先日、以前から噂されていたNexus 6が発表されました。大型スマートフォン…いわゆるファブレットは、日本ではGalaxy Noteシリーズと、タブレットとしても販売されたXperia Z Ultraぐらいしか選択肢がありませんでしたが、ここに来て強力なメンツが一気に揃ってきましたね。最新モデルのスペックなどの比較をお届けしますので、購入時の参考にしてみてください。
基本スペック
まずは、基本スペックを比較してみます。モバイル通信はキャリアによって変わるため後述。
Nexus 6 | Galaxy Note Edge | iPhone 6 Plus | |
OS(初期) | Android 5.0 | Android 4.4 | iOS 8 |
SoC | Qualcomm Snapdragon 805 | Qualcomm Snapdragon 805 | Apple A8 |
RAM | 3GB | 3GB | 未発表(1GB?) |
ストレージ | 32 / 64GB | 32GB + microSDXC(128GB) | 16 / 64 / 128GB |
ディスプレイ | 5.96インチ AMOLED | 5.6インチ Super AMOLED エッジスクリーン |
5.5インチ Ratina HD |
解像度 | 2560 * 1440 | 2560 * (1440 + 160) | 1920 * 1080 |
アウトカメラ | 約1300万画素 光学式手ブレ補正 デュアルLEDリングフラッシュ F値2.0 4K撮影 |
約1600万画素 光学式手ブレ補正 4K撮影 |
約800万画素 光学式手ブレ補正 True Toneフラッシュ F値2.2 フルHD撮影 バーストモード スローモーション(240fps) タイムラプス |
インカメラ | 約200万画素 | 約370万画素 F値1.9 ワイドショットモード |
約120万画素 F値2.2 HD撮影 バーストモード |
Wi-Fi | 802.11 a /b /g /n /ac MIMO | 802.11 a /b /g /n /ac MIMO | 802.11 a /b /g /n /ac |
Bluetooth | 4.1 | 4.0 | 4.0 |
NFC | ○ | ○(おサイフケータイ可) | ○(Apple Payのみ) |
指紋認証 | – | ○ | ○ |
スピーカー | 前面デュアル | 背面 | 底面 |
その他 | 防滴 | 心拍センサー ワンセグ フルセグ NOTTV(ドコモ版のみ) |
|
バッテリー | 3220mAh | 3000mAh 交換可能 | 未発表(2915mAh?) |
充電 | 急速充電 / Qi対応 | 急速充電 | 急速充電 |
駆動時間 | 連続待受 330時間 連続通話 24時間 |
連続待受 430時間 連続通話 17時間 (3G) |
連続待受 384時間 連続通話 24時間 |
サイズ | 159.26 * 82.98 * 10.06 mm | 151 * 82 * 8.5 mm | 158.1 * 77.8 * 7.1 mm |
重量 | 184 g | 177 g | 172 g |
iPhone 6 PlusだけがRAM推定1GBと非常に少なくなっています。もっとも、OSが別物ですので厳密に比較する意義はあまりないと思います。容量の大きいゲームをプレイする際などには他の機種に比べて動作速度に影響が出やすいかもしれませんね。同じAndroid OSを搭載するNexus 6とGalaxy Note Edgeは最新SoCのSnapdragon 805を搭載し、メモリも3GBと大容量になります。
ディスプレイはNexus 6とNote Edgeの超高解像度有機ELが目を引きます。また、Note Edgeは特徴的なエッジスクリーンを搭載します。同じくNote Edgeの特徴であるスタイラスペンと合わせてこの機種だけの独特の操作性が期待できます。唯一液晶ディスプレイを搭載する6 Plusは解像度で劣りますが、それでもピクセル密度は401ppiと、326ppiのiPhone 5sをはるかに上回ります。筆者個人としては6 Plusレベルでも十分なのではないかと思いますが、こればかりは実物を見比べないことにはわかりませんね。
カメラは画素数で勝るNote EdgeやNexus 6が4K撮影に対応する一方で、全機種がまだスマートフォンではあまり採用の多くない光学式手ブレ補正を搭載しています。画素数で劣る6 Plusはスローモーションやタイムラプスの撮影に対応します。iPhoneのカメラは、悪く言えば「無難な」、良く言えば「バランスの良い」画作りに定評があるので、スペックだけでは測れない実写比較が待たれます。
Wi-Fiは全機種が802.11 acに対応し、Nexus 6とNote EdgeはMIMOにも対応するため更なる高速通信が可能です。iPadがすでにMIMOに対応しているためiPhone 6世代も対応すると推測されていたのですが、結果は対応せず。残念なポイントです。
どの機種も一般的なスマートフォンより非常に大きな本体サイズとなりますが、この3機種の中ではNexus 6が更に一回り大きいです。ただし、Note Edgeや6 Plusは前面にホームボタンがあり、操作にあたって指を動かさなければならない範囲は縦に広くなります。どの機種も、片手操作で全てを済ませるのは難しいでしょう。このクラスになるとさほど大きな差ではありませんが、6 Plusが最も軽量です。
他、Nexus 6はこの3機種では唯一指紋センサーを搭載せず、代わりに唯一の防水対応かつQi(無接点充電)対応機種となっているのが特徴です。また、Note Edgeは心拍センサーを搭載します(紫外線センサーや血中酸素飽和度センサーを搭載するモデルもあるようですが、国内版に搭載されているという情報がなかったため記載していません)。
キャリアごとの対応周波数と通信サービス
次に、LTEの対応状況で比較してみます。ソフトバンクとワイモバイルはWCPを含めて互いの周波数を共用しているため、同一に記しています。
