ここ2~3年のAndroidスマホの画面サイズは6.5インチから6.8インチ程度が主流で、コンパクトスマホとされる6インチ未満のディスプレイを備えたスマートフォンは今や圧倒的に少数派。
高性能小型スマホの最後の砦でもあったASUSのZenfoneシリーズも、次期モデルは大型化すると噂されています。
そんな中、コンパクトスマホ愛好家の有志らが立ち上がり、「夢の小型スマホ」の開発計画「Small Android Phone」に取り掛かり始めたようです。The Vergeが伝えました。
小型高性能なAndroidスマホを開発する「Small Android Phone」プロジェクトの主導者はEric Migicovsky氏。同氏はのちにFitbitに買収されたPebbleというスマートウォッチメーカーの創業者で、デバイスの開発に関して一定の経験を有しています。
同氏はもともと、Androidスマートフォンメーカーに対して「iPhone mini級の高性能スマホが欲しい」と請願、署名を集めるサイトを開設していましたが、Appleがminiシリーズを廃してからは、いよいよ自らの手で設計・製造に取り組むことを決めたようです。
その名の通り、同じ志を持つSmall Android Phoneチームは、すでにDiscord上でディスプレイの調達や使用するチップセット、本体の設計などを協議しているとのこと。チームにはEric Migicovsky氏の興したPebbleの様々な分野の元従業員などが複数在籍しており、コミュニティと議論を交わしているとのこと。
求めている要件は以下の通り。いわばiPhone 12/13 miniのAndroid版といったところでしょうか。
- 6インチ未満のディスプレイ
- 良好なデザイン
- 素のAndroid OS
- 高いカメラ性能
パフォーマンスは端末の性質上、最高峰のチップを乗せるものでなく、Snapdragon 8+ Gen1や未リリースのQualcommチップなどを検討しているといいます。
また、チームのデザイナーであるDe Stasio氏は、カメラバンプのデザインや配置について重視しているといい、iPhoneのようなカメラ配置をはじめとした複数の選択肢を提示しています。
一方でカメラ品質についても、1億画素のセンサーは使わず、あくまで5000万画素程度のものを採用し、中国の開発者やRAWカメラアプリに取り組んだメンバーによって、近年の主流であるソフトウェアによる処理を行う方針としますが、第一目標は製品の出荷であるといいます。
本体デザインも、Pixel 6シリーズのような親しみやすさとiPhoneのような道具としての印象を両立するものが目標であると定義。高品質かつまとまった印象を持ち、柔らかいディティールを感じるものを目指すとのこと。
価格については、いまのところ850ドル(11万円)として計画していますが、想定販売台数の少なさによってコストが高くなっている、としました。
OEMメーカーの最有力候補は明かされていないものの、チームはかなりの大手メーカーが製造を請け負う予定と述べています。ある程度まとまった先には、資金調達を行うべくクラウドファンディングを検討するとしていますが、開発に必要な額は4000から5000万ドルを想定しており、手数料も決して安くないことから、Kickstarterなどのサイトを利用する可能性は低いとのことです。
iPhone 12/13 miniは日本ではある程度の支持を集めたものの、これはフリック入力がQWERTY入力ほどボタンが多くないことに起因したものと言われています。同様に、日本には小型高性能なAndroidスマホを求めるユーザーも少なくはなさそうです。日本はそういった意味で重要な市場ですが、残念ながら携帯キャリアが牛耳っているせいで公開市場が小さく、参入コストは安くなさそう。仮に販売されるとして、日本市場がどのような扱いになるかも注目したいところです。