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金額は同じでも、国によって違う。Galaxyのサポート格差

 韓国サムスンが展開する、スマートフォンブランド「Galaxy」。世界シェア1位のスマートフォンブランドであり、性能やデザイン性、使いやすいUIや機能から、世界中で高い評価を得ているスマートフォンブランドの一つです。サポート体制も手厚く、一部の端末では、Android搭載端末を販売するメーカーの中で最多のAndroidメジャーアップデートを保証。多くの端末に最低でも2年間のセキュリティアップデートが保証されており、対象端末では、月に1回アップデートが行われています。

 しかし、これは海外版端末に限った話。日本国内では話がまるで違い、これは、Galaxy Aシリーズにとどまらず、フラッグシップモデルにおいても当てはまります。本記事では、Galaxyシリーズの国内・海外のサポート格差について取り上げます。

セキュリティアップデートの格差

 Galaxyは、昔からセキュリティアップデートの長期サポートを売りにしてきました。驚くことに、2018年に発売され、すでに発売から4年が経過するGalaxy S9シリーズですら、「海外では」2022年3月にも最新のセキュリティパッチが配信されています。なお、Galaxy S9シリーズについては、2022年4月に、正式にセキュリティパッチ更新の終了がアナウンスされました。今後国内版Galaxy S9がアップデートを受信する可能性は限りなく低いと見られます。

 Samsung Mobileのセキュリティに関するページには、以下の記述があります。

2019年以降に発売された一部のデバイスは、グローバル発売後最低4年間、セキュリティアップデートがサポートされます。また、一部の最新端末は、最大5年間のセキュリティアップデートを取得します。

 次の表は、2018年から2020年までに国内で発売されたフラッグシップ端末の、2021年におけるグローバル版・docomo版・au版のアップデート回数を示すものです。

 見てわかる通り、フラッグシップモデルでさえ、グローバル版端末と比較して大きな差があることがわかります。特に、先月にかけて最新のAndroid 12アップデートが配信されたGalaxy S10シリーズに関しては、グローバル版で14回ものアップデートが配信されているのに対し、国内版は2、3回程度

2021年におけるアップデート回数の比較(筆者調べ)

 先述の通り、Galaxyの海外モデルは月に1回セキュリティアップデートが配信されています。しかし国内版はというと、決まった期間で配信されているわけではなく、キャリアによって頻度がバラバラ。その上、最新のセキュリティパッチ配信から数ヶ月経過していることも珍しいことではありません。筆者の調査では、発売直後は高い頻度でセキュリティアップデートが配信されているものの、発売から1年程度経過すると、段々海外と差が出てくることがわかっています。

 一方、Galaxy Aシリーズにおいては次のような結果に。低価格帯Aシリーズにおいては、グローバル版に関してもSシリーズほどのサポート体制が敷かれていないことから、アップデート回数に大差はありませんでした。なお、Galaxy A20/A21に関しては、グローバル版とスペックなどが一致していないため、比較においては除外しています。

2021年におけるアップデート回数の比較(筆者調べ)

Androidアップデートのスピード

 国内版Galaxyにおいては、Androidメジャーアップデートの配信においても、海外と比較して格差があります。それは、アップデート配信の速さ。

 日本国内でドコモやauから販売されているGalaxyには、それぞれのキャリアごとのカスタマイズが施されています。そのため、アップデートをさらに国内版端末向けにチューニングして、初めてアップデートの配信が行われます。

 例えば、Galaxy S21シリーズに関しては、海外で最速2021年12月に配信が開始されています。一方の国内版はというと、au版端末は1月25日から、ドコモ版は2月9日からと、1ヶ月以上遅れての配信。

 以前楽天モバイルが販売したGalaxy S10においては、2019年12月の発売から約6ヶ月に渡りアップデートが配信されず。2020年1月にはドコモ版Galaxy S10にAndroid 10が配信されたものの、楽天版は同年6月25日にやっと配信されるなど、アップデートが放棄されていた例もあります。

 ハードウェアに関する調整は仕方ないにしろ、他国と比較したアップデート配信にかかる時間が、キャリアアプリの最適化など余計なものに使われているとすれば、それはキャリアの自己満足でしかないと感じます。

利用できるサービスの格差

 国内版端末では、利用できるアプリやサービスにも制限があります。代表例としては、GalaxyのUIを細かくカスタマイズできる「Good Lock」モジュール。

 「Good Lock」は、導入することによって端末の非常に細かいカスタマイズが行えることから、多くのユーザーに高い評価を得ています。多くの国では、Galaxy Storeを通じて関連アプリが配信されていますが、日本国内ではGalaxy Storeからの導入は不可。

 Good Lockのサポート対象国に日本は含まれていないため、Good Lockを導入したい国内ユーザーは、非公式のAPKファイルダウンロードサイトなどからサイドロードしなければなりません。非公式APK配布サイトには、ウイルスやマルウェアが混入しているリスクがあり、一般のユーザーがこれを導入することは非常に危険です。

 また、独自決済サービス「Samsung Pay」に関しても同様。同サービスは、NFC決済に対応しない磁気ストライプ専用のカードリーダーであっても決済が可能という、画期的な機能を持った決済サービスです。しかし、こちらに関しても国内版端末では利用不可。

未だタッチ決済に対応していない加盟店も多数。磁気ストライプに端末をかざすと決済できるのは驚きだ。

 ユーザーの使える機能を増やすことは、ユーザーにとって大きな利益である他、メーカーにとってもアピールポイントが増えるはずですが、なぜ利用が制限されているのか理解に苦しみます。

まとめ

 Galaxyは、Galaxy Zシリーズの普及、BTSやThom Browneといった世界的アーティスト・ファッションブランドとのコラボによって、日本国内での利用者も増えています。国内で多くの機能を開放しサポートを拡充することは、ユーザーにとってGalaxyを購入する大きなメリットになるほか、Samsung日本法人にとってもデメリットはないはずです。

 近年特にフラッグシップ端末における、購入後のサポートを拡大しているSamsung。しかし、他国のユーザーとほぼ同じどころか若干高い端末代を支払っているにもかかわらず、アップデートの頻度や利用可能なサービスにここまで格差があるのは納得ができません。

 アップデートを配信するキャリアにも、ドコモ絵文字に代表される不要な機能の更新よりも、セキュリティアップデートの頻度を多くし、「平等」なサービスを提供してほしいと感じます。

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