「Anker Zolo Liberty+」レビュー
アクセサリーメーカーAnkerさんより、左右独立型イヤホン「Zolo Liberty+(ゾロ リバティー プラス)」を提供していただいたのでレビューします。
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Zolo Liberty+とは
Kickstarのクラウドファウンディングで約3億円を集め、製品化されたAnkerの左右独立型の完全ワイヤレスイヤホンが「Zolo Liberty+」です。
「左右独立型」「完全ワイヤレスイヤホン」というのは、AppleのAirPodsを筆頭に、いま流行りの「ケーブルがないイヤホン」です。これは偉大な発想とBluetoothによる無線接続技術による賜物です。Apple、SONYなど各社が競うようにこのカテゴリの製品を出しつつあります。そこにAnkerも参入したというわけです。
Ankerの新たなオーディオブランド「Zolo」を冠しており、通常モデルの「Zolo Liberty」と、上位モデル「Zolo Liberty+」が存在します。
Zolo Liberty+のスペック。Zolo Libertyとの違いまとめ
予め通常モデルと上位モデルの違いをまとめておきます。
Zolo Liberty | Zolo Liberty+ | |
---|---|---|
ドライバー | 5.5mm | 6mm |
周波数特性 | 20Hz~20kHz | |
ケース使用時の 最大使用時間 |
24時間 | 48時間 |
単体使用時間 | 3.5時間 | |
周囲音取り込み | × | ○ |
Bluetooth | ver 4.2 | ver 5.0 |
コーデック | AAC、 SBC | |
防水 | IPX5 | |
マイク | MEMS (CVCノイズ低減 (通話時のみ) ) | MEMS (EC / NRテクノロジー) |
Zolo Life (連携アプリ) |
× | ○ |
今回レビューするのは上位モデル「Zolo Liberty+」となります。見た目はほぼ同一ですが、音質・電池持続時間・機能などにおいて上位モデルが上回ります。
筐体
開封
パッケージ内容物はZolo Liberty+本体、充電ケース、ジャケット、イヤーチップ、micro USBケーブル、18ヶ月の保証書や取扱説明書など。取扱説明書は日本語でもわかりやすく記されています。
外観
イヤホンは白く清潔感のある質感とデザインにまとめられています。zoloのブランドロゴの部分全体はボタンとなっており、カチッと押し込むことで機能します。
収納中にイヤホンを充電するバッテリー内蔵ケース。ケースはずっしり、質感は良好。外側はちょっと光沢っぽい質感ですが指紋が目立つタイプでは全く無いので好印象。
ケースへの充電は側面からmicroUSBにて。
ケースを開いた様子。ここにイヤホン本体を収納。磁石でカチッと気持ちよくハマってくれます。
耳への調整
複数サイズのイヤーチップとジャケットを組み合わせて、自分の耳に合うように調整することができます。自分の耳に合うまでトコトン組み合わせを煮詰めましょう。
屋外で一度落としてしまった(幸いにも機器は無事で、すぐに拾うことができた)ので、しばらくは家でエージングするぐらいの気持ちで使ったほうが良かったですね。イヤーチップとジャケットが本当に自分の耳にぴったりハマっているか、落ちてこないか、確認する期間を設けるのが無難です。
装着感
カナル型で、フィット感はなかなか。ボタンの押し心地も硬くないので押す時の圧迫感もなし。
当たり前ですが、その名の通り無線なので、長いケーブルが絡まることもありません。ケーブルからの解放、それこそが左右独立型ワイヤレスイヤホンの本義です。ヘッドホンだと長時間装着していると重量と圧迫感で疲れてくるのですが、独立型ワイヤレスイヤホンだとそういうこともなく、ラクに聴いていられるのが良いですね。まだ体験していない人には、ぜひ体験して欲しい感動がそこにあります。
防水対応!
規格IPX5準拠の防水に対応しています。突然の小雨にも、イヤホンを外すこと無く音楽を聴き続けられたのは、ちょっと新鮮な体験でした。
また、シャワーを浴びた程度では壊れる様子もありませんでした。音楽を楽しむシチュエーションを大きく変えてくれそうです。
使い勝手
簡単!
