米国を追い抜き、世界第2のスマホ市場となったインドでは、韓国Samsungと、中国のスマホ大手各社が激しい競争を繰り広げています。「あれ?iPhoneは?」と疑問に思うところですが、米国やインドの媒体では、「Appleはインド市場を放棄するつもりでは?」と取りざたされていると、騰迅科技が伝えました。
市場研究会社の四半期報告によれば、Appleのインド市場でのシェア低下には歯止めがかからず、既に2%から1%にまで低下、「弱小メーカー」に転落しており、販売台数は小米などの「桁下」に過ぎないそうです。
インド国内メディアの過去の指摘によれば、Appleのブランド力を武器にして高価格スマホを販売した中国市場での戦略は、インドでは通用せず、Appeはインド消費者の実際の状況に鑑み、低価格でコストパフォーマンスに優れた機種をリリースするべきとしていたそうです。
また、米国「The Motley Fool」は、iPhoneの価格がどんどん上がっていることについて、主要な原因は販売台数の停滞にあり、Appleはスマホの単価を高めることで、営業収入と利益を向上させようとしていると、指摘したらしいです。
本決算年度の3四半期(9カ月)で、iPhone販売台数は横ばいながら、価格の上昇によって、Appleの総収入は15%増加したといいます。
インドという巨大なスマホ市場で、Appleはいまだにポジションを築けておらず、価格を上昇させ続けることは得策ではない、と指摘されているとのことです。
昨年のiPhone Xですら、インドでは既に極めて高価格な電子製品となっており、インドでの販売価格は1,400ドルと、iPhone Xの販売価格としても世界で二番目に高い額になっていたそうです。
予想にたがわず、Appleのインドスマホ市場でのシェアは縮小をはじめ、ハイエンドスマホでのシェアに限っても、29.6%から13.6%に暴落。ハイエンド市場はSamsungと中国一加(OnePlus)にかっさらわれたと言います。
機種を例にとって見ても、ライバル・Samsungがインドで販売しているGalaxy Note 9(128GB)は販売価格940ドルと、米国での販売価格999ドルよりも低い価格で提供しているとか。Samsungはインド市場の開拓に力を入れており、巨大な電子製品製造基地を確保、インド国内での生産によって、Samsungはフラッグシップモデルのインドでの販売価格を、その他の国と一致させることに成功しているそうです。
また、中国メーカーによる猛攻に対し、Samsungはコスパに優れた中・低価格帯のスマホをリリースしており、ここからも、AppleのSamsungに対する競争力は、どんどん低下しているといいます。
実は、Appleは緯創グループ(台湾)に委託してインドでスマホの生産をしているものの、主に「骨董」モデルだそうです。例えば3カ月前にiPhone 6Sの生産を開始、現地での販売価格は32GB版で414ドルだとか。
秋の発表会にあたり、AppleはiPhone SEの生産を停止しましたが、これも間違った判断だと海外メディアは指摘します。インドでのiPhone SEの販売価格275ドルはiPhoneの最安値であり、インドの消費者が最も安価にiOSを体験する、重要な接点だったと言います。
iPhone 6Sについては、同じ価格帯の一加に性能と保存容量で敵わず、iPhone 6SはAppleがインド市場に浸透する助けにならないと指摘しています。
また、海外媒体では、インドなどの発展中の国家でスマートフォン市場が急速に発展しているのにもかかわらず、Appleの新戦略は販売台数とシェアではなく、価格に照準を合わせており、iOSエコシステムを発展させる機会を逃している、と指摘されているそうです。
先進国・発展途上国ともにシェアを低下させている中、ハイエンド絞り込みによる単価アップ作戦、Sonyも昔、似たようなことをしていた気がします。