新型コロナウイルス流行の影響で、「在宅勤務」が広がっている中国ですが、小中学校も「オンライン授業」の形で授業が再開される流れとなり、アリババの提供している在宅勤務アプリ「釘釘」がWeChatを抜いてダウンロード数第1位になる快挙を達成。喜んだのもつかの間、小中学生からの「評価1」が殺到する事態になっています。深藍財経が伝えました。
同報道によれば、新型コロナウイルスの影響で休校措置がとられている中、アリババの業務補助アプリ「釘釘」オンライン授業「在線課堂」機能を無料で開放。
正月明けの日、アリババ釘釘は「今日、全国300都市60万人の教師が学生(中国では「児童」も「生徒」も「学生」)に教えている」と紹介。2月10日現在、5,000万人の学生をカバーしていると発表しました。
全国数千万人の学生が「自発的に」釘釘アプリをインストールすることになり、釘釘のアプリストアでのランキングは堂々の首位に。アリババクラウドを通じて、サーバーを2万台増設したそうです。
インターネット上では、「アリババはいくらカネを使ってもできないことを達成した」と話題に。まさにこの世の春と言っていいでしょう。
2月12日にもアリババの「釘釘」はアプリストアランキング首位の座を守り、ちなみに第2位は「騰訊(テンセント)会議」、5位「企業微信(テンセント)」、9位「騰訊課程」となっています。いずれも騰訊系の遠隔勤務関連アプリが分散してランクイン。
ところが数日後、釘釘が顔面蒼白になる事態が発生。App Storeでの評価が2.6、Androidのアプリストアでは1.3まで暴落。
低評価には、小学生らによる「素晴らしいアプリ、本来は寝たりゲームする時間で授業を受けることができた!(評価1をつけたのは手が滑った)」といったコメントが並んでいると言います。私が小学生でも☆1つを贈りますね。
釘釘アプリの羽根マークのロゴを、コロナウイルスの感染源とも言われているコウモリになぞらえた「陰謀論」も登場。
これには釘釘も泣き笑い。Weiboで釘釘公式アカウントは「出逢いは一つの縁、愛さなくてもいいから傷つけないで」「わかる、君たちは授業が嫌なんだろう。でも私を傷つけないで、お願い」「生活のためなんだ、ご容赦を」と反応しました。
なお、深藍財経によると低評価の洗礼を受けたのは釘釘だけでなく、騰訊会議と騰訊課堂も同じ運命をたどったとのことで「おおよそオンライン授業の類は、学生たちが一視同仁に低評価をつける」そうです。
一方、教員の側にも少なからず負担があるようです。「うちの先生は、『君たちはまず教科書を読んでなさい、私はアナウンサーのやり方を調べてる』と言ってた」「言葉遣いや喋り方がアナウンサーになってきた」といった声も。私もバイトで講師をやったことがありますが、確かに教室で授業するのとはやり方変わってきますよね。
2月11日、文科省に相当する中国教育部は、すべての教師に中継形式での講義を強要することや、学生に毎日オンラインタイムカードでの出席登録を強要してはならない、との意見を表明したとのこと。
私もプライベートな時間に仕事の連絡があると、「携帯電話を発明したのはどこのバカだ」と頭に来たりもしますが、技術がこれまでの不可能を可能にするのと同時に、「ツールが便利になると負担も増える」、「子供は正直である」ということが可視化された、興味深いニュースでした。