Qualcommは、同社ミッドレンジSoCとして「Snapdragon 6 Gen1」を、エントリークラスのSoCとして「Snapdragon 4 Gen1」を発表しました。いずれもQualcommが昨年に行った同社製品の命名規則を、Snapdragon 4/6シリーズとしてははじめて受けた製品となります。
Snapdragon 6 Gen1
ミッドレンジを担うSnapdragon 6 Gen1は、Snapdragon 695 5Gの直接の後継にあたるモデル。
先代同様に、2~5万円程度の普及価格帯のスマホが多く採用するSoCになることが期待されますが、製造プロセスは最上位のSnapdragon 8 Gen1+などと並ぶ、最新鋭の4nmを採用します。
ハイエンドモデルと同レベルのプロセスを採用することで、低い消費電力や発熱、またCPUクロックが低いことや周辺デバイスの性能などから、ハイエンド端末より大きく優れたバッテリー持ちに期待が持てます。
Qualcommが命名規則を変更したことにより、SoC内部のCPUやGPUの型番は表記されなくなったため、性能の推測は同社の宣伝している内容やCPUのクロックに委ねられます。
同社曰く、Snapdragon 6 Gen1は先代Snapdragon 695 5Gと比較してAIパフォーマンスが3倍、グラフィックスレンダリングとゲーム性能はそれぞれ最大35%と40%向上しているとのこと。CPUクロック自体は変わらず最大2.2GHz。
メモリはLPDDR5の3200MHzまでに対応。LPDDR4Xの2133MHz止まりだったSnapdragon 695 5Gから大きな進歩です。
また、画面内指紋センサーの「Qualcomm 3D Sonic Max」への対応が明記されています。同センサーは「一般的な指紋認証エリアの11倍」とも表現された異次元の認証エリアを備え、指紋登録やロック解除も文字通り「一瞬」なセンサーですが、搭載している端末がAQUOS R6/R7(とLeitz Phone 1)以外には、vivoおよびサブブランドのiQOOのハイエンド端末に数えるほどしかありません。廉価端末にも同様のセンサーを搭載してほしいところです。
光学式だったAQUOS zero2と比べると雲泥の差に感じました。なお顔認証にも対応なので快適なロック解除を優先もできるし、広さを生かした二本指同時指紋認証によるセキュリティ重視にもできる。また指紋認証設定は、指の角度変えて何度も何度も繰り返す必要はなく、なんと一発なのがマジで凄い。 pic.twitter.com/SuftQ3f4hZ
— すまほん!!📶5G📱 (@sm_hn) May 17, 2021
カメラまわりも強化。最大3つのカメラやセンサーからの情報を処理できるTriple ISPに対応し、逆に単眼であれば2億画素までのカメラに対応します。そのほか、4K@30fpsでの撮影や720p@240Hzでのスローモーション撮影などをサポート。
ディスプレイは変わらずFHD+のリフレッシュレート120Hzまでに対応します。
そのほか、5Gの本丸ともいえるミリ波に対応。最大下り速度は2.9Gbpsを実現。Wi-Fiも最新規格の「Wi-Fi 6E」をサポートします。6GHzも用いるWi-Fi 6Eは、日本では法制面の関係上利用できませんでしたが、9月2日付で解禁。バッファローやNECといったメーカーから対応ルーターも発表されているため、今後目にする機会が増えそうです。
Snapdragon 6 Gen1を搭載したスマホは2023年の第1四半期に登場予定であるとのこと。
Snapdragon 4 Gen1
Snapdragon 4 Gen1は、AQUOS WishやXperia Ace IIなどに採用されている「Snapdragon 480 5G」の後継モデル。Snapdragon 4シリーズとしては初めて、6nmプロセスを採用したことをアピールしています。
余談ですが、かつて安価な端末に多く採用されていた「Snapdragon 662」は12nmプロセスを採用、またPixel 4/5などミッドレンジスマホが多く搭載していた「Snapdragon 765(G)」は7nmプロセスで、時代の流れを感じさせます。
CPUは最大2GHz。Qualcommは、先代のSnapdragon 480 5Gと比較して、CPUが最大15%、GPUが最大10%強化されたとアピールしています。メモリはLPDDR4Xで、最大2133MHz。
最大1億800万画素のカメラをサポート。Snappdragon 6 Gen1と同じく、3つのカメラやセンサーからの情報を同時に処理可能。一方スローモーション撮影は720p@120fps止まりであったり、4Kでの撮影に対応していなかったりと端々でスペックは抑えられています。
ディスプレイはFHD+(2520×1080)にて最大120Hzで動作します。私見ですが、快適性や端末の立ち位置の差別化といった理由から、同SoCが搭載されリフレッシュレート120Hzに対応する端末というのは出なさそうに思います。
Wi-Fiは現在最もメジャーなWi-Fi 5(ac)までの対応。5Gもサブ6のみの対応で、下り速度は最大2.5Gbps。このレベルでもぶっちゃけ日常使いではまず困りません。
Snapdragon 4 Gen1を搭載した端末は2022年の第3四半期に登場予定とのことで、お披露目はもう間もなくです。