CES2021:インテル/AMD/NVIDIA発表まとめ すまほん!!

 ラスベガスで行われた業界向けの見本市、CESが2021年の1月11日から14日まで行われていました。ガジェット関連ではLGがロールスマホをチラ見せしたり、Panasonicが眼鏡型のVRグラスを発表したりと今年も多くの発表がありました。今回はPCに関連するIntel・AMD・Nvidiaのコンシューマー向けの新製品をかんたんに振り返ります。

Intel

4コアだがモバイルゲーミング向けの「Tiger Lake H35」

 「Tiger Lake H35」は、ざっくり言えばちょうど1年前のCES 2020で発表された低消費電力版の第11世代Coreシリーズ、Tiger Lake(開発コード名)の高性能版といったところです。

 今までのゲーミング向けモバイルCPUよりも消費電力を抑えながら、ブースト時最大5GHzで動作可能といった特徴を持っており、薄型ゲーミングノートPC用途を想定しています。

 Tiger Lake H35は「Core i7-11375H Special Edition」「Core i7-11370H」「Core i5-11300H」の3種類をラインナップし、すべて4コア8スレッドで、最大35Wで動作します。なお、既存のTiger Lakeシリーズは最大28Wで動作します。

 Tiger Lake H35搭載ノートパソコンはASUSやVAIO等のベンダーから2021年前半に発売される見通しです。

 また、Intelは今四半期後半からこれらのCPUの8コア版をリリースすることも発表しました。スペックの詳細は明らかになっていないものの、最大5GHzで動作し、20レーンのPCI Express 4.0に対応しているとのことです。

Tiger Lake H(8コア)

最大8コアの11世代デスクトップCPU「Rocket Lake-S」

 個人的には「ようやく発表か……」と感じていたのですが、デスクトップ向け10世代Coreシリーズは去年の4月末発表で、Tiger Lakeは昨年9月の発表だったのですね。

 「Rocket Lake-S」は、ラインナップや第10世代と互換性を維持しながらも、PCI Express 4.0に対応し、IPC(クロックあたりの処理命令数)が最大19%向上しています。

 ただしこれ以上に特筆すべき事項はなく、14nmプロセスで製造され、最大8コア16スレッド(Core i9 11900K)まで用意されるようです。現行の最上位機種、Core i9-10900Kは10コア20スレッドですが、IPCの向上とコア数の減少が性能にどう影響するか楽しみです。

 Rocket Lake-Sは2021年第一四半期に発売予定です。

チラ見せされた、Lakefieldの血を引く?第12世代CPU「Alder Lake」

 動画や記事内ではほとんど触れられてはいませんが、Intelは次の次の世代、第12世代のデスクトップ・モバイル向けCPUの「Alder Lake」についても紹介しています。

 このCPUシリーズは、10nm SuperFinの改良版を搭載し、Armのbig.LITTLEのような高性能コアと高効率コアを組み合わせた形になるようです。

 さらに動画内ではAlder Lake CPUを搭載しているとされるPCでWindowsが動作している様子が確認できます。

 CPUを組み合わせる試みは、x64アーキテクチャとしてはIntelのモバイル向けCPU「Lakefield」があり、世界初の折り畳みPCに搭載されましたが、決して性能は高いものとは言えません。また、デスクトップPCはノートPCに比べそこまで省エネ性能や発熱を気にする必要がないために、どのような形になるか非常に気になります。

 当然のことながらほとんどスペックは開示されていない状態ですが、この意欲的な試み、ぜひ成功してほしいところです。

AMD

ついに全ラインナップSMT対応!「Ryzen 5000 Mobile」

 毎年着実に進歩を遂げているAMD Ryzenシリーズ。Intelはここ最近、モバイル向けを発表後にデスクトップ向けを発表していますが、AMDは逆にデスク向けを発表してからモバイル向けを発表する流れになっています。

 今回発表されたのはほとんどがZen 3世代のモバイル向けです。

 参考までにかんたんにZen 3とZen 2の違いを解説すると、8コアCPUの場合、以前のZen 2は本体の中に、4コアのCPUとキャッシュの塊(CCX)が2基搭載されています。それがZen 3ではCCX一基に8コア分CPUを搭載したため、8コア以下のラインナップではCCXをまたぐ際の遅延が発生しないので性能が向上するということです。

画像は昨年10月のZen 3 の発表時。

 ラインナップは「低消費電力版のUモデル」「ミドル~ハイクラスゲーミングを担当するHモデル」「多コアながら消費電力を多少抑えたHSモデル」「多コア・高クロック、フラッグシップのHXモデル」の四種類に区別されています。HXは今世代から追加されていますが、Zen 2世代のラインナップではHがハイエンド帯も担っていました。

 また、モバイル向け第3世代Ryzen(Zen 2)では一部モデルがマルチスレッディングに対応していませんでしたが、今世代では全てのモデルで対応しています。

 ただ、今回発表されたモバイル向けRyzen 5000シリーズの低消費電力版の一部CPUは旧世代のZen 2ベースで作られています。具体的には「Ryzen 7 5700U」「Ryzen 5 5500U」「Ryzen 3 5300U」の三種類です。世代に伴う違いは先述した点とそれに関係してかのクロックの違い程度です。

 ちなみに第3世代以前のモバイル向けRyzenは、バッテリー駆動時に性能の本領発揮できるのに時間がかかるため大幅に性能が低下する、といったことをIntelが指摘しています。改善されていることを期待します。