一度Bluetoothペアリングさえしてしまえば、あとはとても簡単に使えます。PUSH AND GO機能により、充電ケースから取り出すたびに自動で接続。充電ケースに戻せば接続を解除。たったこれだけ。
完全独立型ワイヤレスイヤホンの無線関係に面倒くさいイメージを持っていた人はびっくりしそうです。
ボタンはシンプルに一つ
イヤホンのボタンはシンプルに一つです。ボタンを1度押すと楽曲の再生/停止。2度押すだけで、音声アシスタント起動です。
残念ながら音量調整のための専用の物理キーはありません。一応、音声アシスタントSiriに「音量を上げてor下げて」と指示することで、スマホの音量を調整するという方法はあります。
専用アプリが存在
Zolo Liberty+では、専用アプリ「Zolo Life」を利用可能。イコライザーはシンプルに5種類なので、細かく調整したい人はiOSの設定画面やアプリから、イコライザーを自分で調整するのが良いでしょう。
バッテリー残量の確認
ケースのバッテリー残量は、インジゲーターからおおよそ確認できます。ケースを軽く振ると、ゲージが点灯します。
イヤホン側のバッテリー残量は、iOS標準の「バッテリー」ウィジェットから正確な値が確認できます。iPhoneの画面からいつでも見れるのは良いですね。
他製品との使い勝手の比較
接続の安定性は良好で、使い込んでいる間、ポケットや鞄に入れたまま利用することも多かったのですが、途切れることはほぼありませんでした。無線環境の悪い家電屋で少し途切れることはありましたが、日常的な利用範囲では困ることはありませんでした。
ソニーのWF-1000Xなど、頻繁に音声が途切れるような不安定な機種もあるので、安定性というのは快適に日常利用する上でチェックしておきたいポイント。そこをばっちりクリアしているのは好印象です。最新規格のBluetooth 5.0に対応している点もプラスに働いているかもしれませんが、BT5.0非対応のAndroidスマホでも切れにくいので、アンテナ配置など他の部分でも気配りがなされていそうです。
Apple純正のAirPodsは近接センサー内蔵により、耳から外すと自動的に音楽再生を停止するなど、純正ならではの細やかな使い勝手の良さはAirPodsに軍配が上がります。
音質レビュー
価格帯相応以上の良好な音質
グラフェン採用の6mm径ダイナミックドライバーから正確な振動を生み出し高音質を実現する、というのが本製品。実際にじっくり聴いてみましたが、結論から言うと、良いです。
複数の左右独立型イヤホンを試聴、簡単に比較してみましたが、Airpodsや、数千円~2万円より下の競合ワイヤレスイヤホンと比べる限り、良好な音質だと感じました。同価格帯の製品と迷ったのなら、本製品はおすすめできます。
音の傾向としては、高音域もいい感じに抜けて、しっかり出ている上で、中低音域は若干強め。特に低音域はボリュームと弾力があり、元気な躍動感があって、なかなか気に入りました。この点は個性的で気に入った反面、好みではないという人もいるかもしれません。そういう場合はイコライザー等で調整しましょう。
あえて、無謀にも高価格帯の左右独立型イヤホンと比較して「重箱の隅をつつく」のであれば、高音域の解像感、音の立体感では劣ります。
Zolo Libertyは店頭で軽く試聴した程度ですが、Zolo Liberty+と比べると全体的に音が籠りがちな印象。やはりZolo Liberty+の方が音に広がりがあって良いですね。
これまでのAnkerの無線イヤホン機器は音質にあまりこだわっている印象がありませんでしたが、Zoloという新しい音響機器ブランドを立ち上げての満を持してのスタートなだけに、Ankerの自信を感じます。
音声遅延は気にならない
動画視聴時に重要となるのは、遅延です。画面の動きに遅れて音声がついてくるようでは没入感を阻害します。
しかしiPhone XとZolo Liberty+の組み合わせで、動画を見る分においては、遅延を感じることはほぼありませんでした。かなり注意深く気にしていれば、ほんの少し遅延があるかな?ぐらい。
いわゆる「音ゲー」では遅延が気になります。これはこの製品に限らず、Bluetooth経由で音声を伝送する場合で全般的に完全には避けられない問題ですので、音ゲーなどシビアなタイミングが要求される用途では、そもそも無線ではなく有線を利用しましょう。
製品選びのポイントはコーデック
遅延の大小は、Bluetoothの音声伝送コーデックによる部分が大きいです。メーカーが対応コーデックを公表しているかどうかは製品選びの重要なポイント。iPhoneユーザーはAAC対応の可否、AndroidユーザーはaptX/aptX HD対応の可否を見るべきです。
Zolo Liberty+はaptX/aptX HD非対応、AAC対応しているので、iPhoneとの組み合わせはぴったりです。iPhoneなら従来のSBCコーデックよりも、低遅延・高音質で音楽・動画を楽しむことができるでしょう。
残念ながらaptXには非対応。ただ、試しにAndroidで聴いたところ、特段音質が悪くなるということは感じられませんでした。ソニーのWF-1000XもaptX非対応でも音質は良好なので、実際に聴いてみるのが一番です。
ホワイトノイズ
注意したいのはホワイトノイズ。耳を澄ますと常時サーッと音が流れているアレですね。これは静かな屋内で音楽再生中に楽曲間の無音時間に気付くと思います。このホワイトノイズは、有線のイヤホン・ヘッドフォンから初めてZolo Liberty+に乗り換える場合は明らかに気になるかもしれませんが、他の製品でもこれ以上のホワイトノイズのある製品も存在しているのも事実。
