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完全仮想化携帯通信網「海外輸出」進める楽天。「国内エリア」整備の進捗は?

 楽天グループ株式会社は8月11日、2021年度第2四半期決算説明会を開催しました。

 楽天モバイルはMWCにおいて、GSMA Global Mobile Awards 2021「Best Mobile Technology Breakthrough」と「CTO Choice: Outstading Mobile Technology Award」の二件を受賞。また国内ネットワーク品質は、第三者機関umlaut SEの調査で各国ネットワークと比べて遜色ないと評価。通信技術と品質を世界基準で評価されたといいます。

 累計契約申し込みは442万を突破。1年間無料キャンペーン終了による反動はあったものの、想定どおり順調に推移しているとのこと。

あくまで累計申込者数。実際に契約締結している数とは約60万ほど乖離があったが、以前のようにRakuten Mini在庫不足といった特殊要因は解消しており、主な要因は「タイミングのズレ」であり、楽天モバイルは正常値との認識

 総務省調査を元に楽天モバイルが算出したところによれば、新料金プランの中では「同一グループ会社間を料金プラン移行を除けば」顧客獲得数は最大。

 新規顧客のうち、当初は二台目需要の新規契約が圧倒的に多かったものの、減少。ARPUが高く解約しにくいメイン利用のMNP割合が大幅に増加しているといいます。

 半導体供給不足の影響を受けるエリア整備ですが、2021年内に4G人口カバー率96%を達成予定。総務省認定の開設計画には遅れはないとしています。

 なお質疑応答によれば、契約者数推移は予定通りとしつつ、現在はローミング費用の負担が大きいとし、今後基地局を建てて96%、97%へと自社網カバーエリアを拡大することで2022年3月を目処にau網ローミングを終了、大きく有利になるとの見方を示しました。基地局建設自体は半導体供給不足の影響を受け、三木谷社長自身も直談判で交渉してはいるものの、3ヶ月ほど遅延が発生していると認めました。

 1年無料キャンペーン終了で課金が始まったことで通信売り上げが増えている一方、MVNOからの乗り換えが増加、3ヶ月無料対象増加がブレーキ。今後はRCPからの収益も期待とのこと。

 楽天カードと比べて4倍速で会員を獲得。楽天モバイルユーザーはよく楽天サービスを使う傾向があり、モバイル契約後複数サービス利用が増加するといったデータも出ているなど、様々なデータから楽天モバイルはグループ成長のドライバーであるとし、強力なシナジー効果があると重ねて強調しました。

 楽天はRCP(携帯インフラの仮想化ネットワーク基盤)を推進。RCPやOpen RANソフトウェアの楽天各社/事業を統合した新会社「Rakuten Symphony」を先日設立。世界で事業を展開します。楽天はRCP輸出としてドイツの通信事業者1&1社のモバイルネットワークを構築、10年契約を受注しています。

 RCPについて楽天グループ株式会社代表取締役会長兼社長三木谷浩史氏が語りました。同氏は楽天モバイル株式会社の代表取締役会長兼CEOも務めます。

 これまでハードウェアで進めるのが常識だった携帯通信網を完全仮想化で進めてきた楽天。RCPのソフトウェアを担当してきた米Altiostar Networksを先日、買収して完全子会社化したのは大きな意味があるとしました。

 RCPのビジネスモデルはE2Eソリューションから一部ソフトウェアのみの販売も可能。RCPは基地局の自動化やコストダウンを実現するだけではなく、サービスの拡張性もあり、この点を期待してRCPを購入しようとする商談相手の存在も居ると示唆。5年後、10年後にはRCP売り上げが他事業よりも大きくなる可能性もあると展望を語りました。

 また、他国で新規にMNO参入する事業者や5G化する既存MNO事業者に需要があるとの認識を披露。さらに工場内の機械の自動化や物流機器を同期して動かす場合にもプライベート5Gが必要とされるが、その時にソフトウェアによる柔軟性の高さによってRCPなら需要に応えられる、圧倒的な低コストが強みになると自信を見せました。

 質疑応答では、報道関係者からも投資家からもグループ全体の足を引っ張っているようにも見えるモバイルへの質問が集中。基地局建設などモバイルへの攻めの投資費用がかさんでいることについては、今年が底だろうとし、「2023年黒字化」目標は変わらず。RCPについてかなり多くの携帯事業者から問い合わせがあり、商談開始もあるとし、RCP販売次第では黒字化を少し前倒しがあり得るとも述べ、幅広いRCP世界展開に含みを持たせました。

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