公正取引委員会、大手携帯会社を調査。報告書の内容をおさらい すまほん!!

公取委、報告書が守られているか調査

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 ロイター通信が報じたところによると、公正取引委員会は、以前発表した報告書「携帯電話市場における競争政策上の課題について」のフォローアップを開始。報告書発表時から現在まで、競争環境が変化したか、新たな競争政策上の課題が出ていないかを調査するとのこと。

 電波行政は総務省の管轄であり、携帯業界の監督も長らく総務省が行ってきました。しかし様々な歪みや寡占市場による弊害については皆さんもよくご存知のとおりです。

 そこで公正取引委員会が市場是正に介入し、2016年5月に「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」を改定。さらに2016年8月には「携帯電話市場における競争政策上の課題について」という報告書を発表。携帯大手各社(MNO)のいかなる行為が独占禁止法に抵触し得るか、具体的に列挙されています。

 報告書の内容をおさらいしておきましょう。

報告書「携帯電話市場における競争政策上の課題について」の内容要約

 報告書の内容は以下の通りです。これらの内容が守られているのか、無視されているのかの実態の調査を公正取引委員会が開始というわけです。

通信契約における課題

 通信契約と端末販売の一体を問題視。通信契約を原資として端末代が無償に近いような販売手法が採用されており、ユーザーに複雑なプランを強い、さらにSIMフリースマートフォンやMVNOが不利であることを指摘。シェア9割を占めるMNOが横並びで行っているこうした販売手法が、MVNOの新規参入や事業活動を困難にした場合、独占禁止法が禁止するの私的独占等に該当するおそれがあるとしました。

 SIMロックはMNO間やMNO/MVNO間の競争を阻害しており、SIMロックが競争事業者とユーザーとの契約の締結を妨害する場合には独占禁止法が禁止する私的独占・取引妨害に該当するおそれがあるとしました。

 このほか、いわゆる「2年縛り」などの解除料金について、ユーザーが中途解約することが困難な程度に契約解除料を高額に設定した場合、独占禁止法が禁止する私的独占・取引妨害等にあたるおそれがあるとのこと。

HLR/HSSへのアクセス

 携帯電話番号やユーザーの契約状況等の顧客情報を管理するためにMNOが保有・管理する「HLR(Home Location Register)/HSS(Home Subscriber Server)」をMVNOに開放することが競争政策上望ましく、また開放の条件となる技術水準などの制限が、実際の必要性を超えてMVNOの新規サービスの導入を阻害する場合、独占禁止法の禁止する取引拒絶等にあたる可能性があるとしました。

端末市場の課題

 契約の多数を占める割賦契約(分割払い)において、定価がMNOによって決定されています。端末の販売価格を販売代理店が決定できないとなれば、独占禁止法が禁止している再販売価格の拘束・拘束条件付取引に該当するおそれがあるとしました。

 MNOが下取りを行った端末の国内再流通をメーカーが禁止させるなど,中古端末の流通を制限する行為は、拘束条件付取引・取引妨害等に。さらにMNOや端末メーカーが自ら下取りした端末を第三者に販売する時、第三者に国内市場での販売を制限する行為も拘束条件付取引等に該当するおそれがあると指摘しました。携帯大手各社は、割引条件として端末の下取りを強化。旧端末を回収した上で海外に転売することで利益を上げ、中古端末の流通を阻害しているわけですが、公取委はここにも鋭く指摘を入れていたことになります。

プリインストールアプリ

 OSの基本機能として様々なアプリケーションが初期からインストールされています。

 しかしOS提供事業者やアプリケーション提供事業者が、端末メーカーやMNOに対し、競合するアプリケーションの開発を禁止したり、他社のアプリケーションのプリインストールを禁止すること、自社アプリケーションをデフォルトとさせるなどの行為を行い、新規参入や技術革新を阻害する場合には、独占禁止法上の禁止する私的独占・抱き合わせ販売・排他条件付取引・拘束条件付取引・取引妨害にあたる可能性があるとしました。これはGoogleやAppleにも釘を刺す形ですね。

総務省の検討会の進展に好影響

 総務省の開催する「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」への事実上の援護射撃となります。フォローアップと調査が好影響となり、携帯市場の是正が進むことを期待したいところです。