RyzenはAC駆動時に性能が低下する、とIntelが11月20日の「Real World Performance Workshop」にて主張した際の図。

 個人的にRyzenはコスパが非常に高いため好きですが、同じ番台でも世代が異なる点が気に食わないです。ただIntelはIntelで「同世代のCore i7よりCore i5のほうが性能がいい」といった事態がよくあります。いずれも初心者が困惑する要素になりかねませんから、両社はこういった点を改善してほしいですね。

Ryzen
世代 モバイル向け デスクトップ向け
(APU/CPU)
Zen 2000番台 2000番台 1000番台
Zen+ 3000番台 3000番台 2000番台,1600AF
Zen2 4000番台,5000番台 4000番台 3000番台
Zen3 5000番台   5000番台

既存CPUの低消費電力版「Ryzen 9 5900」「Ryzen 7 5800」

 デスクトップ向けに「Ryzen 9 5900」と「Ryzen 7 5800」が発表されました。去年発売された、Zen 3アーキテクチャの12コアCPU「Ryzen 9 5900X」、同じく8コアの「Ryzen 7 5800X」の低電力版です。

画像は昨年9月、Zen 3発表時。

 5900X・5800XのTDP(熱設計電力)は105Wですが、今回発表されたモデルは65Wに抑えられ、クロックも低下しています。高クロックを必要としないクリエイター向けの製品だと想像できますが、残念ながら一般向けへの販売は行われないようですが、Ryzen 9 5900の先代に当たるRyzen 9 3900は結果的に外装や付属品が一切つかないバルクでの販売が行われています。そのうちの発表を期待します。

世代名 型番 コア/スレッド ベースクロック 単コア最大ブーストクロック(GHz) TDP
Ryzen 9 5900 12 24 3 4.7 65W
5900X 12 24 3.7 4.8 105W
7 5800 8 16 3.4 4.6 65W
5800X 8 16 3.8 4.7 105W

Nvidia

RTX 30シリーズ最廉価! RTX 3060

 昨年9月から上位グレードから順次発表されていたGeforce RTX 30シリーズ。先代のRTX 20シリーズに比べて異常なコスパを達成しつつ、描画にかかわるCUDAコアなどを超大幅に増量しています。

 たとえば昨年に発表されたRTX 3080は同価格帯に位置していたRTX 2080 Superに対し3倍弱のコアを搭載しています。もちろんCUDAコア数のみが性能に直結するわけではないですが、ここでは割愛させていただきます。

 今回発表された「Geforce RTX 3060」は先代通りであればRTX 30シリーズ最廉価グレードになります。CUDAコア数は、なんと3584コア。ちなみにRTX 20シリーズでの同価格帯に位置する「Geforce RTX 2060」は1920コアでした。えげつないほどの数の暴力ですね……。

 メモリ量はRTX 30シリーズでは最上位に次ぐ2番目に多い12GBですが、メモリバス幅が他グレードよりせまく、192bitとなっています。大雑把に言えばメモリバス幅とは同時に一度で伝送できるデータ量のことです。

 ソフト面では、RTX 30シリーズ発表時に同時発表された、NVIDIA Reflex(ゲームにおけるディスプレイまでに表示される遅延などを最小限に抑える)、RTX IO(ストレージからCPUを経由せずにゲームデータをGPUに読み込ませる)やNVIDIA Broadcast(ゲームを配信する際にバーチャル背景やノイズ抑制をGPUを利用し行なえる)などが利用可能ですが、これらの一部機能はRTX 20シリーズなどの旧世代GPUでも利用可能です。

 価格は4万9980円からで、二月下旬ごろに発売予定です。ライトゲーマー向けとプロゲーマー向けの中間の需要を担うであろうこのGPU、正直めちゃくちゃ売れそうな予感しかないですね。

 ただ、これはAMDのCPUなどにも当てはまることなのですが、世界的な半導体需要の急増の影響で、先に発売された上位モデルはほとんど品切れにあえいでいます。早く改善してくれることを祈るのみです。

ノート向けRTX 3000シリーズ

 ほぼ2年ぶりにRTXのモバイル向けGPUが発表されました。RTX 3080をはじめとする3モデルが用意されます。性能は当たり前ながらおおよそな性能はほとんどがデスク向けより劣っています。ただ、最上位のRTX 3080は16・8GBのメモリを搭載していますが、デスクトップ向けには10GBのみしか提供されないので、一概に完全下位互換ともいえなさそうです。なお、RTX IOなどの機能はこちらでも利用が可能です。

 RTX 3080および3070を搭載した製品は1月下旬に登場し、RTX 3060は2月の頭に登場するようです。

今回発表されたモバイル向けCPUのスペック一覧

世代名 型番 コア/スレッド ベースクロック(GHz) 単コア最大ブーストクロック(GHz) TDP
Tiger Lake H35 i7-11375H 4 8 3.0 5.0 35W
i7-11370H 4 8 3.0 4.8
i5-11300H 4 8 2.6 4.4
Ryzen 5000  U (Zen 2) 3 5300U 4 8 2.6 3.8 15W
5 5500U 6 12 2.1 4.0
7 5700U 8 16 1.8 4.3
U (Zen 3) 3 5400U 4 8 2.6 4.0
5 5600U 6 12 2.3 4.2
7 5800U 8 16 1.9 4.4
H 5 5600H 6 12 3.2 4.2 45W
5 5700H 8 16 3.2 4.4
7 5800H 8 16 3.2 4.4
HS 5 5600HS 6 12 3.0 4.2 35W
7 5800HS 8 16 2.8 4.4
9 5900HS 8 16 3.0 4.6
9 5980HS 8 16 3.0 4.8
HX 9 5900HX 8 16 3.3 4.6 45W+
9 5980HX 8 16 3.3 4.8