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ソニーの新生撮像素子「LYTIA」の役割とは?ヤバすぎる「カオスな命名規則」を整理しつつ考察する

 ソニーの新型撮像素子(カメラセンサー)、ちょっとカオス。

 LYTIAはSONY(ソニーセミコンダクタソリューションズ)の「もっと感動を表現し、共有したい」というニーズに応えることを目指した、モバイル用CMOSイメージセンサーのプロダクトブランド。

 2022年11月に発表され、昨年後半からLYTIAブランドのイメージセンサーはLYT○○○というように商品番号が当てられるようになりました。

 2024年に入って多くの中国のスマートフォンメーカーがカメラにLYTIAのセンサーを続々と搭載し始めています。

 一方で、LYTIAではない新しいセンサーの登場や新技術などの影響で、ブランドの全容がわかりづらい状況にあります。本記事ではLYTIAの誤解や現状についてまとめます。

LYTIAに関する誤解

LYTIA=二層トランジスタ画素積層型ではない

 SONYは2021年末にCMOSイメージセンサーの新技術として、2層トランジスタ画素積層技術を発表しています。この技術をLYTIAと混同して「LYTIA=2層トランジスタ積層型である」との誤解が生じているようです。

 2層トランジスタ画素積層型センサーを指す用語はLYTIAではなく、正しくはXperia 1 Vのセンサーに冠されたExmor T for mobileになります。

 執筆時点ではLYTIAの商品番号があるセンサーのうち、LYT-T808のみが2層トランジスタ画素積層型となっています。LYT商品番号にTがついているのも見分けるポイントになるかもしれません。

 また、ややこしいことに似た名称のLYT-808が存在し、2層トランジスタ積層型ではなく、その他の仕様もLYT-T808と異なる別のセンサーであるため注意が必要です。

LYTIAとIMXの関係

 LYTが登場する以前は、SONYのイメージセンサーはIMX989といったようにIMX○○○の表記で型番が定められていました。現在LYTの登場によってIMX表記は廃止されるのか……と思いきや、IMX型番のセンサーは登場し続けています。これはどういうことなのでしょうか。

 実は、LYTのセンサーはLYTの商品番号だけでなく、IMXの型番も持っていることが分かっています。ほとんどの機種はスマートフォンはDevice info HWといったアプリでハードウェア情報を取得できます。その情報からLYT商品番号とIMX型番の対応が判明しました。以下、GSMArenaからの引用。

LYT番号 型番 採用メーカー
LYT-900 IMX06A OPPO,Xiaomi,vivo
LYT-T808 IMX888 OPPO,OnePlus,NIO
LYT-808 不明 OPPO,OnePlus
LYT-701 IMX890 Realme
LYT-700C IMX896 Motorola
LYT-600 IMX882 OPPO,Xiaomi,vivo,
Realme,NIO,Motorola

 LYTIAとの対応があるのにも関わらず、IMX896やIMX882と発表しているメーカーも。特に中国HONORはLYTIAの対応のない新センサーのIMX906とIMX816、IMX856を採用しています。

 さらに、Motorolaは中国市場向けのMotorola S50ではIMX896表記なのに対して、ほぼ同仕様でグローバル市場向けのMotorola Edge 50 NeoではLYT-700Cで表記されています。

 これらからIMXの型番で発表する理由として、LYTIAを名乗るのにはメーカーがライセンス料を払うことなど何かしらの条件があり、それも市場ごとに違う契約となっていると予想できそうです。

 逆に、LYTIA発表以前から登場しているIMX890もLYT-701という名前でリネームされています。Realmeはこのセンサーを世界で初登場と謳っています。

 デバイス情報が正しいとは限りませんが、もしIMX890であるならこの宣伝文句は少し狡猾に感じてしまいます。

 このように、LYTIAの存在で同じセンサーでも名前の違いでスペック差があったり、別のセンサーような印象を与えたりとあまりいい影響を与えているとは思いません。

LYTIAの役割

 ではなぜ、LYTIAというブランドを新たに掲げたかが気になるところですが、筆者は2つの理由を考えました。

 まず、一つはSONY製のイメージセンサーのブランド価値を高めることが考えられます。

 現在スマートフォンにおいてカメラの進化は大きなアピールポイントとなっています。近年のトレンドでは、望遠撮影や低照度撮影・動画撮影のニーズが高まり、多眼化やセンサーの大型化などによりカメラ部品にかけるコストが増大。

 そんな中、一昨年ごろからSamsungやOmnivisionといった競合メーカーから安価ながら高性能なセンサーやフラグシップ向けのセンサーが開発され始め、SONY一強が崩れかけていました。 

複数のハイエンド端末に採用されたOmnivision製OV50H

 そこで、ミドルレンジからフラシップまでのセンサーにLYTIAという新しいブランド名を冠することでブランド的価値を再創生し、シェアを広げたいという狙いがあるのかもしれません。

 また、IMXの型番に限界がきたため、LYTの商品番号を新たに設定したというのも考えられます。

 IMXの百の位の数は大まかに世代が進むにつれて大きくなりますが、2022年のIMX989が登場し、3桁の数で表現するのが難しくなりました。LYT-900の型番がIMX06Aは新しい型番法則となりますが、以前の3桁のほうが消費者にとってはなじみやすかったことを考え、新しく3桁のLYT商品番号を用意した可能性があります。

 LYT商品番号は百の位が世代ではなく商品のグレードで決まるため、今後はLYT-9XXや、LYT-6XXなどの商品が今後同時に展開されてゆくことになります。

LYTIAは今後どうなる?

 先述したように現在はLYTIAとIMX型番のものが発表されていますが、インドのリーカーのYogesh Bra氏によると、徐々にIMXでのラインナップを終了し、2026までにLYTに完全移行するとのこと。

 完全に移行すれば、ラインナップが消費者にとってわかりやすくなるはずです。

 現在、フラグシップ向けのLYT-900がXiaomi 14 Ultraをはじめとする中国メーカーの最上位スマートフォンに搭載され、またミドルレンジ向けのLYT-600(IMX882)も多く採用されています。

 さらに高性能で高機能なセンサーの開発によって勢いを増し、LYTIAのブランドが定着していくことに期待したいところです。

情報元GSMArenaX
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