Nexus 6 (XT1100) | Galaxy Note Edge | iPhone 6 Plus | |
ドコモ | Band 1 / 3 / 19 / (28) | Band 1 / 3 / 19 / 21 / (28) | Band 1 / 3 / 19 / (28) |
ソフトバンク(ワイモバイル) | Band 1 / 3 / 8 / (28) / 41 | – | Band 1 / 3 / 8 / (28) / 41 |
au | Band 1 / (28) / 41 | Band 1 / 11 / 18 / 26 / 41 | Band 1/ 18 / 26 / (28) / 41 |
キャリアアグリゲーション | 現在日本では利用不可 | auのみ対応 | 現在auのみ対応 |
VoLTE | × | ドコモのみ対応 | 各社対応の可能性あり |
全キャリアで問題なく利用できるという圧倒的な数の対応周波数を備えた6 Plusの柔軟性が光ります。Note Edgeはキャリアモデルだけあって、他の2機種が対応しないドコモのBand 21、auのBand 11にも対応します。Nexus 6はBand 41に対応しますが、auのWiMAX 2+を利用できるかどうかは不明です。
現状、auで販売されている2機種のみが、複数の帯域を同時に利用して通信速度を向上させるキャリアアグリゲーションに対応します(SIMフリー版6 Plusを含む)。Nexus 6はBand 3とBand5、Band 3とBand 8のキャリアアグリゲーションに対応しますが、現在その周波数でキャリアアグリゲーションを提供しているキャリアはありません。ただし、Nexus 6の取り扱いをY! mobileが表明していることと、Y! mobileはB3を、SoftBankが提供予定のB8を考えると、将来的にはY! mobileでキャリアアグリケーションを利用できる可能性があります。
VoLTEは現在ドコモ版のNote Edgeのみが対応します。au版のNote Edgeは、将来的にも対応する予定はないようです。6 PlusはドコモがVoLTEの対応をほのめかしており、ソフトバンクとauは不明です。
販売経路は…?
Nexus 6 | Galaxy Note Edge | iPhone 6 Plus | |
ドコモ | △ | ○(10月下旬発売) | ○ |
ソフトバンク | △ | – | ○ |
au | △ | ○(10月23日発売) | ○ |
ワイモバイル | ○(予定) | – | ×→△(予定) |
(SIMフリー) | 発売予定? | 発売予定なし | 発売中 |
○…販売しており、利用も可能
△…キャリアとして販売していないが、SIMフリー版を利用できる可能性がある
×…公式には利用する手段がない
– …キャリアとして販売しておらず、SIMフリー版が販売される予定もない
Nexus 6はワイモバイルが取り扱いを表明しています。また、Nexus 5と同じくGoogle Playストアでも販売される可能性が高いと思われますが、現時点でGoogleからは「日本で販売される」としか発表されておらず、価格等の詳細は不明です。Galaxy Note Edgeはドコモとauから発売予定です。iPhone 6 Plusは主要3キャリア全てが販売中で、加えてSIMフリーでも入手可能です。
ワイモバイルは、6 Plusに必要なnanoSIMの提供が準備中となっているため、公式には6 Plusを利用する手段がありません。将来的には利用可能になるかと思われます。
各機種とも複数の通信キャリアから選択することができるため、自分の好みや利用形態に合ったところを選べます。利用者が自由にキャリアを選択できるSIMロック解除の制度が議題に上がって久しいですが、今回取り上げたファブレットに関しては比較的キャリア選択の自由度が高いです。
どれを選ぶか
スペックだけを見ればiPhone 6 Plusを選ぶ理由がほとんどなくなってしまうのですが、今回あえて同じ土台で比較してみたものの、iPhoneの魅力がスペックだけで測れるものではないことはご存知の通りです。カメラの多機能ぶり、キャリア選択の柔軟性、そして何より唯一無二のiOS搭載ファブレットであることに魅力を感じるならばiPhone 6 Plusで間違いないでしょう。おそらくこの3機種の中ではカバーなどのアクセサリが最も豊富に提供されるのも魅力です。
ファブレットの先駆けであるGalaxy Noteシリーズの最新機種でありながら、冒険的なデザインを採用したのがGalaxy Note Edgeです。一見キワモノに見えますが、スペックはファブレット以外を含めた最新機種と比較しても最高クラスであり、国内キャリアモデルであることからワンセグフルセグやおサイフケータイにも対応、更には何年もファブレットを作ってきたサムスンならではの成熟したインターフェースを備えます。「大きいスマートフォン」以上のものを求めるならばGalaxy Note Edgeがオススメです。
Nexusシリーズの最新機種であるNexus 6は、ハードウェアとして特別な機能はほとんど持たないものの非常に高いスペックを備え、更には最低でも18ヶ月に渡って最新のAndroidを使い続けることができます。「将来性のある余裕を持ったハードウェアに、常に最新のソフトウェアが提供される」というただ一点、しかしそういったものが好きな人にとってはとても大きな一点がNexus 6の強みです。
ファブレット製品は「スマートフォン」として見ればいささか大きすぎるのは当然ですが、「通話もできる小さいタブレット」として見れば、普段からタブレットを持ち歩きたい層にとっては非常に魅力的なガジェットだと思います。片手で使えないという批判もありますが、スマホの亜種ではなくタブレットの亜種と考えれば当然とも言えます。ラインナップも徐々に充実し、最初は滑稽に見えたスマートフォンを耳に当てる仕草が今では当たり前の光景になったように、ファブレットでの通話に違和感がなくなる時代も近いのかもしれません。大画面に魅力を感じる方は、是非購入を検討してみてはいかがでしょうか。
筆者は、Nexus 6を購入する予定です。