「美黒撮影」?中国人に無名の中国メーカー、アフリカで大人気。

中国で無名、アフリカ市場で有名な中国メーカー

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 日本のスマホの海外展開は無きに等しいため忘れがちですが、新興国市場、最後のフロンティアといえば、そう、アフリカです。

柔軟なローカライズでアフリカ市場で躍り出る

 昨年、ある中国製スマホ・ケータイが、価格の安さ・耐久性・「美黒」や「歯と眼へのフォーカス」、「防油指紋識別」といった、柔軟なローカライズ設計により、アフリカ市場への進出に成功しました。

 今年上半期、この中国メーカーがアフリカで5,000万台を売り上げ、SAMSUNGを追い抜いて、アフリカ市場販売台数第一位に躍り出たとの海外媒体から、「アフリカ人は中国の携帯電話(中国ではスマホもケータイと同じく「手机」と呼ぶ)をこう見ている」という記事が「北京時間」に掲載されました。

アフリカ大人気の中国メーカー、中国国内では無名

 「北京時間」によれば、アフリカ市場で販売台数第一位となったのは、「中国传音控股」(中国伝音ホールディングス・Transsion Holdings、以下「中国伝音」)。今年のグローバル販売目標は、41カ国で1億2千万台、創業者は現在の目標を南アジア市場としており、IDCのデータによれば、昨年第4四半期にインド市場で第2位になっているそうです。

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 「誰だこいつ?!」という感じですが、中国市場でも販売していないメーカーらしいです。輸出専門の中国スマホ・メーカーとは、えらい時代になりましたね。ちなみに、ここも中国イノベーションの中心地・深圳で2005年に設立されたとのこと。

 中国伝音が今年上半期にアフリカで販売した携帯電話5,000万台のうち、スマホは1,100万台、販売台数が最も多いのは「ケータイ」ブランドのItel、営業利益を生んでいるのはスマホのTecnoとInfinix、中国伝音の携帯電話は通常100米ドルで販売されているそうです。

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 IDCによれば、中国伝音のグローバル・携帯電話販売台数は、サムスン、アップル、華為に次ぐ世界第4位なものの、単価が低いため、販売額では第13位だといいます。

深圳の“山寨(パクリ)”から脱却、アフリカで苦節十年

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 中国伝音は2007年から、激戦地である中国・東南アジア市場でしのぎを削る深圳の同業者を横目に見て、サハラ以南のアフリカ市場に活路を見出したといいます。

 ちなみに「サハラ以南」は「サブサハラ」とも呼ばれ、「世界最後発地域」の代名詞でもあります。

 では、中国伝音がアフリカ市場でした努力とは?

成功の秘訣は「眼認証」「歯認証」によるカメラ画質向上

 昔、「写ルンです」に代表される、シャッターを押すだけのフイルムで撮るカメラを使ったことのある方ならわかると思いますが、暗いところで人を撮影すると、手ブレはするわ暗いわのクソ写真か、フラッシュが顔の脂に反射しまくるクソ写真が撮れました(簡単なカメラの話です)。

 今のスマホのカメラは頭がいいので、ちゃんと「顔面」を認証して露光調整をしてくれるため(もちろんセンサーの感度が上がっていることもありますが、ここでの肝はオートフォーカスと露光です)、フラッシュを焚かなくてもちゃんと顔を撮影してくれます。

 では、暗いところで黒人をスマホで撮影するとどうなるか?「暗けりゃお前なんて見えねえよ」といわんばかりの写真になってしまいます。「アウトレイジ」みたいですね。

 これではいかんと、中国伝声は「眼」と「歯」によって「顔」を認証する技術を開発しました。従来の「顔認証」は「顔面」だったんですね。

 「美白」ならぬ「美黒」の美顔モードを発展させるべく、伝音は特別チームを編成。現地人の写真を大量に収集して、輪郭、露光補正、現像効果について分析。アフリカの消費者が満足できる写真を撮れるようにしたといいます。

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アフリカらしい「防汗」「音楽」などの特色

 また、灼熱の気候条件では、携帯電話を持つ手がすぐに汗でベチョベチョになることから、中国伝音は防汗、滑り止めなどを具えたスマホを開発したとも。

 さらに、アフリカ朋友が音楽好きで、リズム感が強いことから、「音楽携帯電話」を開発したとか。「起動音楽は永遠に終わらない」くらい長く、「着信音は全世界に聞こえないのが残念」なくらい大きいようです。読んだだけで「うるさぁぁぁい!!」という思いが伝わってきますが、ローカライズがここまでくると立派なものですね。

 また、アフリカは一国に通信キャリアが多数ある(もしかすると地域による?)ため、デュアルSIM、さらには「クアッドSIM」まで開発したそうです。

 中国伝声の竺兆江CEOは「今年のアフリカでの販売台数は1億台が期待でき、営業収入は200億元(1元=17円)になる」といいます。ということは、一台当たりの営業収入は200元程度。これは、「宵越しの銭は持たない」アフリカ人の習慣を考慮して、最高級モデルでも1000元で発売していることによるのだとか。なお、最も安い携帯電話モデルは、僅か数十元だそうです。

 アフリカでは以前から、携帯電話に2通りの呼び方があるといいます。「オリジナル(Original)」がSAMSUNGやNOKIAにシングルSIM、「チャイナ(China)」がパクリにシングルSIMなのだとか。

 中国伝音はテレビCMばかりでなく、電柱に広告を貼ったり、壁に直接ペンキで広告を描いているそうです。さらに、なにせ「農村で都市を包囲する」のが好きな中国なので、アフリカ市場でも大都市で販売するだけでなく、販売員に携帯電話を大きな箱に詰めさせ、田舎へやって行商までしているといいます。

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現地のニーズを的確に把握、今後に注目

 現地のニーズを研究しつくした商品開発、驚きの低価格、アフリカの田舎まで入り込む販売方針。市場を制覇するためにすべきことを、全部やっているのではないでしょうか。

 それにしても、こんな発展途上国特化のメーカーまであるとなれば、中国より後発のメーカーが出現する余地はあるのかどうか、今後の展開に注目したいです。