ソニーが2022年5月に発表した、最新ハイエンドワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM5」を購入したので、先代のWH-1000XM4と比較しながらレビューしていきます。
筆者は、ソニーオンラインストアにて、割引など含め税込4万3380円で購入しました。新規会員には10%割引クーポンが付与されるため、お得に購入することができました。
Index
開封
早速開封していきます。
WH-1000XM5では、全体的に環境に配慮した製品設計となっており、外箱は全て竹やサトウキビ、再生紙などのリサイクルされた原料で作られています。
外箱を開けると、すぐにWH1000XM5のケースが出てきます。ケースの質感はWH-10004とあまり変わっていませんが、デザイン変更に伴い形状が若干変わっているほか、サイズも大きくなっています。
そして、ケースの中から、WH-1000XM5の登場です。付属品は、充電用のUSB Type-A to Cケーブルと、有線接続用の3.5mmステレオミニプラグの2つ。ケース中央のマグネット式収納部に入れられています。
デザイン
Sonyのハイエンドワイヤレスヘッドホンシリーズでは、初代MDR-1000XからWH-1000XM4までほぼ統一されたデザインが採用されてきました。
今回のWH-1000XM5では、同シリーズで初めてデザインを大幅刷新。ヘッドバンド部は全体的に幅が狭くなり、スピーカー部とヘッドバンドを繋ぐ部分も、以前のY字型から直線的な形状に変更されています。
さらに、ヘッドホン全体がマット仕上げに。スピーカー部の平面についていたマイクは全て側面に配置され、NFCによる接続が廃止されたため、NFCマークも無くなっています。
筆者がWH-1000XM5を購入する決め手となったのはデザイン。BOSEのNoise Cancelling Headphone 700や、Beats Studio Wireless等も同価格帯のヘッドホンとして魅力的ではあったものの、デザイン面では筆者の好みには合っていませんでした。
WH-1000XM5のデザイン刷新には、発売時から賛否両論があったものの、「シンプルで高級感のあるヘッドホン」が理想だった筆者の心を見事に射抜き、購入を決心。デザイン面ではかなり満足しています。
注目の機能
スライダーの設計変更
WH-1000XM5が先代と大きく変わった点のうちの一つが、スライダーの設計です。WH-1000XM4では、一定の段階が決められていてカチカチと動かすスライダーだったのに対し、WH-1000XM5では無段階に変わりました。
スライダーに関しては賛否両論あるようですが、筆者としてはWH-1000XM5の方が好み。より細かい調節ができるほか、長さが合わないと感じた時にさっと変えられる点が便利だと感じました。
イヤーパッドの形状変更
イヤーパッドの形状は、WH-1000XM4と比較して「直線部分のある楕円形」に変更されています。直接肌に触れる部分の素材は、よりシワの少ない素材に変更されていますが、こちらに関しても指紋がかなり目立つ印象です。
なお、イヤーパッドは本体に固定されているためユーザーが外すことはできず、交換したい場合は修理対応となります。
マイク性能の向上
一番驚いたのが、マイク性能の向上。先代と比較しても、かなり音質が良くなっているほか、風切音も圧倒的にカットされており、かなりガヤガヤしている外で通話していても自分の話し声だけがしっかりと相手に伝わります。
独立型ワイヤレスイヤホンの内蔵マイクは、ヘッドホンには遠く及ばない、ということを改めて実感するいい機会にもなりました。
アダプティブサウンドコントロール
WH-1000XM4に引き続き、自身の行動によってノイズキャンセリングや外音取り込みを自動で切り替えるアダプティブサウンドコントロール機能を搭載しています。
シチュエーションは「座っているとき」「立っているとき」「走っているとき」「乗り物に乗っているとき」の4つで、それぞれノイズキャンセリングか、20段階の外音取り込み、何もしないの3つから選択できます。
また、任意の場所(マイプレイス)を登録することも可能であり、Headphone Connectアプリ上で登録した場所にいるときには、ヘッドホンが事前に設定されたモードになります。
Spotify Tap
Spotify利用者に便利な機能である「Spotify Tap」も追加。「NC/ANB」ボタンにこの機能を割り当てると、Spotifyをインストールし、セットアップを完了したスマートフォンと接続中に「NC/ANB」ボタンを押すだけでSpotifyを介して音楽が再生されます。
スマートフォンを取り出し、Spotifyアプリを開いて再生ボタンを押す必要がない点は非常に便利だと感じます。
気になるところ
指紋がベタベタ
先述の通り、WH-1000XM5の外装はマット仕上げ。ヘッドバンドから連結部分、スピーカー部に渡る全てがマット質になっているため、指紋がベタベタに残ります。筆者は、暑い時期に手が少し汗ばむことが多く、ヘッドホンを触るたびに指紋が残るのが気になって仕方がありませんでした。
WH-1000XM5のマットは、高級感はあるがとにかく指紋でベタベタになる。 pic.twitter.com/Ye495eHCLw
— riku (@ikoiPlace) October 18, 2022
コンパクトじゃない
WH-1000XM4においては、スピーカー部を折り畳んでコンパクトに付属のケースへ収納することが可能でした。しかし、WH-1000XM5では、設計の大幅刷新が仇となり、折り畳むことが一切できなくなっています。
ケースへの収納時は、サイズ調節を最短にしてそのままイン。バッグにヘッドホンを入れるとかなりのスペースをとってしまうので、持ち運ぶ意欲が失せてしまいます。
ノイキャンが微妙
ノイズキャンセリング性能は、かなりイマイチな印象。ノイズキャンセリングの強度は、全て自動で調整されるため、場所によってしっかり効いている時と効いていない時の違いがはっきりわかります。また、WH-1000XM4においては、ノイズキャンセリングの強度を2段階で調整できましたが、WH-1000XM5においては1段階のみ。
WH-1000XM4よりも全体的に音が消せていないようにも感じ、ノイズキャンセリング性能に関しては少し不満が残ります。ただ、WH-1000XM4よりはノイズキャンセリングに感じる違和感が少なく、自然な雑音低減となっていた点は良い点だと思います。
軽いのに重さを感じる
デザインと形状の変更により、装着感も変わっているわけですが、装着感に関してはWH-1000XM4に軍配が上がります。
先代との大きな違いは、ヘッドバンドの幅。本体の重量自体は4g軽くなっていますが、ヘッドバンドが細くなったことによって、頭にかかる重さがヘッドバンド直下に集中するようになりました。そのため、長時間装着しているとWH-1000XM4よりもヘッドホンの重さを感じます。
Headphones Connectアプリ
WH-1000XM5とスマートフォンを接続し、より細かい設定を操作するためには、引き続き「Headphones Connect」アプリを利用する必要があります。ただ、このアプリが非常に使いにくい。
どこにどの設定があるのかがパッと見て分かりにくく、目的の設定に辿り着くまでに何度かタップして探す必要があります。画面下部のナビゲーションバーに「アクティビティ」と「お知らせ」を大きく配置する必要性が感じられず、なぜイコライザーなどの設定をここに置かないのか疑問です。
総評
WH-1000XM5は、先代機種と比較して表面的な変化が大きいヘッドホンです。裏を返せば、内部的な変化はあまりないとも言えるわけで、ノイズキャンセリング性能に大きな期待を寄せていただけに少し残念でした。
正直なところ、WH-1000XM4とWH-1000XM5における大きな差はデザイン程度。SONYのハイエンドワイヤレスヘッドホンの音質やノイズキャンセリングに惹かれて購入を迷っている方には、間違いなくコスパ最強のWH-1000XM4をおすすめします。