Appleの小型スマートフォン「iPhone SE(アイフォーン エスイー)」を改めてレビューします。
Index
サイズで選ぶiPhone
一台持ちなら4.7インチが「無難」
まず前置きしておくと、個人的にベストだと考えているiPhoneは、中間サイズの4.7インチモデル(iPhone 7 / 6s / 6)です。やはりマルチメディアコンテンツや各種アプリケーションがリッチ化している現状、画面サイズの大型化は避けて通れないと言わざるを得ません。
では5.5インチモデル(iPhone 7 Plus / 6s Plus / 6 Plus)が良いかと言われると、個人的にはそうは思いません。Androidであれば、Googleと各メーカーの様々な工夫が、ファブレットの画面サイズを意味あるものにしています。それがマルチウィンドウであり、S-Penであり、動画のポップアップ再生であり、その他片手操作するための様々なギミックなどであるわけです。各社のAndroidファブレットを使っていて唸らされる工夫が、Plus系統のiPhoneには不足しています。「絶対にiPhoneのデュアルカメラを使いたい」「大画面デバイスが欲しいが、既にiTunesで購入したライブラリを活かすためにiPhoneを使いたい」といった能動的な理由を持っていない限りは、ファブレットはAndroid端末を選択すべきだと思っています。
特にこだわりがなく、一台持ちするなら、普通に片手操作もできて、標準的な画面サイズを持った4.7インチのiPhoneを選択するのが無難です。
この小ささ、わかってる人が選ぶべき
5.5インチモデルも、4インチモデル(iPhone SE)も、基本的に「わかっている人」が選ぶべき端末だと思います。
4インチというサイズは、それよりも大きな画面の端末よりも、やはりゲームや動画再生には向きません。窮屈に感じます。自分はゲームも動画再生もしないのだ、と利用シーンを適切に把握し割り切っている人が使うべきです。または、ゲームや動画再生を行うためのサブ機を別途用意し、本機を通話やテキストメッセージ主体の機体と位置づけるのであれば、使い分けとして有効です。
iPhone SE レビュー
開封:第一印象は「これだよ、このサイズとデザイン!」
私が発売日に購入したのはSIMフリー版 64GBモデルです。カラーはローズゴールド。背面はガラスとアルミのツートン。エッジ部分はマットな感触で、手触りが良くなりました。
iPhone SEの第一印象は、やはり懐かしいデザインとこのサイズです。側面音量ボタンのプラスとマイナスの刻印や、出っ張っていないカメラなど、iPhone 5sまでのコンパクトさとデザインを好んでいた人にとっては何とも懐かしさと嬉しさを感じることでしょう。パッケージもiPhone 5cのような安っぽさは一切なく、4.7インチモデル・5.5インチ同様に高級感があります。iPhone 5sの凝縮された感じ、高級感といったものが好きだったので、非常に好印象です。廉価版ではなくあくまで「SE(Special Edition)」ですからね。
古き良きiPhoneの復刻版といったところです。
持ちやすさはピカイチ
iPhone 6 / 6s / 7よりもさらに一回り小さいです。
iPhone 6s | iPhone SE | |
---|---|---|
寸法(mm) | 138.3 x 67.1 x 7.1 | 123.8 x 58.6 x 7.6 |
重量 | 143 g | 113g |
5.9インチのHuawei Mate 9,4.7インチのiPhone 7との比較。同じスマートフォンでもここまでサイズが違います。
どんどん大型化していくAndroidスマートフォンの中でも、かなりコンパクトな部類に入る4.6インチモデルXperia Z5 Compactよりも、さらに小さい。
重量はわずかに113g。高級感ある見た目とは裏腹に持った印象は軽やか。重量・サイズともに持ちやすさといった点ではピカイチ。ポケットへの収まりもいいです。
画面が小さいので、画面端まで安々と指が届きますので片手操作も容易。その代わり情報量はこんな感じ。Webの情報量が足りない、せせこましいと感じる場面が多々あります。
大画面・高解像度でWebを閲覧できるHuawei MateシリーズやGalaxy Noteシリーズといったファブレットとの2台持ちがちょうど良い組み合わせです。
iPhone SEの性能
基本スペック
日本国内で販売されているiPhone SE A1723のスペックは以下の通り。6sと同じA9チップを搭載しています。
OS | iOS 9.3(出荷時) |
---|---|