実際にどの程度ホワイトノイズが気になるのかどうか?という点ですが、何かしら音のしている屋外利用で気になることはほとんどありません。そして何より楽曲再生中は気になりません。所詮はその程度です。強いて言えば、どうしても気になったのは、静かな屋内で、且つ、作業用BGMのクラッシックを流している時でした。まあ、家ではヘッドホンなど他の機器で曲を聴く、そもそもスマホのライブラリーにクラッシックなどの静かな曲はない、といった人には特に問題のない点ではありますが、念のため。
通話品質
別々の2人ほどに本機とiPhone Xを用いて通話を行ったところ、いずれからも通話内容が不明瞭であるとの感想を得たので、この点はあまり期待しない方がいいかもしれません。あくまで音楽・動画での利用をメインとすることをおすすめします。
集中しやすい
個人的に、インナーイヤータイプなどよりかは、本機のようなカナル型が気に入っています。密閉することで音楽をしっかり聞けるというのはもちろん、周囲の音を遮ることができるので、音楽に集中することができるからです。
作業用BGMのプレイリストを流せば、そのまま作業への没入感を高めることもできます。耳栓としても使えるというわけですね。
カナル型のおかげで、音漏れしません。かなり近づかない限り、音が漏れる心配がないので、好きな曲を気兼ねなく楽しめます。
周囲音取り込み機能は過度な期待は禁物
Zolo Liberty+には「周囲音取り込み機能(Transparancy)」があります。ボタンを3秒間押すと、周囲の音が取り込めるので、「空港などでの待ち時間に音楽を流していてもアナウンスを聞き逃すことがない」という機能です。ボタン3秒長押しで発動できます。
周囲の音を打ち消すノイズキャンセリング機能とは逆に、カナル型により耳栓のように周囲の音を遮る構造を採用した上で、内蔵マイクで周囲の音を取り込むというアプローチは新しいですね。確かに電車の待ち時間でアナウンスを聞き逃さなくなり、非常に便利だと感じました。
ただし、この機能への過信は禁物です。コンビニなどで店員さんの声を聞き取れるのだろうか?と試してみたものの、さほど効果を得られず聞き取りにくいこともしばしば。店員さんの声質や声量によりけりですね。あくまで空港などのアナウンスを聞き逃さないための機能である、というのは念頭に置きたいところ。
圧倒的電池駆動時間はアド
唯一無比、最強最長の利用時間
はっきり言ってコレです。イヤホン単体で最大3.5時間、そしてケース利用でなんと最大48時間の使用時間。長すぎ!
一般的な独立型ワイヤレスイヤホンの利用時間は3時間前後で、せいぜいケースは2~3回分の充電ができますよといった程度の製品も多い中、とんでもなく長いです。競合製品と比べても圧倒的。音質などはイマイチだが利用時間の長さに定評のあるAirPodsでさえ、ケース利用で24時間。つまり理論値ではその2倍持つということになります。
実際、2週間ほど利用して、ケース自体を充電したのはたったの1回。全然ケースの電池が切れる様子がありません。とてつもない大容量っぷりです。
持論:大容量電池は正義
ケース利用で、という条件も、特に問題ではないでしょう。独立型ワイヤレスイヤホンを使う上でスマホとの接続/切断/充電は、ケースへの収納と紐付いており、その収納も無くさないよう持ち運ぶ上で便利なので、ケースは事実上不可分な存在だからです。
そう、独立型ワイヤレスイヤホンというのは、充電機器が3倍になることを意味します。有線イヤホンを使うなら、スマホだけの充電で済みます。しかしスマホに加えて、独立型ワイヤレスイヤホンと、それを充電するケースの計3つを日常的に充電するわけです。これって大変なことですよね。特に、ただでさえ充電すべき機器が大量にあるガジェッターとしては、充電機器はこれ以上増やしたくないな、という感情もあるのです。だからこそ、大容量電池内蔵は正義というのが持論です。
そんな中、ケースがこれだけ充電せずに電池が持ってくれるというのは心理的にも負担が軽くなるので、導入の敷居をグッと引き下げてくれます。ワイヤレスイヤホン自体は収納=充電なので、元々充電をあまり意識しなくていいですしね。電池残量を意識せずにたっぷり使える解放感は、ケーブルの呪縛から解放してくれる左右独立型イヤホンの自由さとマッチしています。
単体連続利用は標準的だが
単体連続利用は3.5時間が最大です。これは競合製品の中でも標準的か、少し多いぐらいです。
自分が使った中で、連続して使うのはせいぜい30分から1時間程度。どれだけ長くても3.5時間になることはありませんでした。しかしそれ以上を連続使用を求めるのであれば、音質を落とし、単体5時間利用できるAirPodsを検討すべきでしょう。
Zolo Liberty+のココが良い!ココが悪い!まとめ
Zolo Liberty+のズバリ良いところと悪いところをまとめておきます。コスパの良さと充電を意識せずに使える大容量電池から、初心者にもおすすめしやすい製品です。
ココが良い! | ココが悪い! |
+価格帯相応以上の音質 +豊かな低音域 +圧倒的な大容量電池を内蔵したケース +最新Bluetooth 5.0にしっかり対応 +抜群に高い接続安定性 +良好な質感や装着感 +防水対応 |
-高音域の解像感 -若干のホワイトノイズ -いまひとつな通話品質 |
購入リンク
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