ファーウェイがアップル超え!?に対する、中国メディアの分析。

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Huaweiのシェア躍進

 IDCが8月1日に発表した今年第2四半期の全世界スマホメーカーの成績によれば、華為(Huawei)は市場シェアの15.8%を占めてAppleを追い抜き初の世界第2位に。また、3日に華為が発表した2018年上半期の業績によれば、今年上半期に華為のスマホ出荷台数は9,500万台を突破したとのことです。

 こうしたAppleをも超える躍進は、国内外メディアで話題となりました。

 「世界一」も視界に入ってきたように見える華為ですが、今後の展望や如何に。中国スマホメーカー海外進出情勢も含めた論評記事が中国「21世紀経済報道」に掲載されていたので、ご紹介します。

中国メディア、自国礼賛に陥らず冷静な分析

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 Huaweiのシェア拡大に以下のように論評しています。

 華為スマホの販売台数がAppleを追い抜いたことは評価に値するが、Appleによるビジネスエコシステム、ハイエンド市場における独占的な地位はいまだに打ち破られていない。

 華為コンシューマー業務CEO・余承東は業績発表会で、「3~5年以内に、華為のグローバル市場シェアは30%に達すると見ており、世界1位のスマホメーカーになると期待できる。未来のグローバル・スマホ市場は、1、2社のメーカーしか残らないだろう」と述べた。

 「1, 2社しか残らない」という発言には誇張が感じられますが、サムスン、華為、Appleといえど、生き残ると断言できない、というくらいの意味でしょうか。思えばHTCもかなり危ないくらいなので、楽観視するほうがおかしいかもしれませんね。

 Counterpoint Researchのデータによれば、中国のスマホ市場において、華為はQ2に26%のシェア率で首位となり、これにOPPO(19%)、vivo(18%)、小米(13%)とApple(9%)が続く。Q2の華為による目覚ましい業績について、Counterpoint Research研究分析師MengMeng Zhangは、傘下の栄耀(honor)ブランドの功績を見逃すことができないと指摘する。「サブブランド栄耀の働きによって、華為は中国市場で初めてのトップにたどり着いた。現在、栄耀の販売額は華為の過半を占めている。栄耀は中国で多くの販売チャネルを要しており、オンラインがなかでも最も競争力を有している」という。

編集部補足
Huaweiのサブブランドがhonor。Huaweiブランドは高性能やや高級なので、コスパと若者向けを推したブランドがhonorとなっている。OPPOはrealme、XiaomiはPOCOといったサブブランドを持っている。

 同一メーカーから、高級ブランドの華為と大衆ブランドの栄耀、2つのブランドを展開しています。しかし、「すべての市場を制覇する」という考えでもないことが、次の段でわかります。

 複数ブランドによる各価格帯での競争、そして海外市場が販売台数が伸びている原因であるとしています。華為が公開した数字によれば、上半期は中華圏での販売収入が前年同期比37%増、EMEA(欧州・中東・アフリカ)73%増、アジア太平洋地域46%増、米国で52%増。かなりの勢いです。

 さらにCEOのコメントが以下。

  コンシューマー部門の余承東CEOは「私は市場シェアを見ていない。もし市場シェアを見るなら、とっくに市場シェア第2位は達成できている。ローエンドモデルをたくさん作ればいいだけの話だ。150ドル以下のクラスに、我々の製品はない」と言う。

 しかし知ってのとおり、スマホ産業の中でAppleが86%の利潤を占めている。しかも利潤最高の10大スマホブランドが90%の利潤をかっさらっており、どれもAppleとサムスンだ。

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 今月2日、Appleの時価総額は初めて1兆ドルを突破、史上最高となった。Appleは華為・OV(OPPOとvivo)などの挑戦を受けてはいるが、それでもハイエンド市場での地位は揺るがない。

 しかし中国産スマホの平均価格(ASP)も上昇を続けており、Counterpoint Research数のデータによれば、2018年Q2の華為のスマホは前年同期比28%上昇、vivoと小米もそれぞれ16%と14%上昇している。だが、それでもAppleの700米ドル以上と比べると、2倍以上の差が開いている。

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 華為が高級ブランド化を進めているとはいえ、Appleやサムスンと比べると、まだまだハイエンド化の途上に過ぎないと言わざるを得ないようですね。

華為は本当にAppleを超えたのか?

