楽天モバイルが2025年度第1四半期(1~3月)決算で、固定資産税を除くEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)ベースで黒字化を達成したと明らかにしました。黒字額は1億円で、携帯事業参入以降で初の黒字化となります。
ただし赤字幅が小さく見える指標で、という点には注意が必要です。あくまで楽天モバイル事業のNon-GAAP営業利益は513億円の赤字。純粋な会計上の営業損益の観点で依然として赤字です。
楽天グループの三木谷浩史CEOは決算説明会で「他社と異なり、仮想化技術、O-RAN、AIの活用によってオペレーティングコストが大幅に抑えられている」と説明。さらに「広告収入だけでなく、各サービスへの入り口としての役割も果たしており、例えば楽天モバイルに加入すると楽天市場で約50%多く購入いただけるというデータがある」と述べ、モバイル事業のエコシステム内での価値を強調しています。
サービス拡充についても、現在稼働しているAST SpaceMobileの衛星ブルーバードは64平米ですが、次に打ち上げる「ブロック2」はテニスコートほどの大きさとなる223平米の衛星で、日本全国をカバーする予定。これにより「ネットワークサービスとして他社との差別化が可能になる」としています。
楽天モバイルの契約者数は堅調に増加し、全契約回線数は863万回線(2025年3月31日時点)に到達。MNP転出率も1.56%と安定しているとのこと。
三木谷CEOは、通期のEBITDA黒字化については実現の可能性は極めて高いと考えており、毎四半期黒字化を実現していきたいと自信を示し、モバイル事業の収益改善とグループシナジーの強化に取り組む姿勢を明らかにしました。
また、楽天グループ全体でとしては、第1四半期の売上収益が前年同期比9.6%増の5627億円と過去最高を記録。フィンテックセグメントは楽天銀行や楽天カードを中心に15.6%増の2236億円、インターネットサービスセグメントは6.9%増の3055億円となり、各事業が好調に推移しているそうです。
今後は通信品質改善に向け2025年内に1万局以上の基地局追加設置を計画し、カバレッジホールの大幅削減や混雑対策を進める方針です。また、組織再編によりモバイルを核としたさらなるシナジー創出を目指すとしています。
今後も1000万契約や純粋な黒字化に向けて頑張ってほしいものです。