KDDIとNetflixが業務提携を発表。Netflixプランを発表しました。提供開始は今夏。
20GB/月のデータプランに、「Netflixベーシックプラン(650円)」「ビデオパス(562円)」「+5GBのデータ容量」を加えても、その差額は1000円で済むという内容です。
Netflixは様々なISPと世界中で提携しています。アメリカでは、モバイルネットワークにてカウントフリー(データ容量消費なし)でNetflixを視聴できるサービスを携帯事業者T-Mobileが展開していました。
質疑応答において、なぜ5GBプラスにしたのか、特定サービスの通信料を無料とするカウントフリーは検討しなかったのか?との質問に対し、高橋誠社長は以下の通り回答しました。
「カウントフリーってあれですよね、通信料金をかからないようにするってやつですよね。0円にする、ゼロレーティングと呼ばれるやつですね。これはあの、どうもやっぱり、通信会社、MNOは、これをやることができないようでですね。色々とゼロレーティングについては、今、通信会社としてはあまりやるべきではないということを、ガイドラインと言うかな、おっしゃられるので、ここは我々は今、差し控えています。ゼロレーティング以外の組み方ということで、今回、5GBを20GBに足すという、バンドリングプランということで今回まずご提案するということになろうかと思います。そういう風な時代になりましたら、そういうことも考えていけたら良いんじゃないかと思います」
ネットワークはトラフィックを平等に扱うのが基本です。これをより進めた考え方としてネットワーク中立性があります。さらに日本においては、カウントフリーは通信の秘密の侵害となるため、明確な個別同意が求められるなど、慎重に扱われています。カウントフリーを導入済みのMVNOであるLINEモバイルも、日本におけるネット中立性の議論の進展によってはサービスを見直すとも明言してのスタートでした。
通信の秘密やネット中立性を尊重した上で、全く抵触しないよう導入されたのが今回のKDDIのNetflixプランというわけですね。
憲法違反や電気通信事業法違反の疑いで議論になっているNTTのブロッキングに際し、NTT docomoの吉澤和弘社長は、dアニメなど自社の動画サービスの存在を、ブロッキング理由として挙げていましたが、このような発言は通信の秘密やネット中立性を安々と踏み躙るものであり、ISPの社長の発言としては信じ難く、高橋誠社長とは対照的です。
ネット中立性についての近年の動きは、名大の林秀弥教授の総務省寄稿論文が参考になります。