昨年、国内初のGalaxyブランドのハイエンドSIMフリー端末として、Galaxy S10及びGalaxy Note10+がRakuten Mobileから発売されました。
端末の分離販売や、自社回線の周波数帯以外の対応を訴えてきた楽天にとって、SIMロックをかけずSIMフリーで発売するというのは、自社の理想を実現した形でした。
auやdocomo回線のバンドに対応したSIMフリーのハイエンドGalaxyが発売、しかもRakuten Mobileの契約がなくとも楽天市場で端末のみの購入も可能と、ユーザーからは非常に喜ばれていました。
しかし、その発売されたRakuten Mobile版Galaxy S10やGalaxy Note10+に、OSアップデートが一切配信されないという不満が、購入したユーザーから上がっています。
端末更新のない楽天版Galaxy
国内で発売されているGalaxy端末は、各キャリア向けカスタムを施しており、起動時のロゴや、プリインストールのアプリなどが各キャリア向けに調整されています。Rakuten Mobileも例に漏れず、Galaxy端末に自社カスタムを施しています。
そのような理由があり、OSの更新などのアップデートはキャリア経由で行われるのですが、カスタムを施すために、国内モデルは海外モデルから1〜3ヶ月ほど遅れてアップデートが配信されます。ただセキュリティアップデートは別枠で、最新のものが配信されるようになっています。
例えばGalaxy S10では、au/docomoモデルは11月にGalaxy Note10シリーズに搭載された新機能を含むアップデートが、1月にAndroid10を搭載したOne UI 2.0が、そしてこの6月にGalaxy S20シリーズに搭載された新機能を含むOne UI 2.1が配信されています。
当然ながらこの各大型アップデートの間にもセキュリティアップデートも施され、それなりの頻度で端末更新が行われています。
しかし、Rakuten Mobileから発売されたGalaxy端末は、発売以降、セキュリティ更新を含む一切のアップデートが行われておらず、Androidバージョンも9.0のまま、最新Galaxy端末の機能も使えないといった状況になっています。
【更新:2020年6月25日21時27分】6月25日にようやく一部の楽天版Galaxy端末にAndroid 10、One UI 2.1、6月1日のセキュリティパッチアップデートを含むソフトウェアアップデートが配信されました。
【更新:2020年8月21日10時37分】8月18日より、Galaxy A7にAndroid 10、One UI 2.1、7月1日のセキュリティパッチアップデートを含むソフトウェアアップデートが配信されました。
docomo版やau版は配信されていますから、原因はRakuten Mobile側にあると考えられます。
セキュリティパッチレベルも2019年10月1日のまま。セキュリティパッチというのは、ハッカーなどが仕掛けてくるコンピュータウイルスから端末を守るために配信されるものです。そのウイルスは、スマートフォンのプログラムの中に存在する僅かな欠陥をつき、その欠陥が修正されたらまた別の欠陥を探し、また修正し、……という、メーカー側とコンピュータウイルス開発側のいたちごっこのようなものです。つまり楽天モバイル版Galaxyは穴の空いた脆弱な状態で野ざらしになっているというわけです。
最新のGalaxy端末に搭載される機能の多くが数世代前のモデルでも使える、というのは筆者がGalaxy端末を推す一つのポイントでもあります。なのでOSアップデートや機能追加がないだけでも許しがたいのですが、それがないとしても、最低限セキュリティパッチのアップデートは配信するべきではないでしょうか。
もちろん、Rakuten Mobileはキャリアとしてのサービスをスタートしたばかり、Galaxy端末も取り扱い始めたばかりですから、リソース不足、経験値不足ということも考えられます。しかし、そのアップデートを配信することができず、ユーザーが不利益を被るようなことになるのであれば、独自カスタムなどを施さずに、ソフトウェア開発などをすべてSamsungに任せ、端末はSamsungから発売、楽天はお得意の販売事業に専念すればよかったのではないかと思います。
Galaxy A7の対応周波数削除(告知ミス)
また、Rakuten Miniバンド騒動の裏で、Rakuten MobileはGalaxy A7の対応周波数帯の中から、「Band42」を削除しています。
使用時にほとんど影響のない周波数帯であるため、また販売途中に仕様変更されたわけではないため、Rakuten Miniのように問題にはなっていませんが、製品情報に間違いがあり、さらにそれを告知なくこっそり修正するということは避けていただきたいものです。
キャンペーンBuds発送遅延
それだけではありません。4月に実施していた、楽天でGalaxy S10を購入するとGalaxy Budsをプレゼント、というキャンペーンも、4月下旬からの発送予定だったのにも関わらず、1か月半ほど経過した現在になっても発送されていないというのです。
このキャンペーンは、サムスン電子ジャパン主催のキャンペーンなので、原因はサムスン側ではないのか、と思っていましたが、このことについて伝えている記事によると、「サムスンから楽天へ申し込み情報の確認・照会を行った上で発送する手順」、「楽天からサムスンへの回答が一件も無い状況。サムスンとしても困っている」とのことで、原因は楽天サイドにある模様。
いつまでに発送完了する、ということはキャンペーン内容に記載されていないので、大きな問題ではないとは言え、このような遅延は不信感に繋がりますよね。
【追記】在庫不足のため、当初の予定だったGalaxy Budsの予定が上位後継機種のGalaxy Buds+になり、一部で発送が始まっているようです。
Rakuten Mobileにはしっかりとしてほしい
このような杜撰な状態が続いてしまうようでは、メーカーからの不信感やユーザー離れが加速する原因となってしまいます。
それだけではなく、このGalaxy端末のアップデート問題や、Rakuten Miniの無断周波数帯変更問題などによってRakuten Mobileの信用度が低下していくと、今後Rakuten Mobileがシェアを獲得していくために必要不可欠なiPhoneなどの販売も、Apple側から渋られる可能性も出てきてしまうのではないでしょうか。
現在は1年間無料という超大盤振る舞いなキャンペーンを行っていますが、1年後には使用料を取るインフラ企業に成り上がるわけですから、このような細かな部分においてもしっかりとしたシステムを構築していってほしいと思います。
何はともあれ、端末更新などのサポート体制が全く整っていないRakuten Mobile版のGalaxy端末を購入することは避けたほうがいいと思います。Galaxyを使いたい方は、素直にdocomoやauのキャリアから発売されているGalaxy端末を購入されることをお勧めします。