日本政府の知的財産戦略本部会合・犯罪対策閣僚会議は、インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策を討議しました。
海賊版配布サイトをブロッキングするにあたり、ISP(インターネット・サービス・プロバイダ事業者)による「自主的な取組としてのサイトブロッキング」を促す環境を整備するとのこと。海賊版対策法の立法措置までの「短期的な緊急措置」とすることで、通信の秘密の侵害への違法性阻却事由にするようです。
「自主的な取組」などと謳うものの、日本政府の正式な会合で特定サイトを名指ししてアクセス遮断を討議していることを踏まえれば、通信事業者は「忖度」し、それらを「自主的な取組」の体裁でアクセスを遮断するでしょう。
また、類似サイトが登場した場合に備え、ブロッキングすべきサイトを「開設目的」「侵害コンテンツの数量」「発信者の同一性」「他の実行的な代替手段の不存在」といったポイントから「あくまで民間事業者による自主的な取組」のもと判断し、速やかにブロッキングを実施すべきとしました。
なぜ「自主的な取組」がやたら強調されているのか?そもそも特定サイトを日本政府が名指ししてアクセスを遮断することは検閲行為にあたり、これは日本国憲法でも禁止されています。憲法違反になることがわかっているからこそ、「あくまで民間事業者による自主的な取組」によって遮断サイトが選定されるという建前を必要としているわけです。
気付いた頃には、違法サイトのURLを選定するだけの官僚の天下り先の「民間団体」が登場し、日本版GFWの万里の長城が日本のインターネットを囲っているのかもしれません。
今後、海賊版サイト対策への立法では、違法アップロードコンテンツへと誘導するリーチサイトへの立法措置も検討。現時点では動画が対象となっている違法ダウンロードについて、静止画(書籍)のダウンロードも含むことを論点にするとしています。