しながらも、連邦所得税を免除され、米大統領選挙における選挙権を有しないという特別な地域です。
このプエルトリコが最近、超大型ハリケーンの被害によって、通信網が壊滅的な打撃を受けました。FCC曰く、移動体通信網の83%がサービス提供できない状況に陥っているとのこと。
Project Loonが実際に展開すれば、友人や家族との連絡や、域外との通信、救援活動や復興活動が大きく進展することは間違いありません。
5月には洪水を受けたペルーでLTE接続を提供した実績があるProject Loonですが、当時は既にペルーの通信事業者であるTelefonicaと提携を行っていたため、スムーズに災害への対応が可能でした。
しかし今回は災害後に立ち上がった話であるため、FCCのライセンスこそ降りたものの、現在Xはプエルトリコの通信当局と協議中であるとしています。当然Project Loonは万能ではなく、使用開始にはあくまで通信事業者との協力が不可欠なのです。
Alphabetの子会社Xは、かつてGoogle X Labsと呼ばれていた秘密研究機関で、自動運転車やGoogle Glassといった先進的な製品の研究開発も行ってきた組織です。今後、Project Loonは開発途上国や被災地にとって欠かせない重要な存在となるかもしれません。