スマホもPCもダメ……レノボ、「時代遅れ」に?!

世界シェアトップだったLenovo

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 日本国内PCブランドを次々と買収、日本国内ではPC市場40%以上と圧倒的なシェアを誇るレノボ(聯想)。「中国を代表するブランド」というイメージがありますが、中国国内では「時代遅れ」との声も続々と上がっています。

 レノボはかつて12四半期連続で世界パソコン市場シェア占有率トップを守り、「パソコンの王者」として君臨しました。しかし、2018年Q1まで5四半期連続で米国HP(ヒューレット・パッカード)にトップの座を明け渡し続け、この度Q2に世界首位を奪回したものの、富士通パソコン部門買収によるシェア増額に過ぎず、苦境は相変わらずのようです。

 スマートフォン事業も振るわず、かつて米国の名門IBM、モトローラ―を買収し、「中国民族企業の誇り」と称賛されたレノボに、何が起きているのでしょうか。

寡占化が進むPC市場、追い上げる他メーカー

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 まず、パソコン市場全体の状況について、中国金羊網が伝えるところによると、Gartnerの2018年Q2のデータによれば、パソコン世界市場の上位5大メーカーは、レノボ、HP、Dell、Apple、Acerとなりました。上位5メーカーはいずれもPC出荷量を増加させた一方で、その他のメーカーは前年同期比で12.9%減少したとのことです。需要が「頭打ち」して久しいPC市場の中で、さらなる寡占化が進んでいることがわかります。

 その中で、レノボの出荷量増加幅が最大となり、2018年Q2の市場シェアは21.9%、これはレノボにとって2015年Q1以来最大の数字となり、多くの部分は富士通との間に成立した合資会社によるものといいます。

 第2位のHPは依然としてレノボと勢力を拮抗させており占有率は21.9%、Q1の世界1位から順位を一つ落としました。第3位のDellは占有率16.8%とのことで、上位2大メーカーと比べれば少し差がついていますね。

 しかし、Gartnerの分析によると、HPは一貫して上昇の趨勢にあり、レノボは最近富士通を買収し一時的に下降を停め、Dellは最も高速度で成長しており、上位2メーカーに迫りつつあるそうです。

 レノボは一時的に富士通買収によってHPを追い抜き返したものの、基本的には下落傾向、後ろはDellの猛追撃。いまやレノボ唯一の武器になっている「買収」ですが、これについては中国国内からも、厳しい見方が出ています。

買収によるシェア増加はLenovoの得意技だったが……

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 中国新京報によると、レノボは既に2年間HPとの間に「価格戦」をしておらず、製品ラインナップを見ると、レノボとHPは2,000元(1元=約17円)から3万元まであらゆる価格帯をカバーしており、各市場でのアピールが、両メーカー勝敗のカギになる、市場拡大で、レノボが最もよく使う手段は買収だと言います。

 2004年、営業額が僅か30億ドルのレノボは12.5億ドルで営業額130億ドルのIBM PC部門を買収、ここからグローバル市場に打って出ることに。この「小が大を呑む」合併は、全世界のMBA(経営修士課程)で典型例として仰がれることとなり、この後もレノボは日本のNEC PC、ブラジルDigibrasを買収したと振り返ります。国産信仰の強い日本市場では、「海外メーカーが嫌だからNEC」という、よくわからない購買性向が発生したりもしましたね。昨年11月、富士通PC事業も合資会社の設立と言う形で買収しました。

 しかし、レノボの業務整合は順調ではないと新京報は指摘します。以前ThinkPadを買収した際には文化衝突にさらされ、高級管理職の離職等の問題が発生、さらにその後5年間巨大な財務圧力を負うことになり、2009年には1億ドル規模の減損が発生したといいます。同時に、レノボは買収によって部分部分の業務を補ってはきたが、それぞれのブランドはいまだに独立して運営されているそうです。

 あるレノボPC部門の職員が新京報の記者に明かしたところによれば、「多元的な製品ラインナップの並行は、本当の意味での打通ではない。小米などの新たな参入者との競争に対応すべく、レノボは現有の製品ラインナップの設計から、新シリーズを想像したが、これは会社全体の運営方針を変えたわけではない」、といいます。

 実際、買収によって短時間に「弾薬」を補充するのは、PC産業では比較的困難だといいます。2001年にHPは250億ドルで競争相手のコンパックを買収したものの、HPは想像していた市場シェアを獲得するに至らず、その後の2年間、HPはコンパックのもとのシェアを守るのに精いっぱいだったそうです。

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経営モデルが時代遅れに

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 グローバル市場での苦戦、買収を繰り返すもののブランドがそれぞれ独立し、整合のとれない現状。このレノボの体質について、「交易主体の経営モデルが時代遅れ」と指摘する論評記事が、網易に掲載されていました。

 華為、小米、騰訊、阿里巴巴、百度などなど、「技術主体」の企業が急速に成長し、次々とレノボを追い抜いていったと指摘。しかも、科学技術面でレノボはこれら企業から引き離される一方で、時代の発展についていけなくなったレノボに、感嘆を禁じ得ないといいます。

 中国製造業が「量から質」、ブランド力向上へと向かっている中、これまでひたすらに規模を追求し続け、買収を続ける一方でブランドの統合に手をつけてこなかったレノボ。NEC、富士通、東芝の「PC御三家」すべてを中国・台湾系企業に買収され、「日本のパソコンメーカー全面崩壊」を思わされましたが、その実買収する側も中国内外から「苦肉の策」と見られているのはなんとも皮肉ですね。