SoC | A9チップ, M9コプロセッサ |
メモリ | 2GB |
ストレージ | 16 / 32 / 64GB |
ディスプレイ | 4インチ 1136×640, 326ppi, IPS |
カメラ | 1200万画素 iSight, 裏面照射型CMOS, True Toneフラッシュ, F2.2, LivePhotos 4K動画 最大30fps, FHD動画 最大60fps, スローモーション HD 最大240fps / FHD 最大120fps |
インカメラ | 120万画素, F値2.4, Retina Flash |
バッテリー | 1624mAh |
寸法 | 123.8 x 58.6 x 7.6mm, 113g |
無線 | BT4.2, Wi-Fi a/b/g/n/ac, NFC, VoLTE |
LTE | B1、2、3、4、5、7、8、12、17、18、19、20、25、26、28、38、39、40、41 |
その他 | nanoSIM, 第1世代TouchID |
小さくても、iPad Air 2以上の性能を誇り、iPhone 6sにも迫ります。常用する上でスペック不足を感じることはほとんどありません。
ストレージオプション
iPhone SEは発売当初、16GBモデルと64GBモデルしか存在しませんでした。最新の機能や最新のアプリは多くのストレージ容量を必要とするため、16GBではかなり容量がカツカツになる人も多いでしょうから、事実上64GBモデル一択のようなものでした。
ところが、16GBモデルと64GBモデルに代わって、32GBモデルと128GBモデルが登場しました。
iPhone SEはディスプレイは綺麗ですがサイズが小さいため、動画やゲームを入れることはありませんので、64GBというストレージ容量は過剰ですが、16GBは少なすぎる。そんな時に32GBモデルは有力な選択肢です。もちろんiPod的に音楽プレイヤーとして使うためたくさん容量を使うという人は、128GBモデルを選ぶこともできるようになったわけです。
バッテリー容量も多め
iOSデバイスは省電力性に優れており、この時点で多くのAndroidスマートフォンよりも優位です。
電池容量は4インチと小型ながらも1624mAhを確保。4.7インチモデルのiPhone 6は1810mAh、6sは1715mAhなので、かなり詰め込んでいることがわかりますね。
実際の駆動時間も他のiPhoneよりもiPhone SEの方が電池が持ちます。特に顕著に差が出るのは画面を利用するブラウジングやビデオ再生といった用途。やはり解像度と画面サイズが低い分、電池持続時間に優れています。
iPhone SEのカメラ
iPhone 5sからアップグレードされたカメラ
出っ張っていないiSightカメラ。画素数はiPhone 5sの800万画素から1200万画素にアップグレード。明るさはF2.2。色味を自然にする白色+褐色のデュアルLEDフラッシュも搭載。
作例
風景を普通に撮る分には全く問題なく、綺麗に撮れます。
他機種との比較。カメラ評価の高い機種と比べるとちょっと暗いかな。
飯テロ
ご飯を撮ってみた様子。ちょっと色味が不足しているものもありますが。
安定して美味しそうに撮れるGalaxyには負けますが、基本的にはそれなりに美味しそうに撮れます。
気になるところ
Touch IDは?
Touch IDが第一世代のため、認証には若干時間が掛かります。第二世代Touch IDの認証精度・認証速度に慣れていると戸惑うかもしれません。とはいえわずかな差ではあります。
FeliCaがない
iPhone 7を使い始めると、やはりFeliCaとApple Payで地下鉄の改札を通れるようになったのが快適で、一旦使い始めるとなかなか手放せなくなりました。iPhone SEの利用頻度が落ち始めたのはその頃からです。
iPhone SEもアクセサリーを用いて交通系ICカードを入れておくことができるので、iPhone SEに愛着がある人はケースを使って引き続き利用するのも良いですよ。ただ、もし「iPhone SE 2」が出るのであれば、ぜひFeliCaを内蔵して欲しいとは思いますけどね。
総評:小型モデルを選ぶならこれ
最新の調査でも、SIMフリー市場のトップシェアを誇るのがiPhone SEです。高額化の一途をたどるiPhoneのラインナップの中でも安く、大手キャリアの割引や補助金なしでもお手頃感のある価格で手に入るAppleのSIMフリー端末はインパクトがあります。
軽く小さく持ちやすく、電池持ちも良い。通話やSNSをメインに利用し、動画やゲームを利用しないのであれば最適とも言えます。