インド13億国民の指紋・虹彩・顔を収集する、ビッグブラザー「アドハー」。

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(ジョージ・オーウェルのSF小説の名著『1984年』で描かれた管理社会が到来しつつある)

 ニューヨーク・タイムズは、インド政府の国民管理システム「Aadhaar(アドハー)」について報じました。

 インドでは、国民の指紋、目の虹彩、顔をスキャンし、Aadhaarに登録しているとのこと。生体認証情報は、12桁の国民固有識別番号と紐付けられます。13億人のうち、既に11億人がAadhaarへの登録を済ませているようです。

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(Aadhaarは、インド語で『基礎』の意)

 Aadhaarは、年金や食料配給など数百の公共サービス、多くの私立学校、銀行口座の開設、携帯電話の契約など、ありとあらゆるシステムにリンクされているとのこと。

Aadhaar

 中国でも顔認識の監視カメラなど管理システムが導入されていますが、生体認証を提出させた上で社会の隅々まであらゆるサービスと接続するという点で、インドのAadhaarはさらに先を行くものとなっています。ニューヨーク・タイムズの記事では、あるインド人の声として、これ無しでは生活が止まってしまう気がするとの声も紹介されていました。

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(デジタル生成されたAadhaarカード。 画像出典:Wikipedia

 現在、Aadhaarは憲法違反であると、最高裁判所には少なくとも30件の申し立てが行われています。昨年には、インド人にプライバシーの基本的権利があることを初めて宣言した全会一致の裁判所判決も出ており、プライバシーとの兼ね合いも議論の焦点となっています。

 Narendra Modi首相は、Aadhaarはインドの未来へのチケットであり、国の腐敗を軽減し、識字者でない人々もデジタル時代に導く助けとなる、普遍的な使いやすい個人識別システムであると主張しています。確かにインドでは社会福祉が末端に届くまでに中抜きされているという社会問題があり、これを解消する効果も期待されています。また、インドの識字率は7割程度という実態もあり、首相の説明も納得できる部分はあります。

 インドのAadhaarは管理システムのモデルケースとなっており、インド政府によれば、スリランカも同様の制度を計画し、英国、ロシア、フィリピンも研究中であるとしています。