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 Q2の数字によれば世界第2位のスマホメーカーとなった華為。21世紀経済報道によれば、華為が対抗すべき相手はずっとサムスンであると業界関係者は指摘。華為とAppleは本質的に種類の異なる会社だというのです。

 Appleは二つの部分にわけられる。OSによって高利潤のハードウェアを作り出す部分と、OSとハードウェアの商業生態だ。製品の商品ラインは世界最短だが、ハードウェア方面の利潤率も非常に高く、いまのところAppleのような企業は他に存在しない。

 華為はどちらかといえば、従来型の設備製造メーカーだ。インフラ、企業業務からさらにエンドロールのスマホ業務にまで延長している。サムスンに最も近く、昔のソニーも似ている部分がある、製品の品質と価格を重視した設備製造メーカーに属する。

 サムスンの特徴は企業部門がそれぞれ独立し、ビジネスエコシステムを形成していない。たとえばサムスンの洗濯機とサムスンのスマホの間の関連度は小さく、ユーザーも独立しており、企業のイノベーションと品質向上に有利だ。

 松下電器(現・パナソニック)が昭和8年に採用した「事業部制」が、いまでもサムスンや華為で「製造業の定石」として活きているんですね。やはり、「経営の神様」松下幸之助は偉大だったというべきでしょう。ただ、毛沢東が「ニュートンやエジソンは偉大だが、彼らの水準の知識しか持ち合わせていない学者がいたとすれば、話にならないだろう」とか言っていたような問題があるのかどうかは知りません。

 アップルのビジネスモデル、小米も似たようなことをしているよな、と思いましたが、続いての部分で言及されています。

 アップルは一体化のビジネスエコシステムを合成しており、中国国内の多くのメーカーもこのような生態を構想しているが、しかし達成できたのはアップルしかない。小米もこのような野心を抱いているが、いまのところは基礎に大きな差がある。ビジネスエコシステムは初めてすぐにできるものではなく、製品から一歩一歩構成していく必要がある。

 華為はいまのところ各業務は相互に関係がなく、華為と栄耀ふたつのスマホブランドも独立しており、製品による表面的な部分での推進に止まっている。これは、OPPOやvivoとの間に本質的な差異はない。もちろん販売台数がAppleを追い抜いたことは評価すべきところだが、この規模になったとはいえ、Googleのビジネスエコシステムから抜け出すことは、やはり留保する必要がある。

 製品同士のリンクと、一体化されたビジネスエコシステムは本質的に別個のものであると指摘、それがゆえに既に構築されているGoogleとAndroidという基盤から離脱することは難しいようです。

 サムスンはあんなにも小さな国家にあるが、メモリ、CPUなどの領域で世界の先頭にあり、完全に輸出に頼ってこの規模を実現している。華為のスマホの野心も引き続き海外に目を向ける必要があるだろう、将来真に強大な企業は必然的に国際企業であり、Appleとサムスンの強大さも、それが故である。

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中国産スマホ海外進出Ver.2.0

 中国製スマートフォンはグローバル市場への展開の新段階へと突入しています。この優位性はどこからくるのか?

 従来の電子製品の海外進出と異なるのは、これまでの電子製品輸出は代理生産(OEM・ODM)の領域が主であり、ハイエンドは代理生産、ローエンド領域が輸出をしており、質より量、高級ブランドはなかった。しかし、これまでの蓄積が今回のVer.2.0電子製品輸出の基礎となった。

 客観的に見ても、中国のスマホ製品は海外製品と比べても優勢である。この優勢は、スマホと言う電子製品とその他の製品の違いにある。スマホはインターネット型の製品であり、或はインターネットの製品と言った方がいいかもしれない。よってその規模効率は非常に重要なカギとなる。また、まさにこの点によって、中国のスマホ産業は国内でまず発展し、国際市場に打って出ることになったのだ。

 Counterpoint Research 2018 Q1のデータから、中国ブランドは、北米とラテンアメリカ市場では下落しているとしつつも、東南アジア、欧州、中東、アフリカ等の地区で大きく伸長。アフリカでの伝音の活躍についても触れられていました。伝音と言えば、「美黒撮影」で有名になったあのメーカーですね。解説記事はこちら

 「世界の工場」と言われてから随分経った中国ですが、そういえば国産「高級ブランド」は、スマホが初めてですね。

 中国スマホの海外進出は、2,30年前の米国と日本のブランド海外進出、ブランドイメージを海外へ輸出する段階に似ている。しかし今のところ全体的な価格はやはりミドル・ローエンドだ。もちろんブランドとしてやらざるを得ない、あるいは量から始めるという意味で、最上の策略かもしれない。なぜならスマホの価値はインターネット型の価値であり、規模が必要不可欠だからだ。目下、欧米市場に国産スマホが進軍するに当たっては、さらなるハイエンド化が必要になる。

 そして輸出がどこまでできるか、今のところはわからない。中国電子製品ブランド化の出口は未知数であり、参考にできる経験もない。しかしいずれにせよ、スマホがブランド価値を高めるには欧米市場に打って出なければならず、ここでの利益も必ず奪い取らなければならない。続いてやって来る5G機種変更の波に備えて、今年はグローバル化の全面的な基礎を完成させる必要がある。

 米国では中国電子製品の閉め出しの動きが盛んですが、おそらく中国側からは、「アメリカ帝国主義による中国製品排斥運動」と見えていることでしょう。

 生き残りをかけて高級ブランド化の推進に注力する中国メーカーがどんな製品を今後投入するか、目が離せないところです。

編集部雑感
自国を過剰に持ち上げることは決してせず、常に敵を侮らず、批判精神と向上心を忘れない中国メディアの考察。中国メーカーは今後も伸びていきそうだ。