Steamを運営するValveは、2021年7月16日(金)にSteam上のゲームをプレイ可能な携帯ゲーム機「Steam Deck」を発表しました。
このSteam Deckに用いられている独自の基本ソフトSteam OSのベースが、DebianからArch Linuxに変更された理由について、Aars Technicaが解説しています。
今回発売されるSteam DeckのOSには、一般的に使用されているWindowsではなくLinux Kernelを中心とした独自のSteam OSが採用されており、そのベースとしてArch Linuxが採用されています。
しかし、このArch Linuxは他のディストリビューションに比べるとインストールや設定が難しい事で知られており、一般的なディストリビューションに存在するGUIベースのインストーラーが存在せず、インストールする場合はCUI環境で必要なソフトウェアをインストールし、自身で設定ファイルを編集して最適化する必要があります。
筆者自身、初めてArch Linuxをインストールした際にはやはり苦戦し、設定ファイルをいじっては原因不明のエラーに悩まされ、満足する環境にたどり着くまでに数日を費やした経験があります。
また、Arch Linuxの特色としてローリングリリースを採用している点が挙げられます。
このローリングリリースは定期的に大きいアップデートを行う一般的なリリースモデルとは異なり頻繁に更新を行うリリースモデルを指す言葉で、現にArch Linuxを使用しているとほぼ毎日何かしらのソフトウェアの更新が降ってきます。
つまりユーザーは常に最新のソフトウェアで構成された環境を維持することができます。
このようなArch Linuxの特色は、Arch Linux以前に採用されていたディストリビューションであるDebianの保守的で最大限の安定性を目指す方向性とは真反対であると、Aars Technicaは解説しています。
そのような中でArch Linuxを採用した理由について、同メディアはSteam Deckで全てのゲームを30fps以上で動かすというValveの目標を達成するには、最新ソフトウェアのカスタマイズや継続的なリリースを行う必要があります。Arch Linuxはそれを実現できるのが強みです、と述べています。
先程述べたように、Arch Linux上で自分の想像する環境を実現するためには、時間と技術が必要となります。そんな中でDebianからArch Linuxを採用したValueは、かなり強気な選択をしたと思いました。Arch Linuxをメインの環境として使用している筆者としては、Valueがどのようなカスタマイズを行うのか非常に楽しみです。