ドン・キホーテは、自社のプライベートブランド「情熱価格」の新製品「MUGA ストイックPC」を発表しました。最大の特徴は市場最安値をうたう19,800円という価格で、確かにノートパソコンとしては破格と言える価格設定になっています。
一方、価格の犠牲になっているのは製品のスペックです。スペックは以下の通りとなります。
CPU | Atom x5-Z8350 |
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メモリ | 2GB (増設不可) |
ストレージ | 32GB(eMMC) |
インターフェース | USB3.0 * 1 USB2.0 * 1 MicroSDスロット イヤホンジャック |
Wi-Fi | IEEE 802.11 b / g / n |
Bluetooth | Bluetooh 4.0 |
ディスプレイ | 14.1インチ IPS液晶(1920 * 1080) |
バッテリー | 約7時間駆動 |
OS | Windows 10 Home |
ざっとみた限り、スペックは一昔前のWindows タブレットという感じで、そこに約14インチと大きめな液晶ディスプレイが乗っかっているように見えます。いかんせん、メモリが2GBしかないこと、ストレージが32GBしかないことを考えると「ストイック(禁欲的に厳しく身を持するさま)」な使い方が必要になりそうですが、さて・・・・・・どうやって使ったものでしょうか。少し考えてみましょう。
普通のノートパソコンとしての性能に期待はできない
前述の通り、メモリの容量とストレージの容量を考えると、普通のノートパソコンとしての使い方はかなり厳しいものになるでしょう。沢山のソフトを同時に動かしたり、写真編集をしたり・・・・・・といった使い方をしようとするものなら、動きの遅さにストレスがたまること必至です。
また、ストレージの容量が少ないこともあって、スマートフォンやタブレットの母艦としての使い方も難いです。USB 3.0のポートがあるので、大容量のファイルをすべてそちらに逃がして・・・・・・ということは考えられないことも無いですが、それならもう少しお金を払って、大容量のHDDを搭載したノートパソコンを買った方が良いように思えます。
オフィスはMS Officeが付属しておらず、KingSoft製のOffice互換ソフトがインストールされています。ただ、このスペックでオフィスは少し厳しいでしょう。Word互換のソフトで文章を作るぐらいなら良いですが、複数のシートをまたぐExcel互換のソフトや、PowerPoint互換のソフトを動かすとなると、少し胃が痛くなりそうです。
しかし、MUGA ストイックPCには大型のディスプレイとキーボードがついています(Windowsタブレットに大型ディスプレイとキーボードがついているだけとも言える)。そこを生かした使い方を考えてみます。
単純なネットーサーフィン端末
まず思い浮かぶのがこれです。IEやChromeを起動させて、ネットを見るだけの使い方です。スマホやタブレットでもネットを見ることはできますが、やはり画面が大きいと文字が見やすく、一度に多くの情報を手に入れることができます。
しかし、最近のブラウザはどれもメモリの消費量が激しく、複数のタブを開いてネットサーフィンをしようものなら、たちまち動きが遅くなるでしょう。
動画サイトの場合では、Youtubeなら見られるでしょうが、コメントの多いニコニコ動画は動画の再生がカクカクしそうです。また、最近では動画が埋め込まれていたり、あれこれと重たい処理を走らせるWebサイトがあるので、そのようなサイトが快適に見られるかと言うと、少し難しい気もしてきます。
もちろん、複数のタブを開かずに見ていれば良いのでしょうが、パソコンだと複数のタブを開きたくなりますよね。そのあたりはストイックな使い方が求められる・・・・・・のでしょうか。
ワープロ端末
恐らくこれが一番正解な気がしています。インストールするのは「秀丸」と「ATOK」だけ。これさえあれば、何もいらない。一切の邪念を払い、ワープロとして使う・・・・・・。みたいな使い方です。もしも、私がこのパソコンを使うことになったら、この使い方をするでしょう。
気になるのはキーボードの打鍵感で、長時間の文字入力に耐えられるキーボードになっているか、これは実際に触ってみないと分かりません。
最悪、USBでキーボードを接続して使えばいいのですが、外付けで入力デバイスをつけてしまうとゴチャゴチャしてしまうので、標準の状態で使えるのが一番です。USBポートもひとつしか無いので、Logicoolあたりの無線キーボード&マウスを使うのがベターになりそうですね。
言うならば、画面がでかくて持ち運びがしづらいポメラみたいな感じです。資料探しにちょびっとくらいならネットサーフィンできますし、少々筐体が大きいことさえ無視すれば外出先でも使うことができます。
テキストを書く仕事をしている人はネットにつながっているとそっちに気をとられてしまったり、スタートメニューにゲームがあると、ついついそちらを起動させてしまうという方もいるかと思うので、本気のワープロ端末としてはありかもしれません。
リモートデスクトップのクライアント・SSHのクライアント
マニアックな使い方ですが、クライアントの性能が無いなら、外部の潤沢なリソースを使おうという作戦です。RDP(リモートデスクトップ)を使って、メインで使っているハイスペックPCに接続すれば、いくらクライアントパソコンのスペックが低くても関係ありません。
これは、時々筆者も使っている方法で、ベッドで寝転がりなら、メインのパソコンにリモートデスクトップで接続して、負荷のかかる作業や大量のストレージ容量を必要とする作業を行っていたりします。
後はSSHのクライアントとしての用途です。これも、賛否ありそうなのですがTera TermやRloginをインストールしてサーバに接続、後はサーバ上でガシガシと作業をするみたいな使い方です。画面も14インチと大きく、解像度もフルHDなので複数のウインドウを開いて作業を実行しても、そこそこ快適に使えそうです。
工夫次第で夢は広がる・・・・・・?
思い浮かぶ限りで考えてみましたが、スマホやタブレットでほとんどの作業が完結してしまっている昨今、お金を払ってスペックが厳しいパソコンを買うというのは、リスクが高いように思えてきます。
安くてもいいから複数のパソコンが欲しいという人や、なかなか想像できない情況ではありますが、用途によってパソコンを使い分けたいという人には、ひとつの選択肢になるのかもしれません。ただ、何も知らない人がこのパソコンを買ってしまうと言う悲劇だけは避けて欲しいですね。