「中華スマホ」といえば「山寨」と呼ばれるパチモノの世界、という時代も今は昔、中国スマホ市場は華為、小米、OVなどの大ブランドが成長し、街角でパチモノを見かけることはほとんどありません。
では、中国でパチモノスマホは作られていないのか……といえば、まったくそんなことはなく、「ここにパクられなければフラッグシップ機とは呼べない」というパクリメーカーが存在し、主に中東・アフリカで展開しているとの記事が、鳳凰科技に掲載されていました。2013年創業、深圳華強北の「Elephone大象」というメーカーだそうです。
パクリ元のモデルが何なのか、想像しながら見るのも楽しそうなラインナップですね。Apple、Samsung、小米、vivo、oppo……市場に出回っている主流メーカーで、毒牙に掛かっていないところはない、といいます。
中国国外市場を主要ターゲットにしており、アフリカ、中東、さらには欧州地区で、人気なのだとか。昨年の販売台数は1,000万台を突破したといいます。Xperiaと同じぐらい売れていますね。
Elephone S7はAndroidHeadlinesに、2016年12月最高の中国アンドロイドスマホのひとつとしてノミネートされ、TOP10入りしたそうです。
「Elephone大象」は頭の先からつま先まで、魅力的なパクリ感を漂わせている、小米のロゴまで放さない、M字をひっくり返すと、ゾウさんの耳になる、と言います。確かに、この脱力感は素晴らしいですね。
「Elephone大象」が「山寨之王」、すなわちパクリ王になったのは、二つの戦略、「低価格」と「デザイン性」によるといいます。
例えばこのElephone A4、「史上最安値のiPhone X」とうたわれているとか。カラーは、華為P20 Proへ敬意を払うことを忘れていないとのこと。
重要なのは、999ドルではなく100ドルで売っていることだといいます。こんなにも安価にベゼルレスディスプレイが体験できることから、海外では「買えないと損」といわれているとか、なんとか。
このデザイン性、ほかの無能パクリ製品とは一線を画しているといいます。Elephone S7は、カメラ部分以外、Samsung S7 Edgeへの尊敬がうかがえます。5.5インチ曲面ディスプレイ、ガラスボディ、メタルフレーム、側面ボタン、全て再現しているのだとか。ボディのカラーは、栄耀8から引っ張ってきているようです。これで900-1200元(1元約16円)といいます。
Samsungをパクれば、次はOPPO。Elephone R9はOPPO R9の双子の兄弟のような出来栄えで、名前までしっかり同じだといいます。
また、小米MIXが発売された時、時代の先端を走るElephoneが見逃すはずもなく、一目で見分けのつかないモデル、Elephone S8を投入したそうです。
Elephoneのイノベーションは、こんなものではないようです。7月末、Elephoneは無ノッチのベゼルレスディスプレイモデルを発表、画面占有率は驚異の95%、さらに可動式のカメラを搭載しており、全体的に言って、Elephoneシリーズの一貫した設計思想である、パクリであると指摘します。
元記事筆者は、Vivo NEXはElephoneにちゃんと広告費を支払うべきだ、最低でもvivoは偉いさんを派遣して発表会の指導をすべきであり、「Elephone NEX」と命名してやらなければならない……と皮肉っています。
さて、Elephone のパクリっぷりはボロクソに叩かれてしかるべきですが、中国国内ではほとんど知られていないそうです。というのも、中国国内では販売していないのだとか。
中国国内市場、メーカー、媒体の討伐を免れ、高デザイン低価格を武器に海外で大儲けするElephoneですが、「歴史の教訓」によれば、「地球上に高デザイン、高性能、低価格のパチモノスマホは存在しない」といいます。
Elephoneのスマホはほぼすべてのラインナップで聯発科の超ローエンドチップを使用しており、ディスプレイの質もゴミ、システムのサクサク感も論外であり、もしElephoneが中国国内市場に進出する日が来れば、吐かれた唾でおぼれ死ぬだろうといいます。
どうやら使用する価値はなさそうですが、話のネタにElephone、一台欲しいなとか思いました。
中国人視点でもパクリメーカーに対してはこういう厳しい見方もあるようだ。なお最上位モデルはまあそれなりにはよく出来